2022年選抜2回戦予想 木更津総合vs金光大阪

2022年

2022年選抜2回戦

木更津総合vs金光大阪

53% 47%

〇2-1  山梨学院 〇4-0  日大三島

延長の死闘を制した木更津総合と念願の甲子園初勝利を手にした金光大阪の対戦。総合力で木更津総合が優位であることは間違いないだろう。金光大阪がバッテリーを中心にどこまで食らいつけるか。

 

木更津総合の越井は1回戦は完ぺきな投球であった。ストレートの伸び・球威、変化球の精度、緩急、コントロールとどれを取っても文句のつけようがない。あれだけ吉田監督が自信を持っていた山梨学院の打線ですら成す術がなかった。山梨学院は早いカウントから打って出たが、それでも攻略には至らず。強いていうなら166球を投じたことが少し心配ではあるが、今のところ彼の崩れるところを想像することはできない。

対する金光大阪打線は、1回戦は相手エースの立ち上がりを突くうまい攻めとスクイズで4得点をたたき出した。ただ、今回の相手はそういったスキをなかなか与えてくれそうにはない。1回戦の初回で見せたセンターから逆方向への打撃は、越井攻略の一助にはなると思うが、それだけでは攻略は難しいだろう。狙い球を徹底するなど、かなり念入りに対策を立てて、3~4点を奪うことを目標にしていきたい。

 

一方、金光大阪に勝機があるとすれば、それはエース古川の好投による投手戦に尽きる。1回戦で投げれば投げるほど精度を増したスライダーは木更津総合の強力打線も苦しむだろう。ただ、ストレートとスライダーだけではじり貧になるため、カーブによる緩急をより活かしていきたい。1回戦で見られた内野陣の守備の乱れは致命傷になるため、ミスは出きる限りなくしていきたいところだ。

対する木更津総合打線も山梨学院のエース榎谷に苦しみ、2点を奪うにとどまったが、9安打を放って好走塁も見せるなど、随所にその良さは見られた。特に1番山田はパンチ力のある打撃やタイブレークで見せた好走塁など、攻撃のキーマンになるのは間違いない。1番から6番まで全員にヒットが出ており、鉄板の上位打線で序盤から得点を重ねていきたい。

 

木更津総合とすれば、エース越井の球数制限による影響を考えると、もしかしたら他の投手の先発起用もあり得るか。一方、金光大阪としては大阪で履正社・大阪桐蔭という強大な敵を相手に磨いてきた「守り勝つ野球」を実践し、なんとか勝機を見出したいところだ。

 

主なOB

木更津総合…与田剛(中日)、井納翔一(巨人)、鈴木健矢(日本ハム)、早川隆久(楽天)、山下輝(ヤクルト)

金光大阪…愛敬尚史(近鉄)、吉見一起(中日)、植松優友(ロッテ)、陽川尚将(阪神)、田畑智子(女優)

 

千葉  大阪

春  5勝  6勝

夏  2勝  6勝

計  7勝   12勝

対戦成績は大阪勢が大きくリード。しかし、選抜での対戦はほぼ五分であり、強豪府県同士がっぷり四つの展開となっている。

大阪勢の勝利で印象深いのは1981年の選抜決勝。佐藤-月山(ともに阪神)の黄金バッテリーを要した印旛に対して、中村順司監督が初めて指揮した大会だったPL学園は最終回まで0-1と1点のビハインドを背負っていた。しかし、エース西川(南海)の粘投に最終回に打線が応え、2年生の代打・佐藤のタイムリーで同点に追いつくと、最後は西川が自らタイムリーを放って逆転サヨナラ勝ち。中村PLの快進撃はこの大会からスタートした。

また、余談ではあるが、この印旛が前年秋の関東大会決勝で下したのが群馬の進学校・高崎。何を隠そう、あの「スローカーブをもう1球」で山際淳司に取り上げられたチームである。

一方、2016年の選抜では近畿王者の大阪桐蔭と関東王者の木更津総合が対戦。この両校は2012年夏、そして前年の神宮大会でも対戦しており、いずれも大阪桐蔭が勝利していた。しかし、この日は大阪桐蔭の左腕・高山(日本ハム)が集中打を浴びたのに対し、木更津総合の左腕・早川(楽天)は初回に3番吉沢に浴びたソロホームランの1点のみに抑えて完投勝ち。会心の投球で8強入りを勝ち取った。

また、この試合まで関東勢に対して16勝1敗と無類の強さを誇っていた大阪桐蔭に勝利。今でも大阪桐蔭に甲子園で勝った関東のチームは早稲田実の斎藤佑樹とこの年の木更津総合だけである。(現在2020年の交流試合の東海大相模戦も含めると、大阪桐蔭の21勝2敗)

思い出名勝負

1995年選抜1回戦

銚子商

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1 0 0 2 0 2 2 0 0 0 3 10
0 0 4 0 0 3 0 0 0 0 0 7

PL学園

 

銚子商  嶋田→平津

PL学園  前田→前川→福留

 

阪神淡路大震災の影響で開催すらも危ぶまれた1995年の選抜大会。史上初めて鳴り物の応援が禁止されるなど、例年とは違う雰囲気の中、大会初日の第3試合で高校野球ファン垂涎の好カードが組まれた。

PL学園は秋の近畿大会を2年連続で制覇。1987年の春夏連覇の後は苦しい時代を過ごしていたが、ここにきて完全復活の様相を呈してきた。4番ショートを務める福留孝介(中日)は全日本の4番を張るほどの逸材。とらえた時の打球の飛距離は飛びぬけており、立浪2世の呼び声高かった。周りを渡辺、諸麦、出井ら好打者が固め、過去に優勝した時の打線と比較しても遜色ない破壊力を秘めていた。

また、投手陣は制球力のある前田、将来性豊かな2年生左腕・前川(ともに近鉄)が安定。失点も計算でき、投打に試合内容は安定していた。当時はまだ神宮大会が各地区大会の優勝校による大会ではなかったため、PL学園は同大会に参加せず。物差しがなかったこともあったが、やはり大会前は近畿王者として圧倒的な優勝候補に挙げられていた。

そのPL学園と初戦で対戦することになったのは、伝統の黒潮打線で過去幾度も甲子園を沸かせてきた銚子商。名将・斎藤監督に率いられ、1974年の甲子園では初戦でPL学園を下し、そのまま全国制覇を達成していた。しかし、平成に入ってからは拓大紅陵・市立船橋などの台頭もあり、出場機会は激減。気づけば1985年の夏以来、10年間も大舞台から遠ざかっていた。

しかし、1995年度のチームはPL学園の福留と双璧と言われたスラッガー澤井良輔(ロッテ)を中心に4番捕手の越川、技巧派のエース嶋田と粒ぞろいの選手が揃っていた。秋の大会では澤井が打率7割5分を記録する活躍を見せて、関東大会ベスト4に進出。飯島監督になって初めての甲子園に向けて腕を撫していた。

 

試合前から東西のスラッガーの激突、しかも同じ中軸でショートということもあり、福留と澤井の打撃に期待が集まっていた。ただ、試合前の予想ではやはりPL学園有利が大半を占めており、銚子商の苦戦が予想されていた。

1回裏、この雰囲気を3番澤井が吹き飛ばす。簡単に2アウトを取られるが、PLの先発・前田のインサイドのボールをすくい上げると、打球はライトポール際に飛び込むホームランとなって銚子商が1点を先制する。10年のブランクがあった銚子商にとって、澤井のホームランは味方ベンチに勇気を届ける一撃となった。

ただ、これでPL学園が黙っているはずもない。3回裏、打者2周り目に入ってチャンスを作ると、1アウト尾1,3塁から2番渡辺にエンドランを敢行。これがまんまとはまってレフト前タイムリーとなり、すかさず同点に追いつく。

さらにランナーを2人置いて、打席には4番福留。昨年から4番を務める経験豊富なスラッガーが、銚子商の先発・嶋田のアウトコースのストレートを振り抜くと、打球はセンターバックスクリーンに飛び込む3ランに。東西の注目打者のアーチ共演に観衆は早くもお祭り騒ぎとなり、PL学園が一瞬にして4-1と銚子商を大きく突き放す。

しかし、試合前から飯塚監督が「7点勝負になる」と踏んでいた銚子商サイドはひるまない。直後の4回表、5番嶋田・6番山本の連打で早くも1,3塁のチャンスをつかむと、8番石毛は甘めに入ったスライダーを完ぺきにとらえてレフトオーバーの2塁打とし、2人の走者が脱兎のごとく生還。すぐに点差を1点に縮める。各打者がコンパクトなスイングでヒットを重ねる「新・黒潮打線」がその威力を発揮し始めた。

追撃態勢に入った銚子商は6回表には、5番嶋田の死球と7番大胡のヒット、そして8番石毛のファーストゴロエラーで労せず1アウト満塁のチャンスを築く。2アウトを取られるが、続く1番田中のセカンドゴロが悪送球を誘って2者が生還、ついに銚子商が逆転に成功する。この日は雨が降っていていつものコンディションではなかったが、PLらしい守りがこの日は全く見られない。中村監督はここでエース前田をあきらめ、2年生左腕の前川をマウンドに送った。

2年生投手を援護したい打線は直後の6回裏、再び銚子商・嶋田をとらえる。先頭の7番前川が自ら流し打ちのヒットを放って出塁(翌年夏の大阪大会では4試合連続ホームランを放つなど、打撃もいい前川)。内野ゴロと9番稲荷のラッキーな内野安打で1,3塁とすると、1番諸麦のショートゴロを澤井がジャッグル。この間に3塁ランナーが生還して同点に追いつく。この後、さらに満塁とチャンスを広げ、PLが7-5と再びリードを奪う。

次こそこのリードを守り抜きたいPLだが、7回表に再び守備の乱れ。3番澤井の死球と5番嶋田の内野安打でランナーをためると、6番山本の打球を今度は福留がはじいて澤井がホームへ生還、1点差に迫る。さらに7番大胡にはスクイズを命じ、これがまんまとはまって銚子商がすぐ再び同点に追いついた。この日、ともにホームランを放っていた福留と澤井だったが、ショートの守備でも互いに失策を犯してしまい、皮肉にも攻守で似たような結果となってしまう。

その後は銚子商・平津、PL学園・前川の両投手の投げ合いに。PLは8回裏に先頭の1番諸麦が3塁打を放って大チャンスを迎えるが、後続がそのチャンスを活かせない。同点のまま試合は進んでいたが、流れは徐々に銚子商に傾いていった。

決着がついたのは延長11回表。当たっている3番澤井を打ち取って前川はほっとしたか、続く4番越川に右中間を破る2塁打を浴びる。一度切れてしまった集中力は戻らず、続く嶋田にはこの日3本目のヒットとなるテキサス性のタイムリーヒットを浴びて、銚子商が勝ち越し。気落ちしたところで、6番山本がカーブを見事に救い上げて2ランホームランを放ち、この回3点の勝ち越しに成功した。

リードをもらった平津はアウトコース低めを丁寧に突く投球でPL学園の反撃を0点に抑え、ゲームセット。銚子商が伝統校の意地でV候補筆頭を退け、2回戦進出を決めた。

 

銚子商はその後、エース嶋田が好投を見せ、宇部商・前橋工・今治西と公立校対決を次々制して決勝まで勝ち上がった。決勝では旋風を巻き起こした観音寺中央に敗れたが、久々の甲子園で復活をアピールするには十分な戦いぶりであった。夏も連続出場を果たしてベスト16まで進出し、主砲・澤井は同年のドラフトで地元の千葉ロッテに1位指名を受けた。

一方、PL学園は守備の乱れがことごとく失点につながり、らしくない負け方で甲子園を後にした。選抜大会では初の2桁失点というおまけもつき、中村監督の指導の下、再びディフェンス面から鍛えなおすこととなった。夏の甲子園では初戦で主砲・福留が2ホームランを放つなど、3勝を挙げてベスト8へ進出。福留もまた、社会人を経て3年後の1998年に中日からドラフト1位指名を受けてプロ入りし、現在もドラゴンズで活躍を続けている。

第67回センバツ 銚子商業vsPL学園① – YouTube

第67回センバツ 銚子商業vsPL学園② – YouTube

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