大会8日目第1試合
健大高崎
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
| 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | × | 6 |
京都国際
健大高崎 下重→山田→佐藤→石垣
京都国際 西村

今大会初戦最注目の好カードとなった、昨年の春夏優勝校の激突。戦前は不利が予想された京都国際が、シャープな打撃で好投手揃いの健大高崎投手陣を攻略!エース西村の好投で追撃を振り切り、大会連覇へ向けたまずは初戦突破に成功した。
試合
京都国際はもちろん昨夏の優勝投手・西村が先発。一方、健大高崎は県大会でのリレー通り、左腕・下重をマウンドに送った。
1回表、強打の健大高崎打線は、魔球・チェンジアップを操る西村に対し、ミートポイントを捕手寄りにしてファウルで粘って球数を稼いでいく。2番加藤、4番栗原と四球を選び、盗塁も絡めての揺さぶりもあり。無得点には終わったものの、1回だけで25球と十分すぎる圧力をかけていった。
しかし、1回裏、先発・下重の立ち上がりが良くない。1番長谷川颯がいきなり高めのストレートを左中間へ流し打って出塁。犠打は失敗に終わるも、3番小川がライトへのヒットで繋ぎ、1,3塁とチャンスを拡大する。低く強い打球を放つ京都国際打線。こちらは年間を通して攻撃で苦しんできたチームだが、その苦しみを乗り越えた成果が見える。すると、ここで4番清水には初球でセーフティスクイズを指示!これが投手前への打球となり、飛び出して捕球した小堀が3塁ランナーにタッチできず、京都国際が先制点を上げる。
初回からややボールが高めに入る下重。2アウト後、6番猪俣にも低めのストレートを鋭くセンターにはじき返され、2点目が入る。シャープなスイングを見せる京都国際打線だが、左打者が左腕の下重を全く苦にしていないような打撃で主導権を奪った。
リードを許した健大高崎打線だが、初回から攻撃の方針は変わらず。三者凡退に終わった2回も3人で15球を投げさせており、じっくりと待球しながら西村のスタミナを削るスタイルを貫く。
すると、この成果が出たか、3回表、健大打線が二巡目に入って西村を攻略する。
1アウトから1番石田が絶妙なセーフティバントで、ピッチャーが体重移動した態勢の背後を取る。焦った西村が誰もいない1塁へ送球してしまい、石田は2塁へ。ここから動揺した西村が2者連続の死球を与えてしまい、1アウト満塁とビッグチャンスを迎える。4番栗原はファーストゴロでホーム封殺となるが、5番小堀の打席で暴投が飛び出してまず1点。さらに6番小堀は第1打席の反省も踏まえてバスターで対応し、レフト線を破る逆転の2点タイムリーとし、一気に試合をひっくり返した。
ここまで西村の投じた球数は73球。すでに5回相当ほどのボールを投げており、後半に向けて苦しくなる…これは健大高崎のペースだな…、そう思った高校野球ファンは私だけではなかったはずだ。しかし、ここから京都国際打線の想像以上の打力が試合を支配していく。
直後の3回裏、1アウトから3番小川が死球を受けると、2アウト後にまたも左打者が下重をとらえる。5番山口がインサイド寄りの速球を引っ張ると、打球はライト線最深部に到達するタイムリー2塁打となって、まず同点!さらに初回にタイムリーを放っている6番猪俣がスライダーをうまくセンターに落とし、山口がホームへ。センター石田の好返球も一歩及ばず、京都国際が逆転に成功する。
盤石の投手陣でリードを守るはずが、この日の健大は後手後手に回ってしまう。この逆転劇で息を吹き返した西村は伝家の宝刀・チェンジアップが冴え始める。球数はすでに100球前後にまで到達するも、どこ吹く風と言わんばかりの快投を見せる。ストレートはコーナーに決まり、チェンジアップはまるでカーブのような落差で空振りを奪っていく。3回の乱れが嘘のように、今年度全国TOPクラスで戦ってきた健大高崎打線を翻弄していく。
なんとか流れを引き戻したい健大は4回から選抜でも好投した左腕・山田をマウンドに送り、ランナーを出すと、ついに昨春の優勝投手・佐藤に繋いでくる。しかし、彼もTJ明けであり、手術前ほどの状態とはいかないだろう。5回裏、先頭の4番清水が四球で歩くと、犠打と内野ゴロで3塁へ。2アウトながらチャンスを迎えると、7番主将の倉橋が二遊間深い位置へ鋭くはじき返す。これをセカンド杉山が好捕するも、1塁は間一髪セーフ!貴重な追加点を奪い、前半は京都国際が2点リードで折り返す。
後半に入っても京都国際に傾いた流れは変わらず。6回の健大の攻撃を西村が3人で片付けると、その裏、四球のランナーを犠打で送り、1番長谷川颯が高めの速球をとらえてライト前へはじき返す。2塁ランナーの西村は迷わずホームを突き、健大の切り札の石垣が投球練習をする中で、点差を3点に広げた。
健大高崎は7回表に先頭の7番向井が四球を選び、代打・伊藤で勝負をかけるも併殺に。直後の9番佐藤も11球粘りを見せるが、空振り三振に倒れてしまう。西村の球数は優に100球を超えていたが、ボールの質は落ちるどころか、むしろ良くなっていっているような印象だった。
そんな状況のなか、健大は7回裏、ついに石垣をマウンドへ。大会最速タイの155キロを記録し、球場を沸かせる。7回、8回と1安打ずつ許したものの、コースに決まった時のストレートはとても高校生に手が出るものではない。仮にリードを奪っていたり、同点であれば、これ以上ないプレッシャーを与えられたのだが、いかんせん3点のビハインドが重くのしかかった。
追いかける健大高崎は8回表、センター前ヒットで出た2番加藤が暴投で2塁へ進むと、3番秋山は高めの変化球を叩いてレフトへの大飛球を放つ。しかし、深いポジショニングを取っていたレフト山口が好捕し、2アウト。タッチアップした加藤が3塁へ好判断で進むも、4番栗原の痛烈な当たりはサード清水に止められ、得点をあげることができない。上位打線はここにきて西村の投球に徐々に対応し始めていたが、京都国際守備陣の堅守に阻まれる格好となった。
西村は結局、9回を投げて160球、6つの四死球を与えながらも、強打の健大高崎にわずか4安打しか許さず、完投勝ち。昨夏の優勝投手がV候補の関東王者(春季)を完ぺきな内容で打ち破り、2年連続の3回戦進出を決めた。
まとめ
京都国際は、昨秋・今春と京都府予選で打線がエース西村を援護できずに敗退しており、今夏に向けても京都府内で優勝候補の一番手というわけではなかった。しかし、高校生の成長速度とは恐ろしいもので、京都大会を勝ち上がる中でだんだんシャープな打撃を見せるようになり、ついには甲子園であの健大高崎投手陣を打ち込むまでになった。思えば、昨夏も勝ち上がるごとに打線が成長し、全国制覇を勝ちとっただけに、同じ道をtraceしているようにも見える。
また、投げては西村が健大の怖い打線をわずか4安打に抑える好投を披露。3回を終えた時点では最後まで持つのかという球数であったが、投げるごとに凄みを増していくような内容であった。前評判をかわしての快勝劇は、京都国際というチームに新たな自信をもたらすものとなったに違いない。
一方、健大高崎は盤石の投手陣を擁しての出陣であったが、やはりマウンドに立てるのは一人であり、試合前のゲームプラン通りに進むほど野球はあまくないということだったのだろう。リードを許してしまうと、途端に後手後手に回ってしまうのが継投の怖さでもある。また、打線も序盤は西村攻略への布石を確実に打てていたが、中盤以降はチェンジアップの威力の前に屈する格好となった。
昨春に佐藤・石垣の2年生の両輪で選抜を制覇した時は、あるいは、ここから4季連続の個膵炎制覇もあるのではと思うほどの陣容だった健大高崎。しかし、その後は、故障などもあり、夏は昨年・今年の2年間で1勝どまりに終わった。やはり、高校生の成長過程で勝利を両立させるのは難しい。ただ、それでも同校初の全国制覇を果たして功績は全く色あせるものではない。上のステージでの活躍に期待を馳せながら、黄金投手陣が最後の夏を終えることとなった。


コメント