2025年選手権1回戦 佐賀北vs青藍泰斗(5日目第3試合)

2025年

大会5日目第3試合

青藍泰斗

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1 0 0 3 0 0 0 0 0 0 4
0 1 2 1 0 0 0 0 0 5

佐賀北

 

青藍泰斗   永井→鈴木→永井

佐賀北    稲富

追いつ追われつの接戦となった好試合は、両者譲らず延長戦に。10回裏に決死のスクイズを決めた佐賀北が、優勝した2007年以来となる勝利を上げた。

試合

佐賀北は県大会をほぼ一人で投げぬいた右腕・稲富が先発。140キロ台の速球と多彩な変化球を低めに集めるタフネス右腕だ。一方、青藍泰斗は、左右2枚看板の一人である左腕・永井をマウンドに送った。

1回表、機動力野球が持ち味の青藍泰斗がいきなりその持ち味を発揮する。1番鈴木がセンター返しで稲富の足元を抜くヒットを放つと、すかさず盗塁を敢行。完全にモーションを盗んでおり、余裕を持って成功すると、2つの内野ゴロの間に生還し、先制点をもぎ取る。栃木大会での得点パターンの一つであり、順調なスタートを切る。

これに対し、1回裏、青藍泰斗の左腕・鈴木がマウンドへ。テークバックが短く、相手としては非常に出所が見えにくい。佐賀北の各打者はベースぎりぎりの立ち位置でアウトコースに狙いを絞る打撃を見せる。初回は得点こそならなかったものの、2番山下のヒットに盗塁も絡めるなど、こちらも機動力を発揮して青藍泰斗に圧力をかける。

先にどちらが落ち着くかというところだったが、2回表の青藍泰斗の攻撃を稲富が無失点に抑え、徐々にリズムに乗り始める。アウトローのコントロールが抜群だ。すると、2回裏、県大会の打率3割5分と今年は打力にも自信を持つ佐賀北ナインが持ち味を発揮する。1アウトから7番が四球を選ぶと、犠打で二進。続く9番松尾、1番於保と連続で四球を選び、磨き上げてきた選球眼を活かして満塁のチャンスをつかむ。ここで2番山下はカウント2-2から押し出しの死球で同点。じっくりと見てくる佐賀北の攻撃に永井が根負けした印象だった。

さらに、3回表を稲富が3者凡退で封じると、試合の流れは佐賀北へ。3回裏、先頭の4番宮崎が死球で出ると、ここも犠打で手堅く2塁へ進む。すると、ここで永井の投球が暴投となってしまい、労せず3塁へ。このチャンスを6番片淵が逃さず、高めの変化球をきっちりとらえてレフトへ勝ち越しのタイムリーを放つ。

ここで青藍泰斗は投手を永井から右の柱の鈴木にスイッチ。しかし、ここでも2アウトから8番稲富が四球を選び、3回までで早くも7四死球を奪取する。続く9番松尾が低めのストレートをうまくすくった打球はセンター前へのテキサス性のタイムリーとなり、佐賀北が点差を2点に広げる。

完全に佐賀北のペースとなった展開。だが、動き始めた試合の流れが悪い意味で佐賀北にも波及する。

3番服部がアウトコースのボールをねらい打ってヒットで出塁。佐賀北バッテリーの配球を読み切っての一打だ。ここでも青藍泰斗は盗塁をしかけ、2塁を奪うと、4番永井のショートゴロが悪送球を誘って、無死1,2塁とチャンスを広げる。佐賀北らしくない守備の乱れ。ここで5番今里はバスターによる奇襲でバントシフトを突き破り、打球はファーストを強襲してライトへ!見事な攻撃で1点差に詰め寄る。

これで流れを得た青藍泰斗は6番伊藤の犠打も失策を誘って満塁とすると、内野ゴロの間に3塁ランナーが生還して同点。さらに8番富田がこれもアウトコースのスライダーをうまく拾ってセンターへ運び、とうとう勝ち越しに成功する。外角に偏った佐賀北バッテリノー配球に守備のミス、そして奇襲も重なっての逆転劇であった。

逆転を許した佐賀北。しかし、続くピンチを稲富が踏ん張ると、荒れ始めた試合展開の中で再び反撃に転ずる。先頭の2番山下がショートゴロエラーで出塁。犠打と内野ゴロで2アウト3塁と徹底して進塁の意識を持った攻撃を行うと、5番山口は初球をとらえてタイムリー!山下の出塁のあとは、全員初球攻撃を行い、流れるような攻撃で同点に追いついた。

4-4の同点で試合は後半戦へ。野球あるあるだが、互いに攻撃しあっていたところから一度落ち着くと、両チームともいい守りで得点が入らなくなる。青藍泰斗は6回から再び永井をマウンドに戻すと、本来の制球力を取り戻し、伸びのある速球も活きて佐賀北打線を封じる。

しかし、それ以上に素晴らしいコントロールを誇ったのが稲富である。前半、アウトコース一辺倒だった配球は、やはり試合全体を通しての流れを見てのものだったか。6回から右打者のインコースをきっちり突き始めると、青藍泰斗打線バットから快音が消え始める。6回、7回と両者ともいい守りのリズムでスコアーボードに0を刻む。

8回表、青藍泰斗は3番服部のヒットと5番今里の死球で2アウト1,2塁とチャンスは作るが、6番伊藤はレフトフライに打ち取られ、無得点。内角を意識され、どこか打線全体で振らされている感があった。一方、佐賀北もその裏に2番山下の四球と3番野田のセンターへのヒットで同じように1,2塁のチャンスを作る。しかし、こちらも低めに決まり始めた永井のカーブに苦しみ、後続は凡退。両者似たような歩みのなか、試合は9回で決着がつかず、延長タイブレークに突入した。

それまでの流れが一変するのがタイブレークの怖さ。ここで佐賀北のエースが魂の投球を見せる。青藍泰斗の攻撃は1番鈴木から。その鈴木は力んだが、高めのボールを打ち上げてしまうが、2番佐川が変化球をうまく拾ってライト前に落とし、満塁のチャンスを迎える。打順は中軸。しかし、3番服部が足がつってしまい、打席途中で代打・須加に交代となる。微妙な間が空き、球数も130球越え。フルカウントとなって、難しい状況となる。しかし、ここで稲富は渾身の真っすぐを投じると、須加のバットが空を切って三振!素晴らしい粘りを見せる。

2アウトとなり、打席には4番永井。投げ合ってきたエース同士の対戦となる。ここで稲富は初球で緩いカーブでストライクを取る度胸を見せる。渾身の真っすぐで2ストライクと追い込むと、最後は打ち気に逸るところを低めのスライダーで空振り三振に!難しい状況で連続三振を奪い、サヨナラへの流れを作った。

10回裏、佐賀北は先頭の9番津留崎がきっちり犠打を決めると、代打・秋好は満塁策で敬遠の四球。熱戦の最後をどう締めくくるかというところだったが、佐賀北はベンチも選手も迷いはなかった。2番山下のカウントは0-1。スクイズのサインだと出す方も受ける方もわかっていた。投手前に高いバウンドで転がったボールは捕手が捕球しようと前に出たところを、3塁ランナーが駆け抜け、サヨナラのホームイン!激闘を制した佐賀北が実に18年ぶりとなる甲子園1勝を手にした試合となった。

まとめ

佐賀北はらしさ全開の野球でサヨナラ勝ち!卓越した選球眼、徹底したバント攻撃で、細かく繋ぎ、得点を奪った。最後のスクイズに象徴されるように、自分たちの野球に迷いがないのが強みだ。特にボール球に手を出さない姿勢は徹底されており、相手投手に立ち直るきっかけをつかませずに押し出しをもぎ取った。

また、投げては2失策はあったものの、堅守でエース稲富を援護。その稲富は自慢のコントロールと1試合通した配球で相手打線を自分の掌上で転がして見せた。4回までに4点は失ったものの、後半はつけ入るスキはほぼなかったと言っていいだろう。公立校最後の優勝校には、2007年に全国制覇を達成した時のエッセンスが今も脈々と受け継がれていることを感じさせた試合であった。

一方、青藍泰斗も4回表の逆転劇は素晴らしく、バスターで相手の意表を突く姿勢や果敢に盗塁を仕掛けた場面は、青藍泰斗らしさが出ていた。さすが作新学院を相手にタイブレークを勝ち上がっただけはあり、ピンチの場面でも落ち着きはらった守りも素晴らしかったと言えるだろう。後半は稲富の前になかなか攻撃が繋がらなかったが、再登板してからの永井の好投も光るものがあった。サヨナラ負けで甲子園初勝利はならなかったが、今大会屈指の好ゲームだったのではないだろうか。

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