2024年選手権準々決勝 関東一vs東海大相模(12日目第1試合)

2024年

大会12日目第1試合

関東一

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

東海大相模

 

関東一     畠中→坂井

東海大相模   藤田→福田

2015年夏の準決勝の再戦となった関東ダービーは、関東一の左腕・畠中が東海大相模打線を相手に好投。終盤に主砲の一発で得たリードを守り切り、僅差で準決勝進出を決めた。

試合

関東一は、左右2枚看板の一人である左腕・畠中が先発。本格派右腕・高尾を攻略してきた相模打線に対し、技巧派のサウスポーを起用してきた。一方、相模は3試合連続でエース左腕・藤田をマウンドへ送った。

立ち上がり、藤田は198センチの長身から繰り出す角度のある速球を武器に、巧打者ぞろいの関東一打線を3者凡退に打ち取る。まだ、この大会に入ってほとんどまともに打たれていない藤田の速球。唯一の失点は広陵戦の2回だが、制球を乱れが招いたピンチからのものであり、打たれての失点はないと言ってもいい投手だ。大型左腕が関東一の前に大きく立ちはだかり、序盤はランナーを出しても点数の入りそうな気配はない。

関東一・米沢監督としては、同じ関東でその強さをよくわかっている相手であり、先に主導権を渡しては勝ち目がないことは明白であった。2015年夏の準決勝で対戦した際は、1番打者からの4連打でいきなり4点を先取され、流れを失ったまま3-10と大敗している。その初回の攻撃は当時の相模の2番宮地のエンドランでかく乱され、立て直し間もなく失点してしまった。この相模のアグレッシブベースボールにかき回されないこと。同じ轍を踏まないためにも、先発・畠中の立ち上がりは非常に重要であった。

1回裏、1番才田、2番柴田、3番中村と当たっている相模の上位トリオを畠中は緩急をつけた投球で三者凡退に切って取る。初回の得点率の高さに定評のある東海大相模に対し、まずは順調なスタートを切った。関東一サイドとしては、まずは勝利への最低条件を満たした感はあっただろう。ここから試合は、ハイレベルな守り合いとなっていく。

2回裏、相模は4番金本が俊足を生かしてショートゴロを内野安打とするが、5番木村の犠打は捕手・熊谷が素晴らしいフィールディングで2塁アウトとする。さらに6番長尾に対してはチェンジアップをうまく打たせると、二遊間深い位置へのゴロを6-4-3の併殺に仕留め、無失点。難なくさばいたように見えるが、非常にハイレベルなショート市川の守りである。

その後も両チームの投先発の好投を前に、なかなかチャンスらしいチャンスが広がっていかない。今大会No.1と言っても過言ではない守り合いだ。相模・藤田は角度の効いた速球で、関東一・畠中はカーブ、チェンジアップを活かした緩急と出し入れで相手打線を封じていく。特に、あれだけ打ちまくっていた相模打線を封じた関東一バッテリーは見事としか言いようがない。130キロ台の強力打線はこうして抑えるのだというお手本のような投球だ。

バックの堅守も素晴らしく、3回表の相模のセカンド柴田のゴロ捕球、同じく3回裏の関東一のセカンド小島のゴロ捕球はいずれも内野手としての卓越したハンドリング技術を見せつけるものであった。これだけ守ってくれると、バッテリーは思い切って打者に向かっていけるだろう。守りの技術だけでなく、投球前の配球を見ての打球予測も好プレーの要因となっている。

こうなると、両チームの打線がどう攻略していくかだが、打者2巡目に入っても得点の入りそうな香りはしない。それどころか、両投手がさらにギアを上げた印象で、互いの打線が沈黙する。藤田は過去3試合でも一番の球威を見せ、畠中は武器であるチェンジアップの制球が効いて、より緩急自在の投球となる。機動力のある両校だけあって、セーフティバントを駆使するなど、なんとか攻略しようという工夫を見せるが、落ち着いた守りの前に出塁にはつながらない。6回を終えて、関東一がヒット3本、東海大相模はヒット2本に抑え込まれる。

ただ、この試合展開は、攻撃力でやや劣る試合巧者の関東一にとってはもってこいの内容だっただろう。仕掛けてかき回したい相模にとっては、じらされる内容だったはずだ。どちらかというと関東一ペースで終盤戦に突入。7回表、その流れを主砲のバットが確固たるものとする。

この回、先頭の4番高橋が打席へ。ここまで9打数2安打で打点0と当たりが止まっていたが、ここは思い切って狙っていい場面だ。藤田の角度のある速球に詰まらされていたが、初球、外角甘めの一番飛ぶコースに来たボールにバットが素直に出る。打球はレフトスタンドへ飛び込む先制ホームラン!「膠着した試合を動かすのは失策、四死球、長打」の格言通り、一発で関東一がリードを奪った。

1-0と関東一がリード。だが、先制点をもらった大事な7回裏の守りで、先頭の2番柴田に内野安打を許す。セカンド小島が好捕したが、いっぱいいっぱいのプレーで間に合わなかった。ここで打席にはこの大会当たりに当たっている3番中村畠中の速球を狙い撃った打球は痛烈な当たりで二遊間へ。しかし、これをショート市川が好捕し、またも6-4-3の併殺に!この試合、3つ目のダブルプレーを最も嫌な打者から奪う。何か両チームの明暗が分かれたような7回であった。

8回も両チームの守りは崩れず、1-0で9回へ。ホームランでの1点のみであり、関東一も相模も流れの中での失点はなし。なんとレベルの高い投手戦か。終わってほしくないとさえ感じる好ゲームだが、最終回になって、さらに攻防を激しさを増した。

9回表、関東一は1アウトから今大会最も当たっている5番越後がスライダーをうまくライト方向へ流し打つと、打球はライト三浦のまえでやや止まるような当たりに。これを見た越後は思い切って2塁へ走り、間一髪のタイミングでセーフとなる。こうした走塁も関東一の大きな武器だ。続く6番小島への初球を投げたところで、原監督は継投を決断。2番手で速球派右腕・福田を送る。藤田は素晴らしい投球内容だったが、関東一の隙の無い攻撃の前に屈した印象だった。

次の失点はなんとしても防ぎたい福田。ところが、その初球が暴投となってしまい、1アウト3塁と局面が変わる。スクイズもある場面となったが、ここは強攻策を選択。小島のたたきつけた打球は、前進守備の三遊間の頭上を襲う当たりとなる。ショート才田は止めるのが精いっぱい。3塁ランナーがホームへ帰り、大きな大きな2点目が関東一に入った。

なんとか反撃したい相模。ここまで8回で3安打無得点と畠中に完全に封じ込まれていたが、ようやく9回裏にきて反撃を開始する。

先頭は8番日賀。ここまでサードで素晴らしい守備を続けてきた。カウント1-1から苦しめられてきた畠中のチェンジアップが高めに入るところを逃さない。ややタイミングは外されたが、しっかり踏み込んで振り切ったことでライトへのヒットとなる。代打・滝川はレフトフライに打ち取られるが、1番才田が絶妙なセーフティバントを決め、同点のランナーまで出塁させる。

ここで、関東一はタイムを取って落ち着きを図るかと思われたところ、米沢監督畠中から右腕エース・坂井への継投を決断する。畠中は完投こそならなかったが、最高の投球を見せたと言えるだろう。

相模の打順は2番柴田坂井の速球をたたきつけた打球はファーストへのゴロとなり、ファースト越後の好守で2塁は封殺となるが、併殺を狙った1塁への送球がそれてしまう。3塁ランナーがホームへ生還し、打った柴田が2塁へ。ここにきて追ってくる相模の圧力が効いたか、関東一サイドに初めて守りのミスが出た。

なおも2アウト2塁で打順は中軸。一発で逆転サヨナラもある場面だ。しかし、関東一の守りは最後まで冷静であった。当たっている3番中村は厳しいコース・高さを突きながら歩かせ、最後は4番金本と勝負。初球、アウトコースへの速球を打ち上げた打球は高々とレフトへ舞い上がる。レフト坂本がしっかり捕球し、ゲームセット!関東一が守りに守り抜いて、2015年夏のリベンジを果たし、ベスト4進出を決めることとなった。

まとめ

関東一はこの試合はまさに「守り勝った」と呼ぶにふさわしい内容だっただろう。ショート市川、セカンド小島は相模の打者の鋭く、そして難しい打球を幾度となくさばき、守りからリズムを作り出した。投げては、畠中がチェンジアップを武器に、相模打線を翻弄。あれだけ打ちまくっていた打線に対し、8回まで2塁すら踏ませなかった。攻撃は終盤に数少ないチャンスをものにし、2点を奪取。そのリードを守り切るという乾坤一擲の勝ち方であった。米沢監督のもとで何度も甲子園に姿を現し、そのたびに戦い方を磨き上げてきた関東一の集大成を見たような試合であった。

一方、東海大相模は準々決勝の8校が出そろった段階ではV候補の筆頭と目されていた。長身左腕・藤田を中心に質量ともに豊富な投手陣、タレントの揃う打撃陣、そして内外野の堅守と全く隙の無いチーム。負けるとしたら、この日のようなロースコアの展開といったところだったが、その唯一のパターンを関東一に手繰り寄せられてしまった。やはり一線級の左投手のチェンジアップというものは、そうそう簡単に攻略できるものではなかったか。

それでも藤田の投球、それを支えた堅守は素晴らしいものがあり、大会屈指の好ゲームだったことは疑いの余地がない。原監督になった初の甲子園はベスト8で幕を閉じたが、新たな歴史を刻んだ夏となった。

東海大相模 vs 関東一 【夏の甲子園 準々決勝 全打席ハイライト】 4強をかけて関東勢対決!好守備連発のハイレベルな試合に甲子園が沸く! 2024.8.19 阪神甲子園球場 (youtube.com)

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