大会5日目第1試合
花巻東
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
| 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 5 |
市立和歌山
花巻東 萬谷
市立和歌山 米田
注目の強打者である花巻東の佐々木と市立和歌山の好投手・米田の対決が注目された一戦は、しり上がりに調子を上げた米田が花巻東打線を翻弄。最終回に追い上げを許したが1点差で逃げ切り、2年連続の初戦突破を果たした。
試合
市立和歌山の先発は今大会注目の好投手・米田。最速148キロを誇る速球と多彩な変化球が魅力の右腕だが、立ち上がり制球に苦しむ。
1回表、1番宮沢をストレートの四球で歩かせると、2番渡辺の犠打は小飛球となるも、サード田嶋のダイビングキャッチは及ばず無死1，2塁に。変化球が全くストライクが入らない米田は高めのストレートで、花巻東の注目の3，4番、佐々木・田代を空振り三振に切って取る。しかし、5番小沢にはそのストレートが甘くなったところをとらえられ、ライトへのタイムリーとなって花巻東が1点を先制。市立和歌山としては是が非でもほしかった先制点を奪われる。
これに対して、花巻東の萬谷は落ち着いた滑り出しを見せる。アウトコース主体に安定したコントロールで、市立和歌山打線のキーマンの1番松村、2番堀畑をきっちり打ち取り、三者凡退で滑り出す。
ところが、花巻東ペースになるかと思われた初回から一転、2回以降米田が徐々にボールが低めに集まるようになって立ち直ると、市立和歌山打線が反撃を見せる。2回裏に先頭の4番寺田がラッキーな3塁打で出塁すると、1アウト後に6番田嶋が犠飛を放って同点。さらに3回裏には9番熊本のヒットと四球、犠打でチャンスをつかむと、暴投と2番堀畑のタイムリー内野安打で2点を勝ち越す。
昨年から打力が課題と言われてきた市立和歌山。しかし、この日は各自がアウトコース主体の萬谷に対して狙い球を絞り、逆方向への打撃でヒットを連ねていく。小園（DeNA）-松川（ロッテ）という高校球界屈指のバッテリーを擁しながら敗退した昨年の教訓をしっかり活かしてきたことがうかがえる。この回、4番寺田にもタイムリーが飛び出し、計3点を勝ち越す。
リードをもらった米田は左打者のアウトコースのストレートのシュート回転も消え始め、低めの変化球を交えて、花巻東の打者を打ち取っていく。特に打たれると勢いを与えてしまう佐々木・田代の中軸をきっちり打ち取っていることは大きく、打線の分断に成功する。
エースが守りからリズムを作った市立和歌山は6回裏にも4番寺田がこの日3安打目となる左中間への2塁打で出塁。犠打で1アウト3塁とすると、6番田嶋がセンターへのヒットで寺田をホームへ迎え入れ、5点目を挙げる。大物うちはいなくとも、センターから逆方向への打撃で着実に得点を積み重ねていった。
米田は6回以降、しり上がりに調子を上げ、打てるボールがほぼなくなっていく。花巻東としてはストレートに狙いを絞って打ちに行くが、伸びのあるボールに対してバットがボールの下を通過してしまう。この日はやや打者陣の振りが大きかったように見え、苦戦を強いられた。
それでも、意地を見せたい最終回にようやく打線がつながり、7番千葉、代打・金の連続2塁打で1点を返す。米田の低めの変化球に対してもバットが止まるように、1番宮沢の犠飛も飛び出して2点差！さらに2番渡辺のヒットと3番佐々木の四球でランナーをためると、4番田代は低めの変化球をセンターに打ち返してついに1点差に迫る。
一打逆転の場面で打席には初回にタイムリーを放っている5番小沢。しかし、最後は米田の真っすぐに押されてレフトフライに打ち取られてゲームセット。最後はしびれる攻防を制し、市立和歌山が2年連続の初戦突破を果たした。
まとめ
市立和歌山としては絶対的エースが立ち上がりに制球を乱して先制点を許す苦しい立ち上がりとなったが、この展開を打線が基本に忠実な攻撃でひっくり返したところにチーム力の向上が感じられた。全員がコンパクトなスイングでヒットを放つ様は、振りが大きくなりがちな花巻東打線とは対照的であった。エース米田は中盤以降は徐々に調子を上げて、1失点完投勝ち。昨年と同じ初戦突破だが、投打がかみ合った今年の方が今後の展望も明るそうだ。
一方、史上最強と言われた花巻東の打線だったが、市立和歌山・米田を打ち崩すことはできなかった。序盤、変化球の制球が定まらない米田に対してストレートを狙っていったが、そのストレートが高めに抜けたところを振ってしまい、相手を助けてしまった感はあった。最終回に強打の片りんを見せ、今年の花巻東の良さが見えかかっていただけに惜しまれる序盤の攻防であった。
コメント