2026年選抜1回戦
大阪桐蔭vs熊本工
51.5% 48.5%
投打でスケールの大きさを感じさせる王者・大阪桐蔭と攻守に隙の無い野球を見せる伝統校・熊本工の激突。1回戦の最終カードで楽しみなマッチアップが実現した。
大阪桐蔭は、近年、高いを投手力ベースとしたチーム作りをすることが多いが、今年も左右の好投手を揃えて万全の陣容を敷いている。右腕・吉岡は最速146キロというスピード以上に速さを感じさせる速球が武器。高めの速球で空振りが取れ、相手打者のバットがボールの下を通過することが多い。四死球で崩れる心配もなく、エースとしての活躍に期待がかかる。また、新2年生左腕の川本は、192㎝の長身から繰り出す角度が持ち味で、やや粗さはあるものの、ポテンシャルの高さは全国屈指だ。左右の剛腕投手を擁し、万全の体制を敷く。
対する熊本工打線は、シュアな打撃が光る3番山口が中心。爆発力はないが、どの試合もコンスタントに4点前後は挙げており、集中打が飛び出すのも特徴だ。四死球の奪取率が高く、粘って出塁を勝ちとり、犠打でそつなくランナーを進めていく。決して派手さはなくとも、塁を進めていく野球というスポーツの戦い方をよくわかっているのが、今年のチームだ。中軸の打力を活かすためにも、1番東、2番前嵩の出塁は重要。まずは、大阪桐蔭投手陣の剛球に力負けしないようにしたい。
一方、熊本工のエース格を務めるのは、背番号4をつけた小柄な右腕・堤。変化球で楽にカウントを整えられるため、内外の出し入れと緩急で自在に打者を打ち取る。相手打者を見ながら投球パターンを変えられる、クレバーな投手である。本格派右腕・井藤も控えており、まったくタイプが異なるだけに、継投策は有効になりそうだ。あとは、相手の名将・西谷監督の采配との読み会いになるが、犠打とエンドランをどの局面で使ってくるか、内外野含めた守備陣が振り回せらないようにしたいところだ。
対する大阪桐蔭打線は、昨年までの数年間、攻撃力の面で悩んでいる感があったが、今年はつながりの良さという点では、近年で一番ありそうだ。近畿大会では昨年の選抜でも好投した市立和歌山の剛腕・丹羽を攻略したように、相手投手や守備陣が見せた隙に一気に畳みかけられる強さがある。3番内海、4番谷淵の二人は桐蔭の主軸打者らしく、確実性と長打力を兼ね備えており、彼らの前にランナーを貯めれば一気の大量点もありうるだろう。積極的な打撃の光る1番藤田の出来がカギを握りそうだ。
大阪桐蔭としては、昨年の一年間で苦杯をなめた大阪勢の無念を晴らすような戦いを見せたいところ。熊工としては、3-4点までの範囲で、終盤勝負に持っていきたいところだろう。
主なOB
大阪桐蔭…中村剛也(西武)、中田翔(巨人)、浅村栄斗(楽天)、森友哉(オリックス)、森陽樹(オリックス)
熊本工…川上哲治(巨人)、伊東勤(西武)、緒方耕一(巨人)、荒木雅博(中日)、藤村大介(巨人)
大阪 熊本
春 5勝 1勝
夏 5勝 1勝
計 10勝 2勝
対戦成績は春夏ともに大阪勢が大きくリード。しかも、春夏ともに5連勝中と相性抜群だ。
2011年の選抜2回戦では、履正社と九州学院の強豪対決が実現。ともに夏春連続出場で、甲子園経験者を多く擁していた。
九州学院の2年生エース大塚(楽天)のスライダーの前に、打者一巡目は苦戦していたが、中盤から攻略に成功。左の好打者である1番海部がスライダーを開かずに逆方向へはじき返して、先制点を挙げると、中盤以降に自慢の打線がつながり、着々と加点した。投げてはエース飯塚が、強打の九州学院を2失点で完投。溝脇(中日)、山下、萩原ら強打者の並ぶ打線だったが、捕手・坂本(阪神)の好リードもあり、うまくボールを散らす投球を見せた。
一方、その翌年に当たる2012年の選手権大会3回戦では濟々黌と大阪桐蔭が対戦。濟々黌は熊本大会で九州学院を、大阪桐蔭は大阪大会で履正社をと、ともに上記の2校を下しての出場であった。
大阪桐蔭は、エース藤浪(DeNA)ではなく、2枚看板の一人である澤田(オリックス)が先発。立ち上がりから得点を奪い合い、1-1の同点で迎えた4回裏に試合が動く。濟々黌の2年生エース左腕・大竹(阪神)に対し、大阪桐蔭は沢田が見事な流し打ちでレフトポール際への勝ち越しホームランを放つと、続く1番森(オリックス)も連続で一発をお見舞い。中盤には4番田端の2ランが飛び出し、6-2とスコア上は快勝を収めた。しかし、エース藤浪が投げていない中で、最終回には濟々黌が2アウト満塁まで迫るなど、決して楽な試合ではない印象であり、濟々黌の検討が光ったゲームであった。
思い出名勝負
2017年選抜準決勝
大阪桐蔭
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
秀岳館
大阪桐蔭 徳山
秀岳館 田浦→川端
ベスト4をすべて西日本勢が占めた西高東低の2017年選抜。その中にあって、ともに3校が8強入りと好調だった近畿勢と九州勢のマッチアップが準決勝第2試合で実現した。
大阪桐蔭は、根尾(中日)・藤原(ロッテ)・山田ら才能あふれる2年生集団を、徳山(DeNA)-福井のバッテリーを中心とした3年生がバックアップする体制で2年ぶりに選抜へ出場した。大会前はやや粗削りな印象もあったが、徳山の好投を打線が支え、3回戦では静岡の好左腕・池谷を、準々決勝では東海大福岡のサイド右腕・安田を攻略。勝ち上がるたびに強さを増し、特に毎試合打点を挙げる2年生山田は、下位打線ながら恐怖の7番打者として存在感を放っていた。
一方、秀岳館は前年春から3季連続の甲子園ですっかりおなじみの存在に。2ストライクからノーステップ打法で打つ姿勢や、徹底したフィジカルトレーニングによってもたらされる打球の速さ、投球フォームのメカニックの正確さなど、名将・鍛治舎監督の集大成とも言えるチームを作り上げてきた。投手陣は、川端・田浦(ソフトバンク)の左腕2枚看板を擁し、ディフェンス陣は春夏4強入りした前年と双璧。一方、打線は松尾(DeNA)、九鬼(ソフトバンク)ら長距離砲が抜けて少しスケールは小さくなった感はあったが、木本・廣部の中軸を中心につながりの良さは引けを取らなかった。
ともに打線に破壊力を持つチーム同士の対戦。秀岳館は、準々決勝で3番木本の2ランなどで、再試合明けだったとはいえ、健大高崎を9-2で一蹴。2回戦でも夏春連覇を狙った作新学院に競り勝っており、関東の強豪を連破して勝ち上がってきた。大阪桐蔭としてはまずディフェンスでしっかり踏ん張ることが勝利への絶対条件であった。
大阪桐蔭はエース徳山を先発に指名。一方、秀岳館は左腕2枚看板のうちの田浦を起用した。序盤、秀岳館・田浦は140キロ近い速球と2種類のスライダーで大阪桐蔭打線に真っ向勝負。ヒットは打たれながらも5回まで4安打無失点に防ぐ。
大阪桐蔭のエース徳山は連投となるマウンドで奮闘。手元で切れるスライダー、フォークに切れのある速球はまるで夏の投手を見ているような質のボールを投げて同じく5回4安打無失点。3,4回には秀岳館が仕掛けた盗塁を捕手・福井が見事な送球で刺した。中学まで捕手を務めていた男の意地を見せる。
秀岳館は前日の健大高崎戦で負傷した1番半情が奮闘。1,3回とヒットで出塁し、大阪桐蔭に圧力をかける。一方、大阪桐蔭は当たっている5番山田が5回まではノーヒットもやはりこの男の前にチャンスを作りたい。
試合のターニングポイントとなった6回表、先手を取ったのは大阪桐蔭だった。この日2番に入った宮崎の2塁打でチャンスを作ると、やはりこの人、5番山田がライト前へ巧打。1点を先制する。
7回裏に味方のエラーも絡んだピンチを徳山が抑えると、8回表には再び山田。1アウト2塁から今度は痛烈に引っ張ってレフト越えの2塁打。この大会10本目となるタイムリーで。2点目を手にした。
だが、打撃のチームとしてこのままでは終われない秀岳館は8回裏、半情がこの日3本目となるヒットで出塁すると、2アウト3塁で3番木本。徳山が内角を突いたボールが甘く入ったところを痛烈にレフト前にはじき返して2-1と1点差に迫る。だが、続くチャンスに4番廣部が凡退。あと1点が遠い。
9回表、秀岳館は2番手で登板した左腕・川端が連続三振でピンチを切り抜けて反撃を待ったが、9回裏の攻撃は再び立ち直った徳山に3人で片づけられ、ゲームセット。最後まで球威の衰えなかった大阪桐蔭のエースの前に試合は決した。
秀岳館は3度目の正直ならず、ベスト4どまりになった。しかし、昨年からメンバーが大幅に入れ替わった中でも次々と好選手が出てきて結果を出すあたりはさすがの強さを感じさせられた。また、投手陣の成長は素晴らしく、特に左腕・川端のストレートは目を見張るスピードと切れを見せた。悔いが残るとすれば、頼りの中軸にもう一つ当たりが出なかったことか。しかし、この2年間で秀岳館時代とも呼べる安定した成績を残したのは立派であった。
一方、大阪桐蔭は5年ぶり2度目の決勝進出。1回戦から大勝、打撃戦、投手戦と様々な形で勝利をものにし、勝ち上がりながら成長している姿が伝わってきた。エース徳山は投げるたびに安定感を増してきており、大会前の評価をはるかに上回るピッチングを見せれば、打つほうでは2年生の山田が好機に強い打撃でチャンスをことごとくものにするラッキーボーイになった。投打のキーマンを軸に決勝ではライバル履正社と対戦。終盤まで競り合う好ゲームとなったが、9回に代打・西島の決勝ホームランが飛び出し、5年ぶり2度目の選抜制覇を果たすこととなる。

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