市川vs桐生第一 1991年選抜

1991年

ミラクル市川、旋風吹き荒れる!

初出場でベスト8入りした関東勢同士の対戦となったこの一戦。フレッシュな顔合わせとなった。前年秋の関東大会でも対戦し、この時は市川が勝利している。

市川は関東屈指の好投手・樋渡が好投。初戦は大阪・浪速との初出場対決となったが、浪速の機動力に振り回されることなく好投。樋渡の冷静な投球が光って初勝利を手にした。2回戦では3年前に4強に勝ち進んだ強豪・宇都宮学園と対戦。相手4番高根沢の活躍で20とリードを許したが、8回に猛反撃。樋渡のヒットなどで23塁のチャンスに古屋順が値千金の2点タイムリー3塁打。さらに満塁のチャンスから犠飛が飛び出し、土壇場で逆転サヨナラ勝利を手にした。

一方、桐生第一は初戦から打線好調。1回戦は同じく初出場の奈良高校を相手に序盤から猛攻。4回までに10得点を挙げる猛攻で一蹴した。2回戦は2年前の夏の優勝校で3年連続出場中の帝京と対戦。序盤に奪った5点のリードをひっくり返される展開となったが、土壇場9回に2点ビハインドで4番大川が相手エース豊田から起死回生の逆転3ラン。相手の半分以下の5安打で勝利を収める結果となった。

2試合連続の逆転サヨナラで4強へ

1991年選抜準々決勝

桐生第一

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3

市川

 

桐生第一   河野

市川     樋渡

さて、「守」の市川と「打」の桐生第一という対照的な顔合わせとなった準々決勝。ともに2回戦は劇的な逆転勝利で勝ち上がっており、勢いに乗っている。

 

試合は序盤から投手戦。樋渡は長身から投げ下ろす重い速球を武器に好投。序盤に挙げた一点を守り、好投を見せる。しかし、この日は桐生第一のエース左腕河野も好投。12回戦の出来が嘘のように市川打線を3回の1点のみに抑え込む。

 

試合が動いたのは9回表。桐生第一は1アウト2塁のチャンスを作ると、7番今成がライト線に同点タイムリー2塁打。2回戦に続いて土壇場9回に試合を動かす。樋渡は試合後に勝ち急いだと後悔を見せた。

 

同点のまま試合は延長戦へ。延長11回に桐生第一は5番捕手の鈴木大地が樋渡の高めの速球を上から叩いてレフトへ勝ち越しのホームラン。疲れの見える樋渡に痛打を浴びせ、これで勝負あったかと思われた。

 

しかし、その裏市川の反撃はまたもこの人。1アウト2塁で4番の樋渡がレフト前へ同点のタイムリーヒット。またも土壇場で試合を振り出しに戻す。すると、さらに2アウト13塁とチャンスを広げて打者は2回戦で同点打を放った古屋順。ここで古屋が放った打球は三遊間を破ってサヨナラ勝ち。2試合連続で逆転サヨナラ勝ちという奇跡的な勝ち方で4強進出を決めたのだった。

 まとめ

この後、市川はベスト4で優勝した広陵に14と敗れたが、初出場の公立校が見事な進撃。エースで4番の樋渡の好投を決して強力とは言えない打線が素晴らしい粘りで援護した。この年は夏もベスト8入りし、一躍全国区となった。出場5回で4度がベスト8以上で初戦敗退は一度もなし。名将・渡辺監督のもと山梨に市川ありと言われる存在となった。

(ちなみに松坂擁する横浜高校が築いた公式戦連勝記録を次の代で止めたのも市川高校である)

 

一方、桐生第一も初出場でのベスト8は素晴らしい成績。この2年後には平井(オリックス)擁する宇和島東を破るなどして夏の甲子園で2勝をマーク。1999年には正田樹(日本ハム)を擁して見事全国制覇を成し遂げた。1990年代に一気にスターダムへと駆け上がったのだった。

【ミラクル市川】91年選抜 準々決勝 市川 対 桐生第一 – YouTube

【好投手列伝】山梨県篇記憶に残る平成の名投手 1/2 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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