2019年選手権3回戦 履正社vs高岡商(11日目第1試合)

2019年

大会11日目第1試合

高岡商

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 1 0 0 2 4
0 0 3 2 0 2 2 0 × 9

履正社

 

高岡商  荒井→松代

履正社  清水→岩崎

大会11日目の第1試合は履正社の強打が序盤から爆発!高岡商のエース荒井を攻略し、夏の大会では初のベスト8進出を果たした。

試合

履正社は1回戦で霞ヶ浦・鈴木(広島)、2回戦で津田学園・(オリックス)とプロ注目の好投手を打ち崩してきた。鋭いスイングの打者が上位から下位まで並び、球威に全く負けることなく打ち返す。各打者の頭の中では、選抜で負けた星稜・奥川(ヤクルト)のボールが水準となっているのだろう。大会でも屈指の強力打線だ。2回戦ではエース清水が完投勝利を飾り、ディフェンス面も不安はない。初の8強入りへ万全の布陣で挑む。

対する高岡商は1,2回戦ともにエース荒井の好投で先行逃げ切り勝ちを収めてきた。打線は1番森田ら昨年からの経験者を中心に活発。冬場に積み重ねたスイングを自信に、こちらも打撃には自信を持つ。荒井は左右両サイドを突く投球が武器。特に右打者のインコースへ食い込むボールは、相手を苦しめてきた。履正社の右の強打者に対して、この試合も果敢にインコースを突きたいところだ。

 

先発は両チームともにエースをマウンドに送った。履正社・清水は1,2回と安定した投球を見せたのに対して、高岡商・荒井は初回からランナーを背負うピッチングとなる。しかし、初回は4番井上(阪神)を三振、2回は満塁の場面で1番桃谷をショートゴロと相手打線のキーマンの右打者を封じ込め、失点を許さない。

しかし、履正社の各打者の振りは確実に荒井にプレッシャーを与えていく。3回裏、2番池田、3番小深田(DeNA)の左打者2人が長短打を放ってチャンスメークする。4番井上は2打席連続の三振に切って取るが、5番内倉に1,2塁間を破られて先制を許す。履正社打線がベース寄りに立ったこともあって、左打者に対してなかなかインコースを突き切れなかった。

畳みかけたい履正社はさらに7番野口がシュート回転して中に入ってくるストレートを打ち返し、右中間を深々と破るタイムリー3塁打を放って2点を追加する。4番井上が打ち取られても後に続く打者がきっちり仕事をする、本当に息の抜けない打線だ。また、荒井のボールがいつも以上にシュート回転するため、右打者のインコースも思い切ってつけなくなってきていた。

反撃したい高岡商は先頭の2番井林が四球で出塁すると、3番石黒優はすかさず四球後の初球をとらえて1,2塁間を破る。4番のセンターフライで2塁ランナーが3塁へ進むと、5番藤井はきっちりライトへ打ち上げて1点を返す。

これで乗っていきたい荒井だったが、履正社打線を封じる構図がなかなか見えてこない。1番桃谷にセカンド強襲の強烈なヒットを浴びると、2番池田は逆方向への巧みな打撃でつなぐ。強烈な当たりの前になかなかいつもの強気な投球ができない荒井。連続四死球による押し出しで1点を追加されると、5番内倉は犠飛を放ってすぐに2点を返される。

高岡商は6回表に再び2番井林のヒットなどで作ったチャンスに5番藤井が2打席連続の犠飛を放って1点を返すが、その裏にエース荒井が完全に攻略される。ヒットの3番小深田を1塁において、前の打席までインサイドへのボールで封じ込めていた4番井上にアウトコースへのスライダーをしっかり踏み込んで完全に拾われると、打球は左中間スタンドへ弾む2ランとなって7-2。井上が試合の中での対応力の高さを見せ、荒井はこの回でマウンドを降りた。

なんとか差を詰めたい高岡商だが、終盤になっても履正社は手を緩めない。7回裏には四死球で満塁のチャンスに4番井上が2点タイムリーを放てば、8回表には2番手岩崎が迎えたピンチを見事な中継プレーでしのぐ。ホームを狙った走者、送球間に2塁を狙ったランナーをともに正確な送球でアウトにし、攻撃力だけでない履正社の総合力の高さを見せつけていく。

しかし、前年夏に同じ3回戦で大阪桐蔭に敗れてから磨き上げてきた強打が最終回に爆発する。6番石黒和、代打・志水、8番菅沢の3連打で1点を返すと、内野ゴロの間にもう1点を追加。さらにこの試合抑え込まれていた1番森田にもヒットが飛び出して履正社を脅かした。下位打線や控え選手からも強打が飛び出したところに高岡商のチーム力の高さが感じられた。

最終回にひやりとさせられた履正社だったが、最後は岩崎が冷静さを取り戻して後続を打ち取り、ゲームセット。強打で相手を突き放し続けた履正社が山田哲人の代でも、寺島の代でも(ともにヤクルト)成し遂げられなかった夏のベスト8を達成した。

まとめ

履正社は1,2回戦と本格派投手を打ち崩したが、この試合は右のサイドハンドも理詰めの攻撃で攻略。試合の中でも対応力も高く、破壊力と柔軟性を兼ね備えた強力打線であることを証明した。また、終盤に高岡商の強打にさらされても落ち着いた守りで反撃を断ち切り、ディフェンス面の実力の高さも十分に見せつけた。

ライバル大阪桐蔭の牙城の前に出場の機会が少なかった大阪の強豪が存分にその実力を発揮している。

 

一方、高岡商としてはエース荒井がいつもの投球ができなかったが、履正社打線にさせてもらえなかったと言ったほうが正解かもしれない。それだけ履正社の攻撃が鋭く、スキがなかった。1987年のPL学園、前年の大阪桐蔭に続き、またしても大阪勢の高い壁の前に阻まれてしまった。

それでも勝ち上がらなければその壁の前に来ることはできないわけで、打線も計12安打を放って意地を見せた。この積み重ねがいつか富山県勢初優勝につながることを信じ、2019年の戦いは幕を閉じた。

2019817【大阪のやまびこ打線】履正社 対 高岡商 – YouTube

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