2025年選手権3回戦予想 沖縄尚学vs仙台育英

2025年

2025年選手権3回戦

沖縄尚学vs仙台育英

50.5%   49.5%

〇1-0  金足農   〇5-0  鳥取城北

〇3-0  鳴門    〇6-2  開星

3回戦随一の好カードだろう。2022年秋の神宮大会でも対戦しており、その時はエース東恩納を軸に沖縄尚学が4点をリードしながら、9回裏に仙台育英が一挙5点を奪って逆転勝ち。因縁浅からぬカードである。

沖縄尚学は2回戦で右腕・新垣有が先発し、5回を無失点と好投。選抜の悪夢を振り払うとともに、エース末吉の球数を抑えることに成功した。その末吉はがっしりした下半身から繰り出す威力十分の速球とキレのあるスライダーがともに一級品の球質。疲れで本調子でなければ、いざ知らず、3回戦のこの段階ではまだフルスロットルの状態で迎えられるだろう。ベース板でのボールの強さは尋常でなく、おそらく3年生も含めた今大会の出場投手の中でもNo.1だ。この投手からは取れても3点、いや2点までか…

対する仙台育英打線は、1、2回戦と2番、8番にホームランが飛び出しており、流石のパワーを誇っている。宮城大会でチーム打率2割7分台というのが信じられないほど、各打者のスイングは強い。ただ、過去2試合はいずれも右腕投手との対戦であり、左腕投手、しかも末吉ほどの一級品の左腕との対戦は初めてだ。1番田山、2番原、3番土屋と左打者が並ぶ上位打線が出塁できるかがカギ。彼らが塁に出て、4番川尻、5番和賀と力のある右打者に回したい。おそらく仙台育英の強力打線をもってしてもそう多くの得点機は望めないと予想する。少ないチャンスは機動力も活かしてすべてものにしていきたい。

一方、仙台育英の左腕・吉川もここまで2試合を投げて自責点は1。こちらも2回戦では先発はせず、3回からのマウンドにはなったものの、多少はスタミナを温存できただろう。ストレートの強さ、コースを突く精度、低めに落ちるスライダーのキレとこちらも難攻不落の左腕である。2回戦の8回に高めに浮いたスライダーをとらえられてタイムリーを浴びており、変化球の失投には注意したいところ。特に右打者を相手には要警戒だ。

対する沖縄尚学打線は、2回戦でも8回までわずか3安打に抑えられていたが、9回にようやく打線が繋がって2得点。少し上向く兆しが見えてきたか。全3打点を上げた好調な7番宜野座の打順を上げてくるかどうか注目したい。また、スタメンのうち6人は右打者であることは左腕・吉川に立ち向かう上で少し有利に働く可能性も。内角低めに決まるスライダーに手を出さないようにすれば、おのずと相手の投球は苦しくなる。また、こちらも機動力を駆使して、得点機に繋げたいところだ。

打力では仙台育英に分があるようにも思うが、そんな差を簡単に埋めるほど、末吉の存在感が絶大だ。先にリードを許すと、たとえ1点の差でも果てしなく遠く感じるだろう。ただ、それは吉川を相手にする沖縄尚学にも多少なりとも言えることであり、両チームとも是が非でも先制点が欲しい。2~3点までの間のしびれる接戦になりそうだ。

主なOB

沖縄尚学…岡留英貴(阪神)、與座海人(西武)、砂川リチャード(巨人)、嶺井博希(DeNA)、東浜巨(ソフトバンク)

仙台育英…山口廉王(オリックス)、山田脩也(阪神)、入江大樹(楽天)、郡司裕也(日本ハム)、梅津晃大(中日)

 

沖縄  宮城

春  0勝   2勝

夏  2勝   0勝

計    2勝     2勝

対戦成績は春は宮城勢が、夏は沖縄勢がリード。

1992年は3年前の夏の準優勝校・仙台育英と初出場・読谷の対戦に。この試合は大乱打戦となった。読谷が仙台育英の先発・佐々木をとらえ、1回、2回と4点ずつを奪って8-1と大量リードを奪う。しかし、これが読谷のエース玉城のいつもの打たせて取る持ち味を消してしまった。5回までに11-6と少しずつ差を詰められると、7回、8回でまさかの10失点。当時、大会新記録となる両チーム合わせて34安打の死闘を制し、仙台育英が18-11で大逆転勝ちを収めた。

一方、2001年の夏は1回戦で選抜準決勝の再戦が実現。仙台育英は選抜準優勝投手の左腕・芳賀が先発したが、4回表に7番山城優に一発を浴びる。その後は、得点を与えずに踏ん張っていたが、打線が宜野座のアンダーハンド右腕・仲間を崩せない。4回裏には無死満塁のビッグチャンスを迎えるが、宜野座内野陣の堅い守備に阻まれ、得点ならず。終盤に追加点を奪った宜野座が奇しくも、選抜と逆のスコアの7-1で快勝し、リベンジマッチを制した。

仙台育英にとっては開星を下し、沖縄勢と当たるのは、2010年夏と全く同じ(興南と対戦)。その時は、行く手を阻まれたが、今回は突破できるか。あるいは沖縄勢の返り討ちか。注目の一戦が幕を開ける。

思い出名勝負

2010年夏3回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
2 1 1 0 0 0 0 0 × 4

興南

仙台育英  田中→木村

興南    島袋

2010年夏の3回戦最終カードは、大会屈指の好カードとなった。

興南は選抜大会でエース島袋(ソフトバンク)と打線がかみ合い、初制覇。春の九州大会ではエースを温存しながらも圧倒的な強さで九州大会を制しており、選抜を勝ったことで完全にワンランク上のステージまで上がった感があった。沖縄大会決勝では、宮国(巨人)-島袋の好バッテリーを擁する糸満を相手に終盤の集中打で9-1と快勝。危なげなく春夏連続出場を決めると、甲子園本戦でも鳴門、明徳義塾と四国の伝統校を相手に問題なく寄り切り、順当に3回戦へコマを進めてきた。

対する仙台育英は一昨年の夏に1年生で甲子園を経験した左腕・木村と剛腕・田中の両輪を軸に、佐々木監督も自信を持つ戦力を有していた。しかし、県予選では田中にアクシデントで離脱。そんな中、ベスト16から木村が全4試合を完投し、甲子園にたどり着いた。迎えた甲子園では、エース木村が本調子でないなか、今度はリリーフの木村が踏ん張り、チームを救う。1回戦は最終回に相手の失策が出て開星に奇跡的な逆転勝ちを収めると、2回戦でも延岡学園を相手に延長12回にもつれ込む死闘を制し、3回戦へ進出。

王者が待ち受ける中、勢いに乗った東北のチャレンジャーが、打倒・興南へ立ち向かってきた。

興南はこの日ももちろん先発は島袋。初回にヒット1本は打たれたものの、まずはストレート主体の投球で仙台育英打線を封じ込める。回転数と回転軸にこだわった島袋の速球は、わかっていてもなかなか攻略困難なボールであり、とらえるのが難しい。

これに対し、仙台育英の先発はここにきて、今大会ここまで無失点の田中を持ってきた。勢いのある田中の勢いは、そのままチームを象徴するものであり、王者を相手に真っ向から挑む構えだ。また、初戦でファインプレーがありながら、ケガの影響で2回戦は欠場していた外野手の三瓶もスタメンに復帰していた。

しかし、1回裏、そんな田中の出鼻を興南打線がくじく、1番国吉大陸がセンターへのヒットで出塁すると、犠打で二塁へ。ここで、3番我如古がインサイドぎりぎりの速球を、「これを右打ちするのか」という打撃で、ライト前に運ぶ。国吉大陸が好走塁で捕手のタッチをかいくぐってホームイン。打撃でも走塁でもさすがと思わせるプレーであり、ここまでわずか4球での先制劇であった。さらに4番眞榮平のヒットでチャンスを拡大すると、5番銘苅の犠飛でもう1点。いきなり主導権を奪う。

この興南の打撃スタイルだが、とにかく捕手寄りのポイントでとらえる姿勢が目立った。当時流行したV字バッティングである。体の前寄りでとらえた打球は飛ぶが、そのぶん変化球を空振りする確率もあがってしまう。そんな中、練習から人に投げてもらい、速球か変化球かわからない状態で打つ練習を繰り返したナインは、おのずと捕手寄りでぎりぎりまでボールを見て打つ技術を身に着け、相手の揺さぶりに動じない打撃で結果を残した。

このスタイルはややもすると、ボールに差し込まれがちになり、現に4番眞榮平はこの大会中に調子を崩していた。それでも、前年からのメンバーがほとんど残り、卓越したヘッドスピードを持つ興南ナインにはそれを実践できる力があったのだ。

こうして2点のリードを奪った興南だが、仙台育英にはこの男がいる。この日は5番に座った、今大会のラッキーボーイ三瓶だ。2回表、先頭で打席に入ると、高めの速球を痛打。打球はセンターバックスクリーンに飛び込むホームランとなり、1点を返す。選抜決勝の日大三戦以来となる被弾。さすがに仙台育英も力がある。

ただ、この日の仙台育英は「投」のラッキーボーイの田中が乗っていけない。2回裏、四球で出た8番島袋が盗塁で2塁へ進むと、1番国吉大陸がレフトへタイムリー。序盤から硬さがあり、ややストレートが走ってないようにも見えたが、そのボールを確実に打つ興南が、やはり強い。さらに3回裏にも2アウト2,3塁のピンチを招くと、暴投で4点目。勢いの象徴だった選手のミスからの失点は非常に痛いものだった。

しかし、3点ビハインドとなったところで、リリーフした左腕・木村がこの日は好投を見せる。投球バランスに悩んでいたが、吹っ切れた気持ちが後押ししたのか、この日は本来の速球が蘇り、4回以降、興南打線をヒット僅か2本に抑えていく。

こうなると、反撃体制に移りたい仙台育英打線だが、興南の象徴とも言える島袋-山川のバッテリーはどこまでもしたたかだ。試合序盤に敢えてストレートを多めに配し、中盤からは春以降に覚えた縦のスライダーを交えながら相手の狙いをかわしていく。7回表には2アウトながら満塁のチャンスを迎えるが、どこか仙台育英の打者陣も迷いながら待っている感もあった。最終的には2番佐々木が高めのストレートを打たされ、センターフライで逸機。1試合通しての配球の計画を練ってしっかり実行する、興南バッテリーのしたたかさが勝った。

結局、島袋は強打の仙台育英打線を6安打に抑え、1失点で完投。準々決勝以降は序盤に速球を狙われて、失点する場面もあったが、それでも自分たちのスタイルを崩さずに勝ち切り、沖縄勢初の夏全国制覇を達成するのであった。

一方、仙台育英はこの時期は3回戦で強敵に敗れることが多く、この試合も良く戦ったが、力及ばなかった(2008年が横浜、2010年が興南、2012年が作新学院と2年おきにいずれも優勝経験校に敗退)。ただ、佐々木監督にとって、どうしても甲子園に連れてきたかった思い入れのある世代であり、甲子園でも非常に印象深い戦いを見せてくれた。

その後、2015年にも佐々木監督の下で戦力が整い、決勝まで進むが、東海大相模に振り切られて準優勝と、この時期はいつ東北勢の悲願が成就するのかと思わされたものだ。その夢が叶うのは、この年から12年後の夏、須江監督に交代して4年目の出来事であった。

仙台育英vs興南 ダイジェスト(第92回選手権大会)

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