2025年選手権準決勝 日大三vs県岐阜商(14日目第1試合)

2025年

大会14日目第1試合

日大三

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1 0 0 0 0 0 0 1 0 2 4
0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 2

県岐阜商

 

日大三    根本→近藤

県岐阜商   柴田

優勝経験校同士の第1試合は、1点にしのぎを削る好ゲームとなった。終盤にエース近藤の同点打が飛び出した日大三が、タイブレークにまで及んだ攻防を制し、優勝した2011年以来14年ぶりの決勝進出を決めた。

試合

日大三はこの試合、甲子園はおろか西東京予選でも登板の無い2年生右腕・根本を先発に起用。一方、県岐阜商はエース柴田が2回戦以来となる先発のマウンドに上がった。県岐阜商の柴田は前の試合で勝利したとはいえ、7失点を喫しており、立ち上がりが心配された。

1回表、1番松永のファウルフライはレフト宮川の好捕で事なきを得たが、日大三打線は打てると思ったボールは積極的にスイングをかけていく。2番松岡がストレートをセンターにはじき返すと、3番本間は同じくインサイドに来た速球を強振!これがファーストのミットをはじいてライト線に転がり、1アウト2,3塁と大きなチャンスを迎える。ここで打席には今大会2ホームランの4番田中。カウント2-2から真ん中よりに落ちるスライダーを引っ張ると、打球はショートのグラブをはじくタイムリー内野安打となる。日大三が大事な試合で、初回に先制点を奪った。

しかし、柴田も続くピンチはしのぎ、1点に抑える。3安打されたとはいえ、ボール自体の走りはそこまで悪くない印象だ。これに対し、日大三の根本はいきなり1番駒瀬をセカンドゴロエラーで出塁させてしまい、2塁まで進塁となる。続くは県岐阜商の好調な上位打線。しかし、球威・スピードがあるタイプではないが、立ち上がりからスライダーでカウントを取ることができている。2番稲熊をバントさせずにアウトに仕留めると、3番内山、4番坂口とスライダーを打たせて無失点。大ピンチをしのぐ。

初回に失点した柴田は、2回表にも先頭の7番永野をショートゴロエラーで出してしまい、犠打で1アウト2塁に。9番根本は三振に取るが、続く打席に怖い1番松永を迎える。立ち上がりから高めに浮きがちなストレートがアウトハイに入ると、これを松永がたたきつけた打球は三遊間を割っていく。しかし、ここでチャージをかけたレフト宮川の送球はホームへワンバウンドで返り、クロスプレーになるもタッチアウト!初回に続く宮川の好プレーで柴田も立ち直りのきっかけをつかんだか。

守りからリズムを作った県岐阜商は、2回裏に自慢の打線が根本をとらえる。初回に多かったスライダーに照準を絞り、5番宮川がセンターへのヒットで出塁。続く6番小鎗には強攻策を指示数すると、これがバントシフトを敷いていた日大三の逆を突く形で1,2塁間を破る。無死1,3塁となって打席には、好打者の7番横山。インコースの決して簡単ではないスライダーを引っ張ると、打球はライトへの犠飛となって、早い時間帯に同点に追いつく。

すると、追いついてもらった県岐阜商・柴田が立ち直りを見せる。真っすぐは高めに入るリスクがある中、捕手・小鎗がスライダー中心の配球に変え、カットボールも有効に使いながら日大三打線をかわしていく。縦にブレーキの効いた曲がりを見せるスライダーは、曲がり幅も大きいため、狙っていてもなかなか捉えることは難しい。3回、4回ときっちり日大三打線を封じ、打線の援護を待つ。

一方、日大三は4回裏に思わぬ展開でピンチを招く。先頭の4番坂口にまたもスライダーを狙われてヒットを許すと、犠打で2塁へ。ここで6番小鎗はライトフライに打ち取るが、これを松永がまさかの落球。2アウト2塁のはずが、一転して1アウト2,3塁と大ピンチになってしまう。と、ここで三木監督は迷わずエース近藤をマウンドへ。根本としては不運な形での降板ではあったが、投球の軸となるスライダーを狙われ始めており、交代のタイミングとしては良かったのかもしれない。

このピンチは、エース近藤が抑え、無失点で切り抜けるが、近藤対策を考えていた県岐阜商にとっては、待ってましたと言ったところか。5回裏に勝ち越し点を上げる。先頭の9番渡辺がストレートの四球を選ぶと、内野ゴロで二塁へ。2番稲熊の死球もあって、2アウトながら1,2塁とすると、打席には4番坂口。横浜戦でサヨナラ打を放った好調な主砲は、近藤の緩いカーブに狙いを絞ると、しっかり呼び込んでタイムリーに!県岐阜商打線は1回戦から、こういう緩い変化球への対応が非常にうまい。

1点のビハインドとなった日大三。6回表には、先頭の4番田中が2塁打を放って出塁するも、けん制でタッチアウト。得点を上げられずに終わると、7回表にも複数のランナーを出しながらスコアボードには「0」が刻まれる。柴田のスライダーをよく選球していくが、捕手・小鎗が浮きがちな速球をあえてインサイドへ持ってこさせ、詰まらされる打球が目立つ。攻略の方針は立ちつつあるものの、ここまで一人でマウンドを守り続ける2年生エースの気迫に押されてしまう。

しかし日大三・近藤も6回、7回と県岐阜商打線を3人で片付ける素晴らしいピッチングを展開。5回裏に緩いカーブをとらえられてタイムリーを浴びたが、自分の投球のスタイルは変えない。内外の出し入れ、そして緩急。丁寧にボールを配し、勢いに乗っている「公立の雄」を封じ込めていく。

すると、8回表、強打の三高がついに相手エースをとらえた。

先頭の4番田中柴田の高め速球を球威に全く負けることなく、センターへ打ち返す。5番竹中の犠打と6番安部の四球で1アウト1,2塁とすると、打席には投げ合ってきた7番近藤。ここまで打撃も好調なエースが冷静に柴田の投球を見極める。8回に入って球数が120球を超え、スライダーにややばらつきが出始めていた。そこを逃さなかった近藤が、カウントを取りに来た速球をセンターに返す。打球は二遊間を襲い、内野手のグラブをはじいて転々。これを見た2塁ランナーの田中が一気にホームを駆け抜け、日大三がついに同点に追いつく。

同点となり、柴田の球数がかさむ中、なかなか交代させる選択は難しい県岐阜商。一方、日大三は近藤が回を追うごとに調子を上げていく。同点となった8回の攻防が、両者の立場を入れ替えることとなった。

9回表、日大三は先頭の1番松永がヒットで出ると、犠打と四球で1アウト1,2塁。ここで4番田中の打球はセンター後方を襲う大飛球となる。ここはセンター渡辺が必死に背走し、キャッチして事なきを得るが、柴田の速球に対して、前の回あたりから各打者が力負けしなくなってきていた。その裏の岐阜商の攻撃は、近藤がわずか7球で封じ、無得点。どちらに勢いがあるかはだれの目にも明らかだった。

タイブレークに突入した10回表、日大三は6番安部が犠打で進め、1アウト2,3塁。ここで先ほどタイムリーを放っている7番近藤が、またも同じようにアウトコースの速球をセンターへはじき返す。これがタイムリーとなり、1点を勝ち越し。2打席連続でタイムリーと、まさに千両役者の活躍ぶりである。さらに8番桜井もインサイドの速球をライトに打ち返し、2点目。大きな追加点が入り、近藤の重圧を軽減した。

その裏、県岐阜商の攻撃は1番駒瀬。変化球をとらえた打球はサード正面のゴロに。サードが目の前のベースを踏み、併殺かと思われたが、1塁への送球がそれてしまい、ランナーがそれぞれ進んで1アウト2,3塁となる。ここで日大三は前進守備は敷かずに1点OKの態勢。そして、エースの近藤は冷静であった。巧打の2番稲熊に対し、初球を緩いカーブで入るという余裕。笑顔で相手を制圧するようなボールを投げ、場を制した。続く2球目の変化球を稲熊がとらえるも、サードの正面へのゴロ。3塁ランナーが挟まれ、2アウトとなる。

とにかく粘り強く、そして打たれ強い日大三のエース。最後まで自分のペースを乱さなかった。3番坂口に対しては、ややボールが真ん中寄りに入るも、痛烈な当たりがファーストのグラブに収まってゲームセット。西東京の強豪が14年遠のいていたファイナルの舞台へついに戻ってきた瞬間であった。強豪同士の好カードは4-2で決着。観衆が拍手をやめない好試合であった。

まとめ

日大三は苦しい試合となったが、投打で粘り強さを発揮し、決勝への切符をつかみ取った。エースが粘り強く投げぬき、打線は相手投手の球種を絞り切って、狙ったボールは一撃で仕留める。「Simple is best」という言葉が似あう、強者の野球で勢いに乗る伝統校に競り勝って見せた。柴田のスライダーにはさすがに手を焼いたが、終盤は冷静に選球し、速球に狙いを絞って打ち砕いた。4番田中をはじめとして、ここという時の集中力は特筆ものである。

また、近藤の投球はこの日も素晴らしく、あれだけ打ちまくっていた県岐阜商打線に後半のイニングはほとんどチャンスを作らせなかった。頭を使い、工夫を凝らして投げるスタイル。驚くようなスピード、変化球がなくとも抑えることができるというお手本のような投球であった。

2001年、2011年のようなスター選手は3年生にはいないが、日大三らしい泥臭いプレースタイルはこの代もしっかり引き継いでいる。小倉イズムを継承した西東京の強豪が3度目の夏の栄冠にてをかけるのか、ついに後1勝だ。

 

一方、県岐阜商は敗れはしたものの、日大三に一歩も引かない試合を見せた。今日まで5試合の戦いぶりも含めて、本当に素晴らしく、今大会の主役と言っていい存在だった。上位から下位まで基本に忠実なセンター返しの打撃、エース柴田を中心に2年生が奮闘した投手陣、横浜戦でファインプレーを見せた横山をはじめとした内外野の堅守。どれをとってもスキがなく、前任の鍛治舎監督からの指導が、この夏になって生きたのだろう。

特に打撃は、横浜投手陣から16安打を放った様に、強豪私立にも全く引けを取らなかった。栄養管理を徹底し、夏を戦い抜けるスタミナ作りをしてきたことも含めて、チームとしての強化方針が間違っていなかったことを証明したと言えるだろう。2010年代後半に一度低迷期に陥った名門校だが、この夏の戦いぶりは完全復活を印象付けるとともに、今後の展望も非常に明るいことを示すものであった。

 

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