日大三vs龍谷大平安 2018年夏

2018年

伝統校同士の息詰まる攻防

大阪桐蔭の春夏連覇が成るか注目された2018年の選手権。その3回戦最後の試合で東西の強豪同士の屈指の好カードが組まれた。

龍谷大平安は前年夏に府大会決勝で敗れた悔しさをばねにエース小寺が成長。低めの制球力を鍛え上げて安定感を増し、府大会では四死球の数が前年と比較して激減した。一方、打線も4番主将の松田を中心に勝負強い打者が揃い、1番水谷、2番安井を中心に足を使った攻めも使えた。

初戦は鳥取城北の好投手・難波に苦しんだが、最終回に1番水谷が二盗、三盗で相手をかき回すと、2番安井がサヨナラ打を放って念願の甲子園通算100勝を達成した。勢いに乗った2回戦はここ5年で3度目の対戦となった八戸学院光星を14-1と一蹴。古都の伝統校が虎視眈々と上位を狙いだしていた。

対する日大三は2011年に圧倒的な強さで全国制覇を成し遂げたが、その後は3大会連続で初戦敗退。2013年夏は日大山形との日大対決に、2017年選抜では履正社とのV候補対決に敗れ、苦しい戦いが続いていた。2018年選抜では初戦で由利工の好投手を打ち崩して甲子園での連敗を止めたが、2回戦で三重の定本の落ちるボールに対応できず、0-8と完敗。波に乗れない大会が続いていた。

しかし、例年のような長距離砲はいなくとも3番主将の日置を中心につながりのある打線は今年も破壊力十分。春夏連続出場で迎えた初戦は初出場の折尾愛真を16-3と圧倒すれば、2回戦では地元の大声援を受ける奈良大付を相手に冷静な試合運びで8-4と勝利した。速球派の右腕を並べた先発陣が試合を作り、左腕の河村が締めるパターンも確立し、戦い方が安定してきた印象だった。

終盤に押し出し死球で決着

2018年夏3回戦

龍谷大平安

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 2 0 1 0 0 3
0 0 2 0 0 1 0 1 × 4

日大三

 

龍谷大平安  小寺

日大三    広沢→河村

日大三の先発はこの大会初登板の広沢。190㎝近い長身から繰り出すMAX140キロ台後半のストレートを前に、龍谷大平安打線が序盤全く手が出ない。ミート力の高い打者が多く並ぶが、高めに伸びるストレートにバットが空を切る。複数の投手陣が登板する日大三だが、まだこんな投手を隠し持っていたのかとびっくりするほどのボールを投げる。

この流れに打線が応えたのは3回裏。1,2回戦ほどボールにキレがない平安・小寺に対して、1番金子のホームランでまず1点。さらに2番木代の3塁打と3番日置のライト前ヒットとこの回わずか5球で2点をたたき出した。いずれも小寺のストレートをたたいたもので、相手の投球の軸となるボールを狙い打った。

ただ、伝統校の平安もただでは引き下がらない。5回表、ここまで飛ばしに飛ばしてきたことで疲れの見え始めた広沢から連続四球を選ぶと、送って2,3塁から小寺が自らセンターにタイムリーを放って同点に追いつく。押されっぱなしの展開の中で、わずか2本目のヒットで追いつく当たりは、さすがというかそつのない攻撃である。

6回裏、日大三は代打・飯村がサード強襲の内野安打で出塁すると、続く8番女房役の佐藤英がセンター横を破る3塁打で勝ち越し。小寺のスライダーにも徐々にタイミングを合わせ始める。一方、平安も直後の7回表に2番手河村を攻め、四球を足掛かりに2アウト2塁とすると、代打・生水のライト前タイムリーですぐに試合を振り出しに戻す。強豪校同士の激しいつばぜり合いに観衆も沸き立つ。

勢いに乗る平安は8回表、連続四死球を足掛かりとし、5番田島の内野安打の間に2塁ランナーの松田がホームを突く好走塁を見せる。しかし、これは間一髪タッチアウトとなり、流れを呼び込めきれない。非常にハイレベルな走塁であったが、落ち着いて守った日大三内野陣が一枚上手であった。

これで反対に勢いを得た日大三は8回裏、5番中村の幸運なテキサス性の2塁打でチャンスを迎えると、2アウト後に四球と相手のミスで満塁にチャンスを広げる。打席にはホームランを放っている一番金子。2-3から小寺の渾身のストレートは金子の背中に当たる死球となり、日大三の貴重な勝ち越し点が入った。

リードを得た河村は9回の平安の攻撃を三者凡退で封じ、優勝した2011年以来の8強入りを達成。強豪復活を印象付けた。

 まとめ

日大三はその後、準々決勝では下関国際の鶴田に7回まで無安打に抑えられながらも、8回に一挙3点を奪う会心の逆転勝利を達成。例年のような大型チームではなかったが、しぶとい打者と層の厚い投手陣で成し遂げた4強入りは小倉監督に新たな自信を与えるものだっただろう。

一方、この大会で通算100勝の呪縛から解き放たれた龍谷大平安は翌年春も主将となった水谷を中心に8強まで進出。そつのない戦いと勝負強い打撃、安定したディフェンスは脈々と受け継がれており、これからも平安が甲子園を沸かせてくれそうだ。

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日大三 対 龍谷大平安 甲子園 – YouTube

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