2025年選手権準決勝予想 山梨学院vs沖縄尚学

2025年

2025年選手権準決勝

沖縄尚学vs山梨学院

49%   51%

〇1-0  金足農       〇6-2    聖光学院

〇3-0  鳴門        〇14-0  岡山学芸館

〇5-3  仙台育英    〇11-4  京都国際

〇2-1  東洋大姫路

ともに二人の2年生投手を軸に勝ち上がった両校。1試合分のスタミナの差でやや山梨学院が有利となるか。

 

沖縄尚学は、末吉と新垣有の2年生の左右両輪が交互に先発してきた。順番からすると、次は末吉の伴だろう。ただ、初戦では難攻不落と思われた左腕も、さすがにここにきて疲れがあるのは否めない。速球は走っているが、コントロールできていたスライダーがやや甘く入るところがあり、そうなると、山梨学院は逃してはくれない。捕手・宜野座のリードももちろんだが、場合によっては新垣有の早期投入も決断しなくてはならない。その新垣有は準々決勝で会心の投球を見せており、同じような投球ができれば、山梨学院相手でも充分通用しそうだ。

対する山梨学院打線は、準々決勝で京都国際の好左腕・西村を攻略。4番横山の一発で試合を振り出しに戻し、動揺が収まらぬところを速球狙いで攻略した。まさに強者の野球といった印象で有り、相手がひるんだり、疲労が出たところを逃さずに一気に攻め立ててくる。仮に末吉が速球一辺倒になったら、いくら球威があると言っても攻略してきそうだ。平野・横山・梅村の3人を中心に甲子園経験も十分であり、下位には打撃もいい菰田が控えているのがまだ驚異的だ。ここまで3試合で31得点の破壊力。止めるのは容易ではない。

 

一方、山梨学院は4強の中でも投手運用に最も余裕がありそうに映る。2年生エース菰田は、194㎝の長身から投げ下ろす速球が武器。高めを打たせて取っていくため、球威が落ちた時の怖さはあるが、ここまで吉田監督が短めのイニングにとどめたこともあって、まだスタミナに余裕はありそう。むしろカギを握るのは左腕・檜垣であり、彼の好リリーフが何度もチームを救っている。左腕からの低めのスライダーは、菰田の投球を見た後だと、なかなか手が出ないだろう。京都国際打線が終盤に少し攻略の糸口を見出したような感もあったが、いずれにせよ彼を早く引きずり出す展開を作らないと相手チームの勝機は薄そうだ。

対する沖縄尚学打線は、ここまで4試合で11得点と4強入りしたチームの中では最少。いずれも相手チームの投手のレベルが高かったこともあり、数字ほど打力がないわけではないが、厳しいコースのボールで打ち取られてしまっている。特に準々決勝の東洋大姫路戦では、5回から9回をパーフェクトに封じられ、現在16人連続でアウト中と袋小路に入ってしまった印象だ。次戦は、まず立ち上がりで1番新垣瑞、2番真喜志の二人で突破口を開き、流れを変えたい。仙台育英戦では好左腕・吉川の高めに浮いた変化球を痛打できただけに、菰田の高め速球をうまく弾き返したいところだ。

 

昔は、1回戦から勝ち上がったチームの勢いが勝るケースが多かったが、2010年代中盤で酷暑が増すようになってからは2回戦枠の優勝チームが増えた印象だ。この傾向を暑さに強いと言われる沖縄のチームがかわせるか。本来の実力が出せれば、両者がっぷり四つの好試合になること請け合いだけに、1日の休養を挟んで万全の状態でぶつかってほしい。

 

主なOB

沖縄尚学…岡留英貴(阪神)、與座海人(西武)、砂川リチャード(巨人)、嶺井博希(DeNA)、東浜巨(ソフトバンク)

山梨学院…中込陽翔(楽天)、宮崎一樹(日本ハム)、垣越建伸(中日)、内村賢介(楽天)、松本哲也(巨人)

 

沖縄  山梨

春  1勝  0勝

夏  1勝  1勝

計  2勝  1勝

対戦成績は春は沖縄勢がリードし、夏は1勝1敗のタイだ。

1999年春は準々決勝で市川と沖縄尚学が対戦。市川はあの「ミラクル市川」と呼ばれ、ベスト4入りを果たした1991年以来となり選抜であった。初出場で、宇都宮学園・桐生第一と関東対決を2試合連続で逆転サヨナラ勝ちし、鮮烈すぎるデビューであった。名将・渡辺監督に率いられ、新たな公立の強豪校が生まれたことを感じさせる戦いだった。

市川vs桐生第一 1991年選抜 | 世界一の甲子園ブログ

そして、この1999年の代は前年秋に公式戦の連勝街道を爆走中だったあの横浜を関東大会の決勝で6-5と撃破。エース高室、主砲・今村と投打に柱になる選手がおり、渡辺監督も自信をもって臨んでいた。

しかし、沖縄尚学戦は予想していた左腕・比嘉公ではなく、右腕・照屋が先発。初回に2点を先制されると、序盤から追う展開となり、追いつくことができない。2-3と1点ビハインドの8回裏に1アウト3塁のチャンスを迎えたものの、スクイズが失敗と市川らしくないミスも出てしまい、9回に1点を追加されて、4-2と敗退が決まった。

市川・渡辺監督としては、チャレンジャー精神で臨んだ1991年と違い、関東王者として乗り込んだこの大会は挑まれる立場の難しさを感じた大会だったかもしれない。それでも出場5大会すべて初戦突破し、うちベスト4が2回、ベスト8が2回と素晴らしい戦績を残した同校の戦いぶりは今も高校野球ファンの脳裏に根付ている。

一方、この勝利で勢いを得た沖縄尚学は、準決勝で比嘉公也(現監督)が、PL学園を相手に212球の熱投を見せ、勢いそのままに優勝を果たすこととなる。こちらも名将の金城監督が生活面から選手を鍛えなおし、これまで一度も上位進出を果たしたことのなかった沖縄の高校が一気に頂点まで駆け上がったのだ。甲子園の歴史の中でも駒大苫小牧の北海道勢初優勝とこの沖縄尚学の沖縄勢初優勝は、欠かすことのできないTOPICである。

さて、今回は夏の甲子園決勝をかけた大一番。山梨勢はまだ一度も夏の決勝の経験がなく、沖縄尚学も選抜は2度制覇しているが、夏は初めてとなる。ゆずれない両校の争い。制するのはどちらになるか。

思い出名勝負

2001年夏2回戦

宜野座

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
1 1 1 1 0 0 0 0 × 4

日本航空

 

宜野座    比嘉裕→仲間芳

日本航空   八木

2001年の選手権大会は、関東勢と九州勢が非常に好調な大会で有り、関東勢は9校中8校が、九州勢は8校中6校が初戦を突破していた。そんな中、開幕戦で上宮太子との注目対決を制した選抜王者・常総学院が、8日目の第3試合でしんがり登場の秀岳館に0-3とまさかの完封負けを喫する。秀岳館はこの年が初出場であり、まだ無名の存在であった。大会中盤にきて大波乱が起き、優勝争いが混沌とする中、翌日に第1試合で九州と関東の実力校同士がぶつかることとなった。

宜野座は秋の沖縄大会を制すると、九州大会では惜しくも鳥栖に0-1と敗退。しかし、10安打を放っての敗戦であり、実力は高く評価されていた。すると、この年から新設された21世紀枠に推薦され、初出場が決定。その選抜では、東海地区優勝の岐阜第一、注目スラッガー石井を擁する桐光学園、地元・近畿勢の浪速と強豪・注目校を次々なぎ倒して4強入り。一躍全国でも注目のチームとなった。

中でも目を引いたのが、右腕・比嘉裕の「宜野座カーブ」。円盤投げの要領で親指で切るという独特の変化球は、打者の手元で鋭く落ち、とらえるのが難しい。関東屈指の強打を誇った桐光学園打線をもってしても、3点を奪うのがやっとであった。また、打線は犠打を駆使した攻撃に特徴があり、勝負所でしかけるスクイズがアクセントとなって相手を悩ませていた。嘉陽、山城尚の中軸には長打力があり、右サイドの右腕・仲間芳も台頭し、充実した時を経て夏を迎えた。

桐光学園vs智辯学園 2001年選抜 | 世界一の甲子園ブログ

そして、夏の沖縄大会は他校を寄せ付けずに危なげなく制覇。迎えた甲子園初戦では選抜準決勝で敗れた仙台育英とのリベンジマッチを引き当てた。この試合は、スタメンに3人並んでいた山城姓の内、唯一選抜で当たりのなかった7番山城優が相手エース芳賀から先制ホームランを記録する。これで勢いに乗った宜野座は、先発・仲間芳が4回裏の無死満塁のピンチをしのぎ、9安打を浴びながらも1失点で完投勝ち。奇しくも選抜と逆のスコアで7-1と快勝を収め、2回戦進出を決めた。

 

一方、日本航空は名将・初鹿監督が就任し、年々力をつけてきていた。初出場は1998年選抜。しかし、大会に入って体調不良者が出るアクシデントに見舞われる。ただ、そんな状況のなかでの初戦の仙台育英戦は3つのスクイズを決めて逆転勝ち。相手の1/3の3安打で勝利を収めるという会心の試合運びを見せた。また、敗れはしたものの、2回戦の徳島商戦でも強打の相手に対して、中盤まで試合をリード。また、連続出場した夏も関大一の準優勝投手の久保康(ロッテ)を最後まで苦しめる戦いを見せた。

昭和後期から平成初期にかけて東海大甲府1強の様相を呈していた山梨県。しかし、市川高校や甲府工になどが台頭し、ここにきてまた新たな強豪が出てきた印象だった。この2001年の世代は本格派左腕・八木(日本ハム)、右サイドの矢野と投手陣が充実し、野手陣は4番三沢、5番三木と長打力のある主砲を揃えていた。ちょうど3年前の選抜出場を見て、入学した世代であり、犠打の多かった初出場時と比べると投打にスケールの大きな印象であった。

そして、迎えた夏の山梨大会。エース八木の好投で順当に勝ち上がると、決勝の相手は東海大甲府であった。エース八木が攻略され、追いつ追われつの接戦となるが、リリーフした矢野が好投。最後はサヨナラの内野安打が飛び出し、山梨の盟主だった強豪に新興勢力が勝つという、エポックメイキングな結末で初の夏出場を決めた。

すると、迎えた甲子園初戦では鳴門工の2年生バッテリー丸山-濱永が相手だったが、2回の三木の同点ホームランを皮切りに、4回に4点を上げてKO。年の選抜準優勝バッテリーに格の違いを見せつけると、その後も攻撃の手を緩めず、エース八木の好投もあって11-1と大差で2回戦へコマを進めた。まだ、大会序盤とはいえ、日本航空のチーム力の高さは誰の目にも明らかだった(個人的にはこの年が日本航空史上最も強かったと思っている)。

 

さて、そうして迎えた2回戦注目の好カード。日本航空の先発はもちろん八木。一方、宜野座の先発は2枚看板のもう一人、選抜で大活躍した右腕・比嘉裕を持ってきた。

立ち上がり、八木が3者凡退と快調な立ち上がりを見せたのに対し、比嘉裕は初回から捕まってしまう。簡単に2アウトを奪うも、3番芦沢にセンターへのヒットを許すと、4番三沢には得意のカーブが浮いたところを狙われる。打球は右中間をあっという間に破るタイムリー3塁打!試合前は、あるいは選抜ベスト4の宜野座の方が格上かと思っていたが、そんな意識を覆すほどの強烈な打球をお見舞いした。

この日は制球に苦しむ比嘉裕。2回裏にも1番山下にタイムリー2塁打を浴びて失点を喫する。選抜では面白いように空振りを取っていた宜野座カーブを高めに浮いてしまうと、打者の餌食となった。比嘉裕はこの回でマウンドを降り、3回からは仲間芳がマウンドへ上がる。

一方、好調な宜野座打線も2回、3回とヒットが飛び出し、八木に迫っていく。3回裏に八木が自らタイムリーを放って点差が3点に広がるが、直後の4回表、4番山城尚のセンター前ヒットなどで得たチャンスに、初戦でホームランを放ち、6番に打順を上げていた山城優が犠飛を放って1点を返す。沖縄のハイサイおじさんの声援に乗って、いよいよ反撃開始かと思われた。

しかし、得点した直後に、日本航空の2番大仁田にまたもタイムリー2塁打を浴びて失点。4回まで放ったヒット7本のうち4本が長打と、甘く入った時に逃さない日本航空打線の怖さを思い知る。ただ、5回以降は仲間芳が低めを丁寧に突く投球で内野安打1本に抑え、じっと反撃を待った。

試合終盤は明らかに宜野座が押し気味。だが、回転のいい速球をコーナーに決める八木をどうしてもとらえきれない。この日4打数4安打と絶好調だった4番山城尚がランナーでいる場面で回ったのが1度だけで有り、打順のめぐりあわせも良くなかったか。

それでも7回表には5番松田、6番山城優の連打で無死1,2塁とチャンスを得る。しかし、ここでもいつも決まっている犠打が決まらない。バント職人と言われた、8番主将の安富も失敗に終わり、打って出たところでショートゴロ併殺。日本航空の捕手・木村のリードが光り、それに抜群の制球力で答えた八木も見事であった。

結局、八木は9安打を浴びながらも1失点で完投。同じ9安打ながら序盤にヒットを集め、得点を重ねた日本航空の快勝であった。得点ほど両者の差はなく、ハイレベルなチーム同士の対戦だったが、やはり大事な試合は先手必勝。エースが投げ、序盤の攻防を優位に進めた日本航空が同校初の3回戦進出を決めたのだった。

熱闘甲子園【2001 全話】

 

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