2025年選手権3回戦
横浜vs津田学園
53% 47%
〇5-0 敦賀気比 〇5-4 叡明
〇5-1 綾羽 〇不戦勝 広陵
津田学園が2回戦を不戦勝で終えたことにより、どうしてもディスアドバンテージになる感は否めない。エース桑山の好投が絶対条件になるだろう。
その桑山は初戦で延長12回138球を完投。心身ともに消耗する一戦となったが、日程が充分に空いたことはプラスになりそうだ。切れ味抜群の速球と3種類のスライダーを操る本格派左腕であり、コーナーいっぱいに決まったボールは、いくら横浜打線と言えどそうは手が出ないだろう。ただ、1回戦では中盤に叡明戦で、立ち上がり飛ばしすぎた影響が出たか、集中打を食らう場面も見られた。試合巧者の横浜が相手だけに、思い切ってぶつかるだけではなく、配球面も含めて2段構え3段構えの攻め方を考えておいた方がいいだろう。
対する横浜打線は、1,2回戦ともに細かい投手リレーを相手がしてきただけに、打線は5得点にとどまったが、その中でも攻撃面のそつのなさ、野球IQの高さは他の追随を許さないものがある。主力は左打者が並ぶが、左投手を苦にする様子はなく、桑山のスライダーに対してどう対応してくるか見ものだ。次は基本的に桑山が完投する可能性が高いため、試合後半になればなるほど、横浜の強みが発揮されるはずだ。あとは、チームの軸である3番阿部にもう一つ当たりが出ていないのが気がかり。勝ち上がることを考えると、そろそろ復調の兆しをつかみたいが…
一方、横浜は織田が初戦は完封、2回戦は好リリーフと大車輪の活躍。150キロを超す速球の威力は打者を圧倒する。ただ、試合数が多くなるにしたがって消耗するため、できれば、そろそろ、左腕・奥村頼を先発で長いイニング使いたい気持ちは村田監督もあるだろう。選抜では3者連続3球三振(immaculate inning)を達成しているように、ポテンシャルはチームでも随一。県大会では苦しい投球内容だったが、甲子園での復活を期待したい。他にも池田、片山ら豊富な投手陣があり、万全の態勢だ。
対する津田学園は、1回戦で初回、そして延長タイブレークと積極的にエンドランをかけたように、自ら仕掛けていく攻撃が得意だ。PL学園出身の佐川監督が率いるが、王道の野球を知る指揮官が、今の時代に合わせた野球に適合していると見ることもできる。ただ、その初戦では3回までに7安打しながら2点どまりだったように、もう一つ序盤に繋がりを欠いたのも事実。そういう隙を、野球をよく知る横浜ナインは逃さないだけに、犠打や走塁のミスは少なくしたい。1番田中、2番石井、3番田北と上位陣はいずれもマルチヒットを記録しており、まずは彼らが突破口を開いていきたい。
津田学園の勝ちパターンとしては先行し、桑山が3点以内に抑える展開が理想だろう。できれば、序盤で先行して王者を慌てさせたい。一方、横浜は2回戦のように向かってくる相手に対してどっしりはじき返す野球が、今回もできるか(たぶんできると思う…笑)。いずれにせよ、ロースコアでの好勝負を期待したい。
主なOB
横浜…松坂大輔(西武)、成瀬善久(ロッテ)、涌井秀章(中日)、筒香嘉智(横浜)、近藤健介(ソフトバンク)
津田学園…桑原謙太郎(横浜)、出口匠(楽天)、前佑囲斗(オリックス)
神奈川 三重
春 0勝 0勝
夏 2勝 0勝
計 2勝 0勝
対戦成績は神奈川勢の2戦2勝。1975年は原辰徳(巨人)、津末英明(日本ハム)ら2年生にスター選手を擁する東海大相模と名門・三重が対戦。佐藤のホームランなどで序盤からリードを奪った東海大相模が7-3と快勝し、ベスト8進出を決めた。
しかし、この時期の東海大相模は原の在学中に5季中4度出場したものの、全国制覇には届かず。この年は準々決勝で埼玉の名門・上尾に、翌年夏は選抜準優勝校の小山にと、それぞれ同じ関東勢の行く手を阻まれた。この次の全国制覇は2000年の選抜まで待つこととなる。
今回は、神奈川勢の3連勝か、はたまた三重勢の3度目の正直か…
思い出名勝負
2022年夏1回戦
三重
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 |
| 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | × | 4 |
横浜
三重 上山→谷
横浜 杉山
絶対的エースと大物うちはいなくともつながりのある打線を擁し、似たチームカラーの両校。2022年夏の1回戦でいきなり優勝経験校同士、そして連続出場校同士の好カードが実現。横浜は杉山、三重は上山とともに昨夏甲子園のマウンドを経験した左右の両エースが先発した。
三重は1回表、1番輪野が詰まりながらもセンターに落とすヒットで出塁。続く2番宇佐美の打席で暴投が飛び出し、無死2塁のチャンスを迎える。しかし、ここで2番宇佐美の犠打は投手3塁寄りに転がり、これを杉山が好フィールディングで3塁封殺する。過去幾度も甲子園で見られた横浜高校の投手の犠打封じ。ショートもけん制でセカンドランナーを引き付けており、組織だった守備で得たアウトである。伝統は村田新監督になってからもしっかり受け継がれている。
一方、三重の先発は昨夏の甲子園で樟南打線を7安打完封した上山。当時から抜群のコントロールを誇っていた右腕は、最終学年になってスピード・球威も増して帰ってきた。1回裏、昨夏逆転サヨナラ弾を放った1番緒方に粘られて四球を与えるが、3番岸本をファーストライナーゲッツーで打ち取り、こちらも経験豊富な右腕が無失点で立ち上がる。
しなやかなフォームからキレのあるボールを投じる杉山と丁寧な投球でアウトを重ねる上山。1,2回を見てこれはなかなか点が入らないかと思われた3回裏、横浜が先に得点の門をこじ開けた。
この回、横浜は1アウトから8番鉾丸が四球を奪取。打席の中で頻繁に立ち位置を変え、上山を揺さぶって得た四球である。2アウト後に盗塁に暴投が絡んで一気に3塁を陥れると、キーマンの1番緒方がアウトコースのスライダーを腕を伸ばしてうまく右中間に落とし、1点を先制する。続く2番板倉もアウトコースのスライダーを右方向におっつけ、連続タイムリー。追い込まれると右方向への打撃に切り替える柔軟性を見せ、大きな2点を刻み付ける。
先制点をもらった杉山は2回以降、快調なピッチングを展開。右打者の外へ逃げるチェンジアップでことごとくタイミングを外し、しぶとい打者が並ぶ三重打線に付け入るスキを与えない。一方、上山も4回以降は再び自分の投球を取り戻し、内外を広く使い、なおかつ緩急も活かして打ち取っていく。両打線ともミートのうまい打者が並ぶが、両エースの投球がそれを上回っていく。
しかし、試合の流れが変わりやすい6回表、三重の打線がついに杉山をとらえる。9番端無が珍しく甘く入ったインサイドのボールをとらえてレフトへのヒットで出塁。犠打で二進すると、2アウト後に3番野田が高めに浮いたスライダーをセンターにはじき返してセカンドランナーがホームインし、待望の1点が入る。さらに4番大越もヒットで続くが、5番鈴木は空振りの三振で後続は杉山が抑える。
1点差になって、両チームに緊張感が走る中、両エースがここからなかなかランナーを出さない。杉山の腕の振りの良いフォームから繰り出すチェンジアップ、上山の右打者のインサイドを突く正確なコントロールが光り、8回2アウトまで14人連続で両チームの打者が凡退する。
ところが、野球は2アウトからとはよく言ったもので、ここから三重の上山がエアポケットに入ったように、1番緒方、2番板倉を連続四死球で塁に出す。3回に先制打を許した2人に対して、やや慎重になったか。ここで3番岸本がカウント2-2からチェンジアップに泳がされながらも拾うと、打球は浜風を考慮して浅めに守っていたライトの頭上を越える3塁打となって大きな2点を追加する。ライト輪野が一度前進してしまった分、届かなかった。
リードを広げられて最終回を迎えた三重だが、こちらも2アウトから粘りを見せる。5番鈴木がスライダーをとらえて痛烈なセンターへのヒットで出塁。インサイドを攻められた後に体を開くことなく打ち返した。暴投で二進すると、6番高山はインサイド甘めに入ったストレートを完ぺきにとらえて1点を返す。終盤にきてようやく杉山のボールにタイミングが合い始めた。
さらに反撃を試みる三重に対し、横浜サイドは杉山が続投。三重は代打・松原を送るも、カウント1-2からの4球目を打った打球はショート緒方の前へ。これを緒方ががっちりさばいて試合終了。横浜が強豪同士の接戦を制し、2回戦進出を果たした。
横浜はこの日はわずか4安打ながらそのほとんどを得点に結びつけて接戦を制した。好投手・上山の前に苦戦を強いられたが、数少ない失投をとらえる打撃に往年の勝負強い横浜が帰ってきた感があった。また、守っては2年生エース杉山が好フィールディングも含めて、なかなか相手にスキを与えず、2失点で完投。こちらも横浜の投手らしい制球力、緩急を活かした投球が光った。
一方、敗れた三重はエース上山が持ち味を存分に出した投球を見せたが、犠打のミスや不運な外野守備などで相手に流れを渡してしまった。個々の能力では横浜に全く引けを取らなかったが、そつのなさという点では横浜に一日の長があったかもしれない。ただ、エース上山を中心とした堅いディフェンスとシュアな打撃で存在感を十分見せつけた夏になったのは間違いないだろう。


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