2025年選手権3回戦
山梨学院vs岡山学芸館
52% 48%
〇6-2 聖光学院 〇3-0 松商学園
好投手を擁するチーム同士の対戦。総合力ではやはり山梨学院が上回りそうだ。
山梨学院は2年生エースの菰田が剛速球を武器に、初戦で巧打者ぞろいの聖光学院打線を翻弄。聖光学院打線の実力は決して低くなく、完ぺきに抑え込んだ菰田のボールがすさまじかったのだ。角度、球威とも十分であり、コントロールも安定しているため、ストライクゾーンで勝負できる。いたずらに待球しても攻略はできないだけに、なんらかの策がないと厳しいだろう。また、左腕・檜垣もスライダーを武器に安定しており、終盤での継投も視野に入れる。あるいは左の巧打者の多い岡山学芸館に対し、桧垣の先発もありうるかもしれない。
対する岡山学芸館打線は、粘り強さと機動力が持ち味。初回に4盗塁を仕掛けたように(うち1つは失敗)、序盤から躊躇なく先の塁を狙う。好捕手の横山に対しても、その姿勢を貫きたいところだ。ただ、まずは塁に出ないと機動力も使えないため、菰田が先発だった場合に、どのようにしてあのストレートを攻略していくかを練らなくてはいけない。2番藤原、3番又吉、4番繁光と当たっている上位打線でなんとか突破口を開き、あわよくば先制点を手にしたい。
一方、岡山学芸館の青中は、初戦の松商学園戦で序盤に度重なるピンチがありながらも要所を締める投球で得点を与えなかった。いい意味での「のらりくらり感」があり、ランナーを背負っても落ち着き払った投球ができる。強打の山梨学院相手だと、ある程度はピンチを背負う状況が予想されるため、同じような姿勢で臨み、失点しても最少で抑えたい。また、非常にクレバーな打線のため、試合途中での配球の変更も、相手の狙いに先行して行いたいところだ。
対する山梨学院の選手たちは選抜を一昨年から経験している選手が揃い、非常に野球脳が高い。初戦は聖光学院の好左腕・大嶋が相手だったが、決め球のスライダーをじっくり見極め、終盤のイニングでは完全に攻略していった。堀を埋めるように少しずつ相手の選択肢をなくしていき、梅村・横山・平野の中軸で仕留める。6番の萬場が当たっているのも好材料だ。初戦は先制点が6回だったため、次戦はできれば序盤で先行したいところだろう。
岡山学芸館としてはエース青中の好投は絶対条件となる。3~4点以内での試合にできれば勝機はあるか。山梨学院・吉田監督の継投のタクトも注目だ。
主なOB
山梨学院…中込陽翔(楽天)、宮崎一樹(日本ハム)、垣越建伸(中日)、内村賢介(楽天)、松本哲也(巨人)
岡山学芸館…柴原実(阪急)、橋本義隆(日本ハム)、金村尚真(日本ハム)
山梨 岡山
春 1勝 1勝
夏 1勝 1勝
計 2勝 2勝
対戦成績は1勝1敗の五分の星。
1985年は東海大甲府と岡山南が対戦。当時両校とも常連校であったが、強力打線の東海大甲府が前年8強の岡山南の投手陣を呑み込み、11-2と大勝で初戦を突破した。この大会で同校史上初めての4強に進出。準決勝で宇部商に逆転負けを喫したが、大きく前進した大会となった。大八木監督に率いられた甲州の暴れん坊は、ここから黄金時代を築いていくこととなる。
一方、2016年の選抜では初戦で創志学園と東海大甲府が対戦。前年夏から2季連続出場だった東海大攻守は2年生投手の菊地と松葉という2人の右腕投手が残り、高い投手力を武器に秋の大会を勝ち上がってきた。しかし、選抜本戦では大会屈指の剛腕である創志学園・高田(巨人)が立ちはだかり、東海大甲府打線を1失点で完投。投げては松葉が創志学園打線の機動力に捕まり、5-1と創志学園の完勝に終わった。
夏は実に36年ぶりとなる両県の対戦。勝利するのはどちらか。
思い出名勝負
2024年選抜2回戦
創志学園
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 4 |
山梨学院
創志学園 明星→中野→山口
山梨学院 津島→桜田
2024年の2回戦4つ目の試合は、前年優勝校の山梨学院に、好左腕・中野を擁する創志学園が挑む構図で試合はスタートした。
山梨学院の先発はこの日も2年生左腕・津島、対する創志学園はこの日が初登板となる、同じく2年生左腕・明星がマウンドに上がった。
津島は1回表、先頭の1番亀谷をいきなりストレートの四球で出す不安定な立ち上がり。犠打で1アウト2塁となり、中軸を迎える。しかし、ここで3番朝野、4番豊島をいずれも初球の変化球で打ち取り、無失点に。創志学園としては狙っていったボールだったかもしれないが、打席で見ると想像以上の曲がりだったのかもしれない。
その裏、創志学園は明星がマウンドに上がる。初戦で完封した左腕・山口と右腕・中野の2枚看板の評だったが、門馬監督の隠し玉となる3番手の男が大役を任された。1回裏、1アウトから2番万場にヒットを許すが、けん制タッチアウトを奪い、後続も抑えて無失点。初先発ながら、躍動感あるフォームから繰り出すキレのある変化球を投げ、落ち着いたマウンドさばきを見せる。
しかし、これで乗っていくかと思われた2回裏、山梨学院打線が明星をとらえる。2アウトランナーなしから6番横山は高めの速球を痛打。これがセンターの背走もわずかに及ばず、2塁打となると、7番二村の四球を挟んで、8番岩城もセンター返しを見せる。打球は二遊間を抜けるタイムリーとなり、山梨学院が1点を先制。右打者が入ってくるボールに対して、引っ張りすぎずにしっかりセンターへ打ち返した。
2回の守備時にショート平野にアクシデントがあった山梨学院だが、かえってチームが引き締まったか、3回から先発・津島が乗っていく。もともと腕が少し背中に入る、打ちにくいフォームなうえに、変化球の切れも素晴らしい。3回はしぶとい創志学園打線を3者凡退。キーマンの1番亀谷も三振に切って取り、流れを呼び込む。門馬監督も動いていきたいところだろうが、なかなかスキを見せない。
すると、3回裏、またも2アウトから山梨学院の打線がつながる。四球で出たランナーをおいて、2アウト1塁から4番梅村はセンター前ヒット。またも、アウトコースに対しての右打者のセンター返しでチャンスを広げると、5番針尾は初球インサイドを突いてきた変化球を狙い撃ち。打球は左中間を深々と破る2点タイムリー2塁打となり、大きな追加点を手にする。創志学園は2番手で2枚看板の一人である、右腕・中野を送るが、この回、7番二村にもタイムリーが飛び出し、4-0とリードを広げた。
初戦の京都外大西・田中もそうだが、左腕投手に対する打撃がよくわかっている山梨学院打線。狙い球をしっかり絞り、好球を逃さない集中力が光った。
さて、4点という点差は機動力を使いにくくさせる側面もある。創志学園は4回、5回とランナーを出し、反撃のチャンスをうかがうが、やはりエンドランなど思い切った攻撃は仕掛けにくいか。4回には暴投でランナーを進めこそしたが、基本的に打ってつなぐ形の攻撃となり、山梨学院バッテリーにプレッシャーを与えるには至らない。先制点が占めるウェートは、やはり野球というスポーツにおいて大きいのだ。
創志学園は、4回以降は2番手の中野が好投。交代直後こそバタついたものの、長身から繰り出す角度のある速球とカーブで山梨学院打線を相手に0で切り抜けていく。初戦で左腕・山口が好投したこともあり、負けられない気持ちも当然あっただろう。
4-0のまま試合は終盤へ。7回表、創志学園が1アウトから5番賀陽にヒットが出たところで、山梨学院はサイド右腕の桜田にスイッチ。予定通り継投に入る。チームで最も安定感のある右腕は、後続をレフトライナーに打ち取ると、飛び出した2塁ランナーが戻れず、ダブルプレーに。創志学園にも焦りがあったか、らしくないミスでチャンスを逃した。
創志学園は7回から初戦完封の山口が登板。四球2つは与えたものの、この日も切れ味抜群のスライダーを武器に相手打者を封じ、最後の攻撃に望みをつなぐ。
最終回、創志学園はノーアウトから2番杉山がライトへのヒットで出塁。3番奥本は併殺に打ち取られるが、4番豊島、5番賀陽と左打者が長短打を放ち、相性のいいサイド右腕の桜田を攻略にかかる。しかし、続く6番秦の痛烈なセンター返しは桜田の好捕に阻まれ、ゲームセット。山梨学院が巧みな試合運びで創志学園を制し、連覇へ向けて一歩前進した試合となった。
山梨学院は優勝した昨年とメンバーがほとんど入れ替わり、スタメンの多くを2年生が占めているのだが、そんなことを忘れさせるくらいの「したたかさ」を兼ね備えていた。1回戦は終盤だったが、この日は序盤で初対戦の左腕を攻略。各打者が狙い球を徹底し、センターから逆方向への打撃で攻略に成功した。やはり、代が代わっても、優勝という経験は、有形無形の財産となって残っているのだろう。
また、投げてはこの日も2年生左腕・津島が好投。キレのある変化球はなかなか捉えるのが難しい。甲子園2戦目ということもあり、ばたつく場面もほとんどなく、淡々と投げ切った。この大会は準々決勝で優勝した健大高崎に敗れたものの、非常にしたたかな戦いぶりは地に足のついた強さを感じさせるものだった。
対する創志学園は、序盤のビハインドでなかなか自分たちの良さを出しにくい状況になってしまった。アグレッシブに攻めていきたいところだが、中盤はどうしてもランナーを動かすこともためらわれる場面もあったか。終盤は開き直ったか、盗塁・エンドランなど積極的に絡めはじめ、最終回は左打者に3本ヒットが出るなど、兆しも見えていたが、やはり残りイニングが足りなかったということだろう。
ただ、初戦の山口の完封など、攻守に収穫が多い大会であった。門馬監督が就任し、アグレッシブベースボールが浸透し始めた創志学園の戦いは、その後の岡山でも注目の的となっている。


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