2026年選抜1回戦
崇徳vs八戸学院光星
50.5% 49.5%
大会上位に位置するであろう実力校同士の対戦。1回戦の中でもかなりハイレベルな部類に入るカードだろう。
崇徳のエース徳丸は中国地区でNo.1と言っても過言ではない好左腕。最速140キロ台の速球とキレのいいスライダーを低めに集め、四死球もほとんど出さないコントロールを持つ。中国大会では4試合を投げて1失点とほとんど付け入るスキを与えなかった。神宮では花巻東のスラッガー古城に一発を浴びて1-3と惜敗したが、全国トップクラスの打線を相手にしても十分通用したとも言えるだろう。奇しくも再び東北地区で強打を武器にする相手との対戦になるが、リベンジに燃える徳丸を攻略するのは容易ではない。
ただ、そんな好投手をこれまでの甲子園で数多く攻略してきたのが八戸学院光星の強力打線だ。今年もその例にもれず、東北大会では4試合で24得点と結果を残した。3番新谷翔は秋の公式戦でチーム最多打点を挙げた頼れる好打者であり、大柄な打者にありがちなもろさもない。コンタクト率が高く、光星打線の核となる打者だ。左対左の対戦になるが、新谷翔と徳丸の対決は勝負のカギを握っていそうだ。また、エースで4番とチームの核になる北口はパワフルな打撃が持ち味。津美にはまれば一発放り込む力を持ち、この強力な中軸の前にランナーをためて迎えたいところだ。
一方、八戸学院光星のエースは187㎝と長身の右腕・北口。角度のある速球を武器にぐいぐい押していく投球を見せ、四死球も1試合平均2個弱とコントロールが安定している。右打者の内角を正確につけるため、簡単に踏み込みは許さないだろう。前年のチームから主戦格で投げており、経験値が豊富なのも強みだ。同じく前年から登板を重ねてきた右腕・及川も計算が立っており、投手陣に大きく不安はないだろう。完全に抑え込むという展開にはならずとも、ある程度失点は計算できそうだ。ただ、守備陣は秋の戦いではやや失策が目立つこともあり、本戦では注意が必要だ。
その光星守備陣をかき回しそうなのが、崇徳の機動力野球である。大物うちこそいないものの、先の塁を狙う意識が高く、ランナー1塁から3つを奪う攻撃で幾度となく得点に絡めてきた。県内で何度も強豪・広陵の壁に跳ね返されてきただけに、打倒すべく磨き上げてきた得点パターンは相手にとって厄介なものになる。さらに、1番新村、2番國川をはじめとして要所で長打が出るのも特徴であり、かき回してかき回して、相手の集中力が切れたところでドカンというのが理想の攻撃になりそうだ。もし、大量点が入る展開になるとしたら崇徳打線の方か。
八戸学院光星の打撃は相変わらず強力ではあるが、やはり徳丸が本調子ならそう多くの得点は望めないだろう。光星の守備陣が崇徳の揺さぶりに屈せずに守れるかが重要になってくる。双方が本来の力を出しきれれば、3-4点までの範囲での接戦になりそうだ。
主なOB
崇徳…山崎隆造(広島)、小林宏(オリックス)、川本良平(ヤクルト)、井上晴哉(ロッテ)、大下佑馬(ヤクルト)
八戸学院光星…坂本勇人(巨人)、田村龍弘(ロッテ)、北條史也(阪神)、八木彬(ロッテ)、武岡龍世(ヤクルト)
広島 青森
春 1勝 1勝
夏 1勝 0勝
計 2勝 1勝
対戦成績は春は五分の星。夏は広島勢がリードしている。
1967年夏は準々決勝で広陵と東奥義塾が対戦した。3回戦で地元・兵庫の報徳学園を倒し、青森勢初の8強入りを決めた東奥義塾だったが、この試合では、広陵の2年生エース采の前に苦戦。エース前田も序盤の1失点で踏ん張っていたが、終盤に再び広陵打線につかまり、快進撃はベスト8で幕を閉じた。
一方、2024年の選抜では広陵と青森山田が対戦。広陵はエース高尾、青森山田は関・桜田の剛腕コンビがおり、ともに好投手を擁したチーム同士の対戦は、0-0のまま終盤戦に突入する。8回に2点を取り合って迎えた9回表、広陵打線がつながって3点を勝ち越し試合は決まったかに見えた。しかし、9回裏、最後まであきらめない青森山田は1アウト満塁のチャンスを作ると、1番佐藤隆の走者一掃打で同点に!劇的な一打で試合を振り出しに戻すと、10回裏には無死満塁で4番原田はきっちりセンターへ。サヨナラの犠飛となって青森山田が初の選抜8強を決めることとなった。
2024年選抜2回戦 青森山田vs広陵(8日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ
過去3試合はいずれも広陵が絡んでの試合だったが、今回は初めて広陵以外の広島勢の試合となる。再び2年前のようなクロスゲームとなるのか、注目の試合が幕を開ける。
思い出名勝負
2019年選抜1回戦
八戸学院光星
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | × | 2 |
広陵
八戸学院光星 後藤
広陵 河野
絶対的な優勝候補が不在だった2019年の選抜大会。その1回戦で広陵vs八戸学院光星という、常連校同士の注目の好カードが実現した。
広陵は前年秋の神宮で星稜に敗れるまで、練習試合も含めて36連勝を記録。圧倒的な力で中国地区を制し、夏春連続の出場を決めた。
エース河野は小柄な体格からは予想もつかない球威のあるボールを投じ、MAXは140キロ台後半をマーク。ボールの力で打者のバットを押しこむことができる右腕だ。同じく本格派の右腕・森、長身左腕・石原の両投手もそれぞれボールの質は一級品であり、力のある3投手を擁し、質量ともに豊富な投手陣を形成する。
一方、打線は昨秋の中国大会準決勝で創志学園のプロ注目右腕・西(阪神)を終盤の集中打で一気に沈めたように、広陵らしいつながりの良さを持つ。1番宗山、2番中富、3番金澤という打って走れる上位打線を軸に、機動力と長打力を兼ね備えた攻撃陣は相手にとって脅威だ。神宮では星稜の奥川(ヤクルト)に歯が立たなかったが、その悔しさをばねにジャンプアップを狙う。
対する八戸学院光星は、7年ぶりに東北大会を制覇し、夏春連続の甲子園出場で、上位進出を狙っていた。
打線の要は3番ショートの武岡(ヤクルト)。昨夏の甲子園でも活躍した好打者は、確実性と長打力を兼ね備えており、この世代の野手ではトップクラスの実力者と言えるだろう。4番近藤も広角に長打を打ち分ける好打者で、このコンビを封じ込むのは容易ではない。光星学院らしい鋭いスイングで全国の好投手に襲い掛かる構えであった。
一方、投手陣の軸はエースの後藤。ストレートにスライダー、カーブを交えて打たせて取るオーソドックスなタイプだが、抜群のコントロールで昨秋の防御率は1点台をマーク。大事な試合では完投勝利を収めてきたようにスタミナにも不安はない。そのほかにもサイド右腕の山田や左腕・横山ら様々なタイプの投手がいるが、選抜は後藤を中心に回りそうであった。
広陵は河野、光星は後藤と、いずれも両右腕が順当に先発のマウンドに上がった。
河野は1回表、いきなり光星の先頭打者伊藤を150キロの速球で空振り三振に切って取る。球場全体がわくような剛速球。いったい小柄な体格のどこにそんなパワーがあるのかと思うが、がっしりした下半身がその球威を生み出しているのだろう。2アウトから注目の3番武岡には内野安打を許すが、続く主砲・近藤を危なげなく封じ、無失点で立ち上がる。
一方、光星の後藤は対照的に多彩な変化球で打たせて取る投球が持ち味。バランスの取れたフォームからアウトコース低めを丁寧に突き、広陵の初回の攻撃を3者凡退に抑える。先に相手投手が豪快な投球をすると、自分もと思うところがあるが、後藤は冷静に自分の投球を貫く。
先にチャンスをつかんだのは広陵。2回裏、ノーアウトから4番中村が後藤の甘く入ったボールを逃さず、ヒットで塁に出る。続くプロ注目の5番宗山にはカウント1-1から中井監督がエンドランをかけると、打球は1,2塁間を真っ二つ。中村が3塁を陥れ、先制のチャンスを迎える。
続く6番鉤流が四球でつなぎ、満塁となるが、ここから後藤が粘り強さを発揮。無死満塁という状況で開き直ったのか、はたまたリミッターを外したのか、腕を振って直球を投げ込み始め、7番秋山を三振に切って取る。続く打者も落ち着いた投球で凡打に仕留め、なんとこの回を無失点で切り抜けることに成功。素晴らしいメンタルの強さを見せる。
ただ、そんな後藤の粘りを凌駕するくらい、この日の広陵・河野の投球はすさまじいものがある。150キロを計測した速球だけでなく、スライダー・フォークの切れ味も抜群。それがコーナーいっぱいに決まるのだから、さすがの光星打線も手が出ない。5回まででランナーは武岡のヒットとエラーのランナーだけ。東北大会を圧倒した打棒が完全に沈黙させられる。
こうなると、やはり相手エースに重圧はのしかかってくる。もはや1点勝負という空気感のなか、毎回ランナーを出しながら踏ん張っていた光星・後藤が5回裏に捕まった。
この回、2回の満塁のチャンスで凡退した7番主将の秋山が3塁線を鋭く破る2塁打で出塁。犠打で3塁に進むと、9番藤井がアウトコースの変化球をうまくレフト前に落とす技ありの一打で1点を先制する。後藤としてはこの1点でなんとか踏ん張りたかったが、その後、藤井の盗塁で2アウト2塁に。ここで、2番中富がカウント2-0と追い込まれながらファウルで粘り、アウトコースの変化球を右方向に打ち返す。これがセカンド強襲の内野安打となって大きな2点目が入った。
2点を追う展開となった光星。6回以降は四死球も含めてランナーが出るようになり、塁上をにぎわす。7回表には4番近藤のヒットと死球で1,2塁、8回表にも四球とエラーが絡んで2,3塁と、複数のランナーをためる。しかし、いずれもコーナーを突き切った河野の勝ち。特に8回は1ヒットで同点の場面だったが、3番武岡をインサイドの速球で完全に詰まらせ、力で押し切った、
結局、河野は最終回もヒットこそ許したものの、後続をきっちり打ち取り、光星打線を3安打で完封。見事な投球で投げ切り、広陵に2010年以来の選抜勝利をもたらした。
広陵はその後、2回戦で河野が優勝した東邦の打線につかまり2-12とまさかの大敗を喫する。夏もライバルの広島商に県大会準決勝で5-13と敗れ、秋に破竹の連勝を重ねたチームの甲子園での勝利は結局この1勝にとどまった。しかし、それでも投手・河野のポテンシャルを示すには十分な内容であり、この後、広島カープにドラフト指名されることとなる。名門のエースが見せた快投乱麻のピッチングであった。
一方、光星は強打の看板を掲げていただけに、この完封負けは悔しさが募っただろう。夏は武岡を1番、近藤を3番に置いて組み替えた打順が奏功し、県大会を圧倒的な強さで制すると、甲子園では開幕戦に登場。初回に6番下山のグランドスラムで先制して快勝すると、準々決勝で明石商に競り負けるまで、実に4試合で32得点をたたき出した。まさに強打・光星の面目躍如の大会となった。


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