沖縄尚学(沖縄)
| 1 | 末吉 | 11 | 嶺井 |
| 2 | 山川 | 12 | 田淵 |
| 3 | 新垣瑞 | 13 | 志良堂 |
| 4 | 比嘉 | 14 | 田中 |
| 5 | 安谷屋 | 15 | 伊波 |
| 6 | 真喜志 | 16 | 大城 |
| 7 | 阿波根 | 17 | 田場 |
| 8 | 宮城 | 18 | 玉那覇 |
| 9 | 宜野座 | 19 | 山城 |
| 10 | 新垣有 | 20 | 久高 |
優勝候補筆頭を追い詰めた、九州王者
神宮大会を制した横浜高校を中心に、石垣(ロッテ)・下重など充実した投手陣を擁して選抜連覇を狙う健大高崎、名将・岡田監督が就任してエース阪下と強力打線を背景に選抜初制覇を狙う東洋大姫路の3チームが優勝候補の最右翼と思われた。
そんな中、2年生左腕・末吉を中心に、2度の選抜制覇を誇る九州王者・沖縄尚学も優勝候補の一角に挙げられる存在となっていた。
その末吉は競輪選手のような下半身を土台に繰り出す速球は最速150キロを1年秋の時点で計測。ただ、秋の時点ではまだ粗さが目立ち、神宮大会では敦賀気比の強力打線につかまって5-11と大敗を喫していた。打線は、九州大会で7割越えの打率を残した4番比嘉が軸で、出塁率の高い1番主将の真喜志を返すのが得点パターンだったが、まだ下位打線がやや弱い印象であり、秋以降の成長込みで3度目の選抜制覇もあるかという印象だった。
1回戦
青森山田
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 |
| 0 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | × | 6 |
沖縄尚学
1回戦の相手は、2005年の選抜以来の再戦となる青森山田。当時は、青森山田の剛腕・柳田(ロッテ)を沖縄尚学の強力打線が打ち崩して、16-3と大勝していた。ただ、今回は前年春に8強、同夏に4強と実績を積んだメンバーの残る青森山田打線が、沖縄尚学の左腕・末吉に対峙することに。当時とは真逆のスタンスで、南北の強豪同士が相まみえることとなった。
試合は、沖縄尚学・末吉、青森山田・乕谷の好投で序盤は投手戦に。ただ、アウトになっても両チームが打席の中で粘り、球数はかさんでいく。青森山田は3投手の継投でしのぐスタイルだったが、兜森監督もどこで継投策に転じるか迷っていたことだろう。
すると、中盤に入って沖縄尚学打線がつながり始める。乕谷の速球を1番真喜志、3番新垣瑞が痛打して1点を先制。さらに、5回裏には2番手で登板していた右サイドの菊地統を攻めたて、2アウトから連続四球をもぎ取ると、ここから4番比嘉、5番阿波根、7番安谷屋、8番山川といずれも逆方向への意識を持った打撃でタイムリーを放ち、一挙5点の猛攻で大勢を決した。
末吉は速球がやや高めにふける傾向はあったものの、指にかかった時の威力は本物。これがコーナーに決まると、経験豊富な青森山田打線をもってしてもなかなか手が出なかった。7回表に集中打で3点は失ったものの、6点のリードは末吉には十分。157球の大熱投で3失点完投し、2年前に続いて初戦突破を果たした。
青森山田 vs 沖縄尚学 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 激戦必至!夏4強の意地か、秋の九州王者の力か!? 2025.3.19 甲子園 高校野球 第97回選抜高校野球 高校野球ニュース
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2回戦
横浜
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 3 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 8 |
| 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 7 |
沖縄尚学
こうして、初戦をものにした沖縄尚学。しかし、組み合わせの決まった当初から2回戦のことが比嘉監督の頭にはあっただろう。優勝候補最右翼の横浜が反対の山にいたからだ。この横浜戦を視野に入れ、投手起用も熟考したに違いない。2回戦のスターターは末吉ではなく、右腕・新垣有を持ってきた。
ポテンシャルは末吉にも劣らないものを持つ新垣有。しかし、大会初登板で、しかも相手はあの王者・横浜である。緊張するなというのが無理な話だ。初回、横浜がバスターエンドランを絡めた巧みな攻めで無死1,3塁のチャンスを作ると、ここで大会屈指の好打者の3番阿部葉がライトスタンドへ先制3ラン!いきなり比嘉監督の思惑をくじく一打を浴びると、沖尚ベンチは早くも2回から末吉への継投に走る。しかし、一度火のついた横浜打線は止まらず、左投手の末吉に対して上位の左打者陣がうまい流し打ちを見せ、好走塁も絡めてさらに2点を追加する。
序盤でまさかの5点ビハインド。これは苦しいかと思われたが、かえってこの展開が沖尚ナインに火をつけたか、3回裏に猛反撃に転ずる。
序盤から最速150キロ台の速球で押していた横浜の2年生右腕・織田だったが、初戦の市立和歌山戦と同様に、二巡目に入ってやや球速が落ち、コースも甘くなる。そこを上位打線が逃さず、2番宮城、4番比嘉、5番阿波根と次々にヒットを放って早くも織田を降板に追い込む。横浜は2番手で前田を挙げたが、こちらも勢いを止めきれず、7番宜野座がさらに2点タイムリーで続いて、この回一挙4点!横浜の一方的な展開かと思われた試合は、早くも風雲急を告げる。
これで沖尚ペースになるかと思われたが、しかし、王者・横浜はしぶとい。5回表に沖尚守備陣のミスに乗じて1点を追加すると、7回には打者3巡目に入って末吉を攻略。高めに抜ける速球には手を出さず、甘く入ったボールは確実に逆方向へ。相手バッテリーが嫌がる、まさに「強豪校の攻め」で8-4と点差を4点に広げる。
ただ、横浜サイドも織田の想定外の早い降板によって、投手起用のやりくりに苦戦。エース奥村頼はいるものの、彼を早く上げて打ち込まれた場合、次の手がなくなる。7回に入ってようやく奥村頼を登板させたが、いつもの盤石の投手リレーではない。
すると、ここで再び沈黙していた沖商打線が目を覚ます。1番真喜志がヒットで出塁すると、2番宮城のドラッグバントが内野安打となって、無死1,2塁。犠打で進塁させると、当たっている4番比嘉のタイムリーと重盗で2点を返す。秋までは末吉を援護しきれなかった打線が、ここにきて成長の跡を見せる。
攻勢を強める沖尚は8回裏、6番安谷屋、7番宜野座の連打でチャンスメークすると、8番山川のスクイズは打ちあがってしまうが、これが内野の間に落ちるラッキーなヒットとなってついに1点差。流れが傾いている時はこういうものである。なおも無死1,2塁となり、犠打で1アウト2,3塁。いよいよ一打逆転のチャンスが出来上がった。
しかし、ここからしたたかだったのが横浜、というより、横浜の村田監督がしたたかだった。なんと、エース奥村頼に代えて左腕・片山をマウンドへ。これが功を奏し、1番真喜志はスライダーで空振り三振!さらに、2番宮城が四球で満塁となると、今度は一転して降板していた奥村頼を再びマウンドへ送るという、なりふり構わぬ継投を見せる。これにエースが応え、3番新垣瑞はフルカウントから差し込まれた当たりのショートゴロに。絶体絶命のピンチをしのぎ切った。
終盤の一番大事な攻防を積極的な継投で制した横浜は、最終回の沖尚の攻撃もエース奥村頼が封じ込め、8-7でゲームセット!白熱のルーズベルトゲームを制した横浜が、薄氷を踏む思いで選抜優勝校対決を制したのだった。
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惜しくも勝利はならなかった沖尚だったが、しかし、この戦いは王者に対して互角に渡り合えた自信、そして全国制覇へ向けて自分たちがやるべきことを明確にさせた試合だった。夏は県大会決勝でライバル・エナジックを大差で下すと、本戦ではエース末吉、そして、選抜で悔しい思いをした右腕・新垣有が好投。2年生の左右2枚看板が機能する。
打線は大会を通して苦しんだが、仙台育英戦、山梨学院戦と土壇場で積極打法を見せ、若い投手陣を援護。最後は決勝で日大三とのクロスゲームを制し、沖縄県勢としては2010年の興南以来となる全国制覇を成し遂げたのだった。


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