2025年選手権3回戦
日大三vs高川学園
51% 49%
〇3-2 豊橋中央 〇8-5 未来富山
ベスト8入り1校目を決める好カード。ともに打力には自信を持つだけに投手の出来が試合を左右しそうだ。
日大三の右腕・近藤は、初戦の豊橋中央戦で雨が降りしきる難しいコンディションにも関わらず、我慢強い投球で相手を2点に抑え込んだ。特に中盤は守備のミスが重なっての失点・ピンチが続き、気持ちが切れてもおかしくない場面だったが、いずれもその後をきっちり抑えて見せた。130キロ台の速球にカーブ、チェンジアップを織り交ぜ、内外角の出し入れ、緩急がともに使えるのが強みだ。決して、目立つボールがあるわけではないが、1試合通してのtotal managementができる投手と言える。1試合通して、多くても3~5点までの失点には抑えそうだ。
対する高川学園は、4番遠矢が3安打5打点の大活躍。捕手というポジションを活かした「読みの打撃」もでき、初戦は好左腕・江藤をその打棒で呑み込んでいった。5番の山口も4安打と当たっており、ランナーをためてこの二人に回せれば、得点力は倍加する。全体的に打線の粘り強さも光り、ファウルを打ちながら簡単に凡退しないしたたかさもある。近藤は非常に粘り強い投手だが、5回までに80球を超える球数を投げさせることを目指し、終盤勝負に持ち込めれば面白い。
一方、高川学園の投手陣は右腕・木下から左腕・松本へのリレーで未来富山打線をかわしたが、相手が日大三となるだけに、初戦以上に細心の注意を払った投球が要求される。特に木下は序盤にボールが高めに浮いたところを痛打されたため、次戦は気をつけたいだろう。場合によっては、序盤で躊躇せずに継投策に出ることも必要になるかもしれない。失点する場面があっても最小失点に抑え、捕手の遠矢を中心に堅守でバックアップしたい。
これに対し、日大三は初戦は4安打3点に抑えられたが、豊橋中央の高橋の投球が素晴らしかったためであり、打力は相当に高い。特に長打を放った3番本間、4番田中の二人は甘く入れば外野の頭の上、場合によってはスタンドまで運ぶ力を持つ打者である。機動力を絡める高川学園と比べると、どちらかと言えばオーソドックスな攻撃スタイルのイメージの日大三だが、1番松永は快足を誇っており、塁に出たら高川学園バッテリーにプレッシャーをかけてくるだろう。ここから3,4番につながるホットラインで4打席あるうち、複数回は得点に結び付けたいところだ。
ともに総合力の高い投手だが、投打ともにわずかに日大三が上回るか。4~5点の争いになる可能性が高いとみる。高川学園としてはリードした状態で継投策を用いる展開にしたいところだ。
主なOB
日大三…近藤一樹(オリックス)、伊藤裕季也(楽天)、坂倉将吾(広島)、高山俊(阪神)、山崎福也(日本ハム)
高川学園…高木豊(大洋)、山野太一(ヤクルト)、椋木蓮(オリックス)
山口 東京
春 3勝 1勝
夏 4勝 6勝
計 7勝 7勝
対戦成績は選抜は山口勢が、夏は東京勢がリード。
1988年の選抜では堀越と宇部商が対戦。堀越が初回に4番竹内の先制2ランでリードするが、2回以降は宇部商の左腕エース・木村を打ちあぐねる。じわじわと追い上げる宇部商は土壇場の9回表に1番坂本のタイムリー2塁打で追いつくと、延長12回の決勝点も坂本の2塁だがきっかけ。土壇場に強い坂本の活躍で延長戦の死闘をものにした。ちなみに次の3回戦は坂本は、中京・木村(巨人)に対し、完全試合を達成されそうだった土壇場で逆転2ランを放つ活躍を見せている。
この時代の宇部商ほど劇的なホームランを連発したチームはないだろう。
一方、2018年夏は日大三と下関国際が対戦した。
下関国際は3季連続の甲子園であり、経験値が豊富。エース鶴田を中心に攻守に粘り強く、機動力野球で花巻東、2年生エース西純也(阪神)を擁する創志学園、木更津総合と強豪を下してきた。それに対し、日大三はこの年は主将・日置を中心に粘り強さが持ち味。試合が始まると、鶴田の前に日大三は7回途中まで無安打とまさかの展開を迎えるが、投手陣は下関国際の機動力に苦しみながらも2点で踏ん張る。すると、8回裏に打線が奮起!代打・高木の同点打が飛び出すと、最後は2アウト3塁から日置が決勝打を放ち、難敵を退けた。
劇的な戦いの多い両都県の対戦。今回はどちらに軍配が上がるか。
思い出名勝負
2005年夏準々決勝
宇部商
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 5 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 |
日大三
宇部商 好永
日大三 大越→加藤
3年連続の甲子園出場となった日大三。前年の夏を経験した江原、中山、千田、後藤がそれぞれ1番、2番、3番、5番に座り、4番には西東京No.1と謳われた強打者・多田を据える。全国制覇時にも引けを取らない強力打線が完成し、小倉監督も自信を深めての甲子園であった。また、投げてはエース左腕の大越が安定。西東京大会では他を全く寄せ付けず、本戦でもV候補の一角を堂々と占めていた。
甲子園では、初戦で明徳義塾の出場辞退に伴って急遽代替出場となった高知と対戦。好投手・二神(阪神)が相手だったが、三高打線が火を噴く。2回裏に1番江原のホームランなどで4点を先行すると、終盤には4番多田にも一発が飛び出し、6得点。投げては、エース大越が必殺のスライダーを武器に14奪三振の力投。初戦の戦いぶりを見る限り、関東勢で最も優勝を狙えそうなのがこの日大三であった。
続く3回戦では2番主将・中山の活躍などで前橋商の好投手・富田も打ち崩し、9-6で勝利。打撃戦で最終回には相手の反撃にあったが、2番手の右腕・加藤の好救援があり、昨年超えられなかった3回戦の壁を突破した。4年ぶりの夏の甲子園制覇へ徐々に期待は高まっていた。
その日大三と準々決勝でぶつかったのが、山口の伝統校・宇部商である。過去、甲子園で幾度も劇的なホームランを放って名勝負を繰り広げてきた同校は、名将・玉国監督の一心野球そスローガンのもと、今年も強力なチームを作り上げてきた。選抜では2回戦で優勝した愛工大名電に0-2と惜敗も、夏は山口大会を順当に勝ち抜いて甲子園へ。この年の中国地方では強力打線を誇る関西とこの宇部商が完全に2TOPと言えるほど、確かな強さがあった。
そのチームの中心は左腕エースの好永。決して剛球を操るタイプではないが、左腕投手特有の腰の横回転を活かした体重移動から勢いのあるボールを内外角に散らしていく。このタイプは実際に対してみると、想像以上に打ちにくいのだ。
また、打線も上位から下位まで非常に当たっており、初戦の新潟明訓戦ではなんと20安打をマーク。7-4でまずは順当に初戦を突破する。2回戦では静清工との機動力野球対決を、堅守と好永の好投で4-0と制すると、3回戦は昨夏の出場メンバーが多く残る強豪・酒田南に1イニング8得点の猛攻を見せて、11-2と圧勝。タイプの違う相手を、宇部商らしい野球でねじ伏せ、ベスト8へと駆け上がってきた。
迎えた東西強豪対決は、初回から宇部商が先制。大越の牽制悪送球も絡んでしまい、4番好永にタイムリーを浴びる。5回裏に初戦の1番から打順を下げていた7番江原の、今大会2本目となるホームランで追い付くが、直後の6回表に再び宇部商が勝ち越し。日大三としては、なかなか試合のリズムを掴ませてもらえない。
三高自慢の打線は、この試合も序盤からヒットは出ており、決して抑え込まれたわけではない。しかし、ランナーを背負っても強気にインサイドを突き、ボールを散らす好永の投球の前にどうしても大事なところで1本が出ないのだ。宇部商が2-1とリードし、試合は最終盤へ向かう。
しかし、夏の連戦を山口大会から一人で投げ抜いてきたタフネス左腕にもさすがに疲れが走る。8回裏、徐々にボールが高めにはいりだしたところをとらえ、日大三は満塁のチャンスを作る。ここで、打線には8番捕手の桑田。宇部商バッテリーがきっとインコースを突いてくると読みきってとらえた打球は、三遊間突破の逆転タイムリーに!ここにきて、この試合初めてのリードを奪った。
後は、このリードをエース大越が守るだけ。しかし、最終回の粘りに定評のある宇部商の怖さはここからだった。9番星山、1番井田の連打でチャンスを作ると、犠打も作戦としてはある場面で、2番上村に玉国監督は迷わず強攻策。これが、ライトオーバーの逆転三塁打となり、再度試合をひっくり返した。
この回、さらに好永が自らセンターへタイムリーを放って5-3とするが、9回裏に日大三も千田、多田が連打を放ち、最後まで食らいつく。しかし、最後は5番後藤がセンターフライに倒れてゲームセット。粘り合いを制した宇部商が強豪対決を制し、久しぶりの4強進出を決めたのだった。
日大三はこの試合、12安打を放ちながらも3得点。終盤に一度は逆転したが、最後まで好永を崩しきるには至らなかった。スピードはなくとも、コントロールとキレ、丁寧さで強力打線を抑えきれるという、お手本のような好永のピッチングであった。


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