大会13日目第2試合
日大三
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
| 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
関東一
日大三 山口→近藤
関東一 坂本→松沢→石田→石井

15年ぶりの東西東京対決となった第2試合は、日大三打線が中盤に関東一投手陣を攻略。リリーフしたエース近藤が、相手打線の反撃を封じ、2018年以来となるベスト4進出を決めた。
試合
関東一はエース左腕・坂本が満を持して先発。一方、日大三は、大会初登板となる右腕・山口をスターターに持ってきた。
互いをよく知るチーム同士の対戦。あるいは秋春は対戦を想定したこともあったかもしれない。1回表、坂本の縦に割れるカーブをいきなり1番松永が初球で痛打。打球はライトのグラブに収まるも、日大三打線は「待つつもりなどない」と言わんばかりの攻撃をみせる。しかし、坂本もこの日はカーブがコーナーに決まり、2番松岡もいい当たりではあったが、センターフライに打ち取ると、3番本間は空振り三振!3者凡退で立ち上がる。
一方、ここまで2試合ともエース近藤が完投していた日大三は、初先発の山口がどう立ち上がるか不安もあっただろう。1回裏、1番入山に二遊間の当たりを打たれて内野安打を許すと、犠打と内野ゴロで3塁へ。4番越後には死球を与えてしまい、不安な出だしとなる。続く5番小林もこの大会好調だ。しかし、ここはアウトコースのスライダーを打たせ、強い当たりではあったが、セカンドゴロに打ち取る。
初回を無失点で抑えた坂本は2回、3回も快調に飛ばす。速球は走り、カーブも音と立てて割れ、落ちる。カーブ一つをとってもいろんなカーブがあるが、坂本のカーブはベース付近でスピード感を持って落ちる、左腕投手特有のカーブだ。カーブのタイミングで待っていても、そう簡単に捕らえられるボールではない。
エースの好投にこたえたい関東一打線。だが、日大三・山口も2回以降立ち直っていく。こちらは投球ファームにはそこまでダイナミックさは感じさせないが、ゆったりしたフォームからキレのある速球でカウントを作り、スライダー・フォークと低めの変化球で打たせて取る。三木監督にとっては、試合前の想定以上の出来だったかもしれない。2回、3回と3者凡退。関東一のスピード感のある攻撃も、ランナーが出なくては発揮しようがない。
互いに、序盤は決め手を欠く投手戦に。ただどちらかと言えば、調子がいいのは坂本に見えた。だが、その坂本が先に捕まるのだから野球はわからないものだ。
4回表、先頭の2番松岡に対し、ストレートの四球を与えると、リズムが狂い始める。続く3番本間は真ん中寄りに入ってきたカーブをセンターへ。強打の三高の中軸は、もちろん自信をもって強攻策だ。4番田中はセンターフライに倒れるも、2塁ランナーはタッチアップで3塁へ。ここで、三木監督は左打者の嶌田に代えて、代打・豊泉を送る。試合序盤を見て、右打者の方が対応しやすいという判断だろう。これに豊泉が応え、外高めから入ってくるカーブをとらえてレフト前へ。日大三が1点を先制する。
序盤はカーブにタイミングを合わせ切れていない印象だった日大三。しかし、二巡目に入り、早くも対応し始める。6番竹中はキャッチャーゴロに倒れるも、ここでも再び右打者の7番安部。初球。今度は外から入ってくる速球をとらえ、右中間への2点タイムリー!関東一バッテリーの配球を見て、外に目付をし、きっちり呼び込んでとらえていくあたりは、流石は強打の三高である。
3点を追う展開となった関東一。ただ、こちらもしぶとさでは決して引けを取らない。直後の4回裏、先頭の3番坂本がこちらもストレートの四球で出ると、犠打で2塁へ。ここで5番小林は、初球の変化球が甘く入るところを逃さない。打った瞬間、外野の頭を抜けるとわかる打球で、レフトフェンスまで到達し、すぐに関東一が1点を返す。ここで日大三は、近藤をマウンドへ。打者一巡し、点の取り合いの様相を呈してきた中では、頃合いのタイミングだったかもしれない。
ただ、近藤の対策は当然、関東一サイドもしていたこと。1アウト2塁から真ん中よりに甘くなったスライダーをとらえ、チャンスを広げる。関東一打線は、あきらかにベース寄りに立ち、近藤のインコースを封じに行く。ここで7番藤江はライトへのフライ。3塁ランナーは一瞬、タッチアップをあきらめたが、中継が乱れるのを見て、小林は逃さずホームを陥れる。この回、得点にこそつながらなかったが、1塁ランナーの阿部がけん制で誘い出されながら、悪送球が飛び出してしまう。関東一の機動力よく知る分、日大三サイドにもプレッシャーが出てしまったか。
追いあげられた日大三だが、打線は坂本攻略の手ごたえをすでに掴んでいた。1番松永がアウトコースのボールに明らかに絞って打っていき、センターへのヒットで出塁。犠打で送ると、3番本間はライトライナーに倒れるのだが。捕球後に落球したライトからの中継プレーが乱れてしまう。ボールデッドでタッチアップして3塁に到達していた松永がそのままホームへ生還し、4点目。関東一としては、ライト入山の守備も好守であっただけにもったいない失点であった。
さらに、やや騒然とした雰囲気の中で打席には4番田中。坂本のアウトコースのカーブを狙っていたのだろう。カウント1-3からストライクを取りに来たカーブを完ぺきにとらえると、打球はレフトスタンドへ飛び込むホームランとなって5-2とリードを広げる。この回の2点は関東一にショックを残す得点になった。
反撃したい関東一。日大三のパワーの前に押され気味の展開の中、またも取られた直後に反撃に転ずる。2アウトランナーなしから2番大沢が俊足を飛ばして内野安打で出塁。すかさず初球から盗塁を決めると、ここで日大三ベンチはtimeを取る。打席には3番坂本を迎えており、当然の策だろう。しかし、再開後の初球をとらえた打球は右中間に弾むタイムリーとなり、大沢が生還。両チームとも甘く入ったボールは決して逃してくれない。ハイレベルな攻防が続き、前半を5-3で折り返す。
ところが、グランド整備明けを挟んで後半イニングに入ると、両チームの得点が動かなくなる。日大三の近藤は、この試合でも打たれ強さを発揮し、6回には2本のヒットを浴びるものの、後続を抑えて無失点。左打者がベース寄りに立つ作戦で関東一は対抗してくるが、緩急を駆使し、インコースも果敢について打たせて取っていく。酷暑が続く甲子園で、これだけ忍耐強く投げられる投手もなかなかいないだろう。
対する関東一はエース坂本を6回までとし、7回からは小刻みな継投策に出る。やはり日大三打線が相当研究してきていることを米澤監督も感じていたか。7回から2回を左腕・松沢、9回を3回戦で好投した右腕・石田と左腕・石井でしのぎ、全員が持ち味を出して、日大三打線を抑えきった。坂本が目立つ中、全員が実力を蓄え、大舞台でしっかり発揮するのは簡単なことではない。
2点を追う関東一のラストチャンスは8回裏だった。先頭の4番越後が初球のアウトコースの変化球を打たされたような格好になったが、打球はセンターに抜ける。1アウト後、6番阿部はインコースのカーブを足を引きながら右方向へ打ち返し、1,2塁とチャンス拡大。同点のランナーが出たところで、日大三は3回目の守備のタイムを取り、退路を断つ。近藤は7番藤江を渾身のアウトロー速球で三振に取り、2アウト。あと一つまで迫る。
関東一はここで2番手で好投した松沢に代えて代打・田村を打席へ。ここまでくると互いに総力戦だ。田村が初球を痛烈に引っ張った打球は、ファーストを強襲し、2アウトながら満塁の大チャンス。米澤監督は捕手の中浜にも代打を出し、井口を打席に送る。しかし、近藤の集中力は最後まで崩れなかった。低めに丹念に変化球を集め、ファーストゴロ。最大のピンチをしのぎ切った。
2点差で迎えた最終回。関東一は2アウトながら2,3塁の大ピンチを招くも、上記の通り、継投でしのいで望みをつないだ。そして、裏の攻撃は1番からの好打順、俊足を誇る1番入山・2番大沢である。しかし、近藤のカーブの前にいずれも完全にとらえきることはできず、二人連続で初球打ちがフライアウトに終わる。最後は、投打の中心の坂本がカウント1-1から、これもカーブを打たされてセンターフライに倒れ、ゲームセット!日大三が東京対決を制し、準決勝への切符をつかみ取ることとなった。
まとめ
日大三は、中盤以降に関東一のエース坂本のカーブを攻略。外角に偏っていた配球を見逃さず、確実に狙い打って仕留めていった。坂本のカーブは非常に曲がりのスピードが速く、決して簡単なボールではなかったのだが、それを打っていけるのが打撃の三高たるゆえんなのだろう。1番松永、3番本間、4番田中に注目が集まり、もちろん彼らは活躍したのだが、代打・豊泉や7番安部などその他のメンバーがきっちり仕事をした点も見逃せない。
また、投げては先発・山口が丁寧な投球で打者一巡を持たし、エース近藤の負担を軽減できたのは大きい。その近藤は、関東一打線がベース寄りに立ってインサイドを封じにくるも、果敢にそこをついていくコントロールと度胸の良さを見せた。2点を失いはしたものの、粘りづよい関東一の攻撃をかわしきったのは自信になるだろう。絶対的エースを強打で支える三高らしいチームカラーでつかんだ4強入り。しかし、ナインはまだまだ上を狙っていることだろう。
一方、関東一は序盤に坂本が快投を見せ、押し気味の展開に見えたが、中盤に四球や守備のミスが出たところを得点に結びつけられてしまった。もちろん三高の打力が素晴らしかったのだが、やはり野球はそういうところから失点してしまうスポーツである。また、関東一バッテリーとしては、右打者のインサイドを突き切れなかったことで、相手に狙いを絞りやすくさせてしまった部分もあったかもしれない。
ただ、攻撃陣はこの日も機動力を絡めて持ち味の粘り強さを見せ、継投した投手陣も強打の日大三に得点を許さなかった。エースで3番の坂本に注目が集まる中、こちらも総合力の高さを見せた、この日の戦いぶりであった。春の東京予選では早期敗退するなど、不安視された時期もあったが、2年連続での上位進出は、米澤監督に確かな手ごたえを残したことだろう。来年以降の活躍も非常に楽しみである。
【高校野球 甲子園】 関東一 vs 日大三 大熱戦!15年ぶり「東京対決」【全国高等学校野球選手権大会 準々決勝 全打席ハイライト】 2025甲子園 8.19 日大三高 関東第一


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