記憶に残る代打(2021年夏)

2021年

神戸国際大付 勝木力輝斗、夜久彪真、松尾優仁、柴田勝成

大会13日目第4試合

神戸国際大附

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 1 0 0 4 6
0 2 0 1 0 0 2 1 7

近江

 

神戸国際大附  阪上→楠本→岡田→中辻

近江      山田→岩佐→山田

試合前予想

近畿勢がベスト4を独占した2021年の選手権大会。その勢いを象徴する存在だったのが、近江と神戸国際大付の2校であった。

近江は、2年生右腕・山田(西武)とエース岩佐の強力な右腕2枚看板と硬軟織り交ぜた攻撃で、2回戦では高校球界の王者・大阪桐蔭を撃破。2018年以来となる8強進出を果たした。一方、神戸国際大付はケガから復活したエース・阪上と2年生左腕・楠本の両輪が軸。これまで脆さが垣間見えるチームカラーであったが、この年は初戦から3試合連続で1点差勝ちと勝負強さを見せる。3回戦の長崎商戦では劇的な逆転サヨナラ勝ちで、チーム史上初となる8強進出を決めた。

この2チームは、実は前年秋の近畿大会1回戦でも対戦経験があり、この試合では終盤まで近江がリードを保っていたが、終盤8回に神戸国際大付が集中打を浴びせて逆転。勢いに乗って、選抜切符をつかむところまで勝ち上がっていった。勝手知ったる両チームの再戦が、夏の甲子園準々決勝の第4試合で実現することとなった。

展開

試合は、前年秋と同様に序盤は近江が主導権を握る展開に。2回裏に4番新野のソロホームランで先制すると、その後も機動力を絡めてリードを広げる。神戸国際も3回戦で4安打と復調した4番西川の活躍で追い上げるが、近江打線は終盤に神戸の2番手・楠本をとらえる。速球主体の投球が持ち味の楠本だが、その特徴を近江打線はよく理解しており、勝負所で甘く入ったストレートを痛打。7回に山田の2ランで再びリードを3点に広げると、8回にも1点を追加し、4点のリードをもって9回の攻防へ突入していった。

そして、代打へ

近江の最終回のマウンドには2番手で上がっていた3年生エースの岩佐。ここまで最速140キロ台後半を記録する速球とスライダーを武器に相手打線を牛耳ってきた。多賀監督としても、万全の継投での逃げ切りを思い描いていただろう。ただ、結果からいうと、彼の右ひじはすでに疲労の影響で故障を抱えていた。そこに、粘り腰が持ち味の神戸国際打線がつけ込み、餌食にあうこととなる。

この年の神戸国際の特徴はベンチ入りメンバーまで層が厚い点。ここまで試合に出た選手の総数は、8強の中でもダントツだ。4点を追う土壇場で、名将・青木監督が炎の代打攻勢を見せていく。3番阪上、4番西川が倒れ、簡単に2アウトランナーなしまで追い込まれるが、野球の面白いところはここからだ。

5番武本がフルカウントから粘って四球を選ぶと、代打・勝木、代打・夜久がいずれも高めに浮いたスライダーをとらえ、1点を返す。さらに、代打・松尾はやや半速球気味となった岩佐のストレートをとらえ、左中間へはじき返すタイムリー2塁打!2点差に迫ると、さらに、代打・柴田が四球を選び、2アウト満塁とチャンスを拡大する。4者連続の代打でいずれも結果を残すという神がかり的な「繋ぎ」。これに1番が応え、ライトへの2点タイムリーを放って、ついに試合を振り出しに戻した。

その後、9回裏にサヨナラ負けを喫することにはなるのだが、この土壇場での同点劇は、高校野球ファンを大いに魅了した。コロナ明けで応援も少ない中ではあったが、スタンドの涙を誘うほどの猛追ぶりは、甲子園の歴史に刻まれるものだったと言って差し支えないだろう。それまで、強さと脆さが同居していた神戸国際大付というチームが新たな新境地を開いた1年であった。

第103回 全国高等学校野球選手権大会 神戸国際大付高校 vs 近江高校‼️

 

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