2026年選抜2回戦
中京大中京vs帝京
50.5% 49.5%
意外にも甲子園では初対戦となる強豪同士の対戦。ともに堅守を誇り、試合運びに安定感がある。2校合わせて全国制覇14回という名門対決を制し、ベスト8一番乗りを決めるのはどちらのチームか。
帝京は長身左腕の仁禮が先発で好投。角度のあるボールでなおかつ手元で動く球質のため、スピードがなくとも見た目以上に攻略は難しい。次戦は2戦目となるだけに、最初から持ち味を生かした投球ができそうだ。ただ、懸念材料は2番手以降の投手。沖縄尚学戦で最終回に捕まった右腕・岡田はやや不安が残り、それ以外の投手に関してはまだ現段階では未知数だ。秋にエース格の働きを見せた右腕・安藤や速球派右腕の目代、関らの登板があるのかどうか。この辺りは、金田監督の信頼感によるところもあるだろう。
一方、中京は初戦でコントロールのいい阿南光・小野に対して、速いカウントからの積極打法で攻略した。長打力があるのは、4番荻田と初戦でホームランを放った5番松田くらいだが、打線全体でのつながりの良さは、中京の方が上だろう。送るべき場面ではきっちり送り、好球は逃さずとらえていく。そして、試合後半には相手投手の特徴をとらえて、必ず攻略の糸口を見出す。そんな賢い野球ができる打線と言えそうだ。手元で動くボールに対し、引き付けて強くたたくスイングができるかどうか。研究する時間はたっぷりあるだけに楽しみだ。
一方、中京のエース安藤は、低めに落ちるスライダーを武器に阿南光打線を8回途中まで1失点に抑えたが、彼の厄介なところは適度な荒れ球で打ちにくいことだろう。立ち上がりからストレートが抜けることが多かったが、シュート回転したボールが右打者のインコースに収まり、かえって相手の踏み込みを許さない結果となった。一転して長打を浴びる可能性もある諸刃の剣ではあるが、少なくとも1回戦では功を奏していた。また、終盤にはインコース低めに狙って投げられるようになっており、なんともつかみどころのない投手である。一冬超えて球威も増している印象で、そう簡単に攻略はできないか。
対する帝京打線は、1回戦は最終盤で沖縄尚学の優勝投手・末吉を攻略。序盤は、高めの速球の攻略に苦しんだが、球威の落ちた終盤に捕まえたのは見事だった。ただ、気になるのは、主力打者に右打者が並ぶことか。中京・安藤のインサイドへ意図せずシュート回転し、食い込んでくるボールに対して、各打者が意識過剰にならずに対処したい。逆にその失投を安藤・目代らの強打者が逃さず長打にできれば、一気に帝京ペースにできる可能性もあるだろう。また、初戦でエンドランをかけてチャンスを広げたように、堅守を誇る中京守備陣に対し、機動力で仕掛ける展開を作りたいところだ。
両チームの総合力に大きな差はない。打力では帝京にやや分があるが、したたかでそつのない戦いぶりでは中京に一日の長があるか。相手先発との相性でやや中京に分があるようにも思うが、果たして結果はどうなるか…
主なOB
中京大中京…稲葉篤紀(日本ハム)、嶋基宏(楽天)、堂林翔太(広島)、高橋宏斗(中日)、中山礼都(巨人)
帝京…吉岡雄二(近鉄)、中村晃(ソフトバンク)、杉谷拳士(日本ハム)、松本剛(巨人)、山崎康晃(DeNA)
愛知 東京
春 6勝 2勝
夏 3勝 6勝
計 9勝 8勝
対戦成績は、春は愛知勢が、夏は東京勢がリードし、トータルすると9勝8敗とほぼ互角の勝負になっている。
2003年の選抜2回戦では愛工大名電と国士館という好カードが実現。国士館の本格派右腕・新垣(日本ハム)と、スラッガー堂上剛(中日)を擁する名電の強力打線の対決が注目されたが、試合は予想に反して投手戦に。国士館の先発・久古(ヤクルト)と、2回からロングリリーフ下愛工大名電の丸山(ヤクルト)。後にヤクルトに進む2年生左腕がともに好投を見せ、得点は2回の青山のタイムリーの1点のみ。愛工大名電はわずか2安打ながら勝利し、春に強い国士館から1勝を挙げて3回戦へ進んだ。
一方、昨夏の甲子園では初出場の豊橋中央と強豪・日大三が対戦。高橋-松井(巨人)の強気なバッテリーを中心に、県大会で愛知の私学4強を連破してきた豊橋中央は、序盤に日大三打線に2点を先行されるものの、徐々に球場内を制圧していく。中盤以降は豊橋中央が押し気味となり、2-2の同点で試合は終盤戦へ突入。初出場初勝利なるかと思われたが、8回裏に落とし穴が待っていた。日大三の2年生4番田中が内角高めの速球をはじき返すと、打球はレフトスタンドへ飛び込む勝ち越しホームランに!3-2で接戦を制し、3回戦進出を決めた。
好勝負を制した日大三は、勢いそのままに決勝へ勝ち上がったが、互角に渡り合った豊橋中央もまた見事であった。
2025年選手権2回戦 日大三vs豊橋中央(6日目第4試合) | 世界一の甲子園ブログ
昨夏に続く対戦となった両都県。今回はどちらが勝利するのか。
思い出名勝負
2015年夏3回戦
中京大中京
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 1 |
関東一
中京大中京 上野
関東一 阿部→金子
早稲田実・清宮(日本ハム)や東海大相模・小笠原(中日)、仙台育英・佐藤世(オリックス)などスター選手が多く顔をそろえた2015年の夏の選手権大会。その3回戦で強豪同士の好カードが実現した。
関東一は夏は2010年以来の5年ぶりの出場だった。この年は攻撃力に定評があり、1番オコエ(楽天)は予選でセンター前へのヒットを好走塁で2塁打にするという驚異の脚力を持つ。中軸の伊藤、五十嵐を中心に長打力もあり、圧倒的な得点力で投手陣を援護した。投手陣は前年の選抜を経験した技巧派左腕・阿部ら5投手による継投でしのぐパターンで激戦の東東京大会を制した。
甲子園では初戦となった2回戦でオコエがいきなりファースト強襲のヒットで2塁を奪う好走塁を見せると、中盤には満塁走者一掃の3塁打を放つなど、大活躍を見せる。ところが、8点差のリードを高岡商の3番田越の4打数4安打の活躍などで追いつかれるまさかの展開に。8回裏に6番鈴木のタイムリーで勝ち越して逃げ切ったが、守りの面ではやはり不安の残る内容であった。
対する中京大中京は2010年夏に名将・大藤監督が退任。堂林(広島)ら幾多の好選手を育て、全国制覇も達成した指揮官が退いてからは東邦や愛工大名電といった県内のライバルに押され気味であった。しかし、この年は上野-伊藤の盤石なバッテリーを中心に守りの安定感があり、高橋監督に代わってから初めての甲子園をつかみ取った。
甲子園では初戦で岐阜城北との東海対決を4-1で快勝。エース上野は球威、スピードともに十分なストレートでインサイドをえぐり、見ていてこれはなかなか打てないと思わせるボールであった。2回戦は開幕戦で18得点をたたき出した鹿児島実を相手に、中盤に足を使った攻めで勝ち越すと、上野も要所を締める投球で3失点完投勝ち。強い中京が返ってきたと感じさせる戦いぶりだった。
試合前は投攻守の安定感で中京大中京の方が一枚上かと思われた一戦。投手力の弱い関東一としてはある程度打ち合う展開に持ち込まないと思われた。
しかし、試合は初回にビッグプレーが飛び出す。中京は立ち上がりにやや制球に苦しむ関東一の左腕・阿部を攻め、2アウト満塁のビッグチャンスを迎える。ここで6番佐藤の当たりはセンター後方を襲う大飛球に。完全に抜けたかと思われた打球だったが、オコエが最短距離でぐんぐん迫っていき、なんと背面キャッチでボールをグラブに収めた。関東一にとっては流れを引き寄せるビッグプレーだった。
一方、中京の上野は相変わらず安定感のある投球。ストレートの「質」がとにかく素晴らしく、初戦で12得点を挙げた関東一打線もなかなか手が出ない。5回まで東東京を震撼させた強力打線がなんとノーヒットに抑え込まれてしまう。
ところが、このエースが作った勢いに打線がどうも乗り切れない。序盤から関東一の阿部を攻めて再三チャンスを作るも、大事なところで一本が出ず、中盤からは長身右腕・金子につながれる。その金子は角度のあるボールを武器に中京打線を寸断し、こちらも得点を与えずに踏ん張り続ける。
すると、前半戦は鳴りを潜めていた関東一打線から6回以降に徐々に快音が生まれ、攻防は激しさを増す。6回に7番黒田のライト前へのチーム初ヒットが生まれて2アウト2塁のチャンスを迎えるが、2番井橋のファウルフライをサード杉本がカメラマン席に飛び込みながらキャッチして得点ならず。
さらに7回裏には、2アウト1,3塁のチャンスを作り、打席には初戦で決勝打を放った6番鈴木。中京のエース上野とは中学時代にバッテリーを組んでいたという因縁の対決だったが、粘る鈴木を12球目の慰安はいに投じた渾身のストレートで三振に切って取り、得点を与えない。
だが、この日はどうしても中京の打線がつながらない。7回にはヒットで出た上野を2塁において犠打を試みるが、金子の好フィールディングで3塁封殺。さらに8回には下位打線の活躍で2アウトながら満塁のチャンスを作るが、ここでも9番上野がサードゴロに打ち取られて得点を奪えない。8安打5四死球で再三塁上をにぎわせながら、この日はスコアボードに9つの「0」を並べてしまった。
そして9回裏、劇的な結末が訪れる。関東一は1アウトから5番長嶋が上野の珍しく甘く入ったストレートを振り抜くと、打球はレフトポール際に飛び込むサヨナラホームランに!関東一が劇的な勝利で5年前と同じく8強入りを決めた。
関東一はその後、準々決勝では興南の好左腕・比屋根からオコエが9回に決勝2ランを放って5-4とまたしても接戦で勝利。大会前は投手力に不安ありとの声もあったが、見事な快進撃であった。2010年台以降は出場するたびに上位に勝ち進んでおり、帝京に代わる東東京の強豪として存在感を示している。
一方、中京大中京にとっては再三の好機を逃しての惜しまれる敗戦となった。エース上野は大会出場校の投手の中でも屈指のストレートを投げており、のちに国体では決勝で優勝した東海大相模と互角の戦い(5-7で敗戦)を演じていたことを考えると、十分にもっと勝ち進む力はあっただろう。ただ、この年の復活出場が、その後の中京大中京の再躍進の礎となったことは間違いなく、再び強豪の地位を築きなおしている。

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