2025年選手権準決勝 沖縄尚学vs山梨学院(14日目第2試合)

2025年

大会14日目第2試合

山梨学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 2 1 0 0 0 4
1 0 0 0 0 3 1 0 × 5

沖縄尚学

 

山梨学院   菰田→檜垣

沖縄尚学   末吉→新垣有

互いに2年生投手リレーとなった第二試合は、中盤に山梨学院が沖尚のエース末吉を攻略。試合をリードしていたが、中盤以降に沖尚打線が底力を発揮し、逆転に成功!リリーフした新垣有が見事なリリーフで試合を締め、2010年の興南以来となる決勝進出を決めた。

試合

沖縄尚学は末吉、山梨学院は菰田。ここまで大会を沸かせてきた2年生の剛腕投手がともに、先発マウンドに上がった。

1回表、沖尚の末吉は1番鳴海に対し、この日も少しスライダーが抜け気味。カウント2-3から際どいコースへの速球が外れて四球となる。このボールはストライクと取ってもいいようなボールだったが、審判の手は上がらなかった。暴投で2塁へ進まれると、なんとか2アウトを奪うが、打席にはここまで打率8割と大当たりの4番横山を迎える。準々決勝で昨夏の優勝投手からホームランを放った「絶好調男」は、アウトコースの速球を逆らわずに流すと、打球はしぶとく1,2塁間を破る当たりとなって、2塁から鳴海が生還!山梨学院が先制に成功する。

1点をもらった山梨学院・菰田。しかし、この日は少しストレートが走っていないか。1アウトから2番真喜志が真ん中寄りのボールを引っ張ってレフトへのヒット。続く3番新垣瑞がドラッグバントを決めて2塁へ進むと、暴投で3塁へ進む。ここで打席には4番宜野座。この夏、最も当たっている男が、菰田のアウトコースの速球をとらえると、打球は三遊間を破るタイムリーに!すぐに同点に追いつき、両校互角のスタートとなる。

ところが、この回やや肘に不安を抱えるような素振りがあった菰田が、なんと1回を終えて交代。2回から左腕・檜垣へのスイッチとなる。この継投は吉田監督としては、苦渋の決断だっただろう。菰田は、グランド内には残ったが、この時点で檜垣のロングリリーフは決定的となる。

試合は、末吉檜垣の投げ合いに。末吉はボールの走りはそこまで悪くはないが、やはりスライダーが高めに抜けるケースが目立ち、大会序盤のような「圧倒感」はなくなる。ただ、それでも要所でストレートをコーナーに突き刺し、2,3,4回と無失点。隙を見せると一気に畳みかける山梨学院に対し、真っすぐの「威力」と「質」で対抗する。さすが沖尚のエース。簡単に流れは渡さない。

一方、思わぬ早い登板となった山梨学院・檜垣だが、こちらはスライダーとカットボールを武器に、いわば「飄々とした」ピッチングで切り抜ける。まだ細身ではあるが、投球フォームのバランスが良く、変化球が低めにキレる。ここまで好投手ばかりと対戦して、なかなかヒット数が上がらない沖尚打線だが、ここにきてまたいい意味で厄介な投手が現れることとなる。

試合は、1-1のまま中盤5回へ。ここから試合は激しく動き出すこととなる。

5回表、1アウトから1番鳴海が高めに抜けたスライダーをセンターに打ち返す。真っすぐ待ちのタイミングでスライダーが高めに浮いたら打ち返す。山梨学院サイドの狙いに迷いはない。続く2番宮川は、バスターの構えから9球粘ってインサイドの速球を打ち返し、ライトへのヒット。相手が嫌がることをわかっている、実にいい打者だ。

沖尚ベンチはここでタイムをかけるが、山梨学院の勢いは止まらない。3番梅村がインサイドのスライダーを芸術的な右打ちでライト前ヒットにすると、満塁となって打席には最も迎えたくない4番横山。ここで沖尚バッテリーは、アウトコース低めのスライダーを打たせ、サードゴロとなるが、これが安谷屋の前でイレギュラーしてレフトへ抜ける。走者2人が相次いで生還し、2点を勝ち越し。試合の流れを掴んだ。

しかし、その裏に沖尚打線も先頭の8番伊波、2アウト後に2番真喜志がいずれもヒットで出塁。ともに右方向を意識した打撃で、ポイントを捕手寄りにし、とらえた当たりである。この回、結局得点には結びつかなかったものの、檜垣攻略のとっかかりができたような、大きな攻撃イニングとなった。

ただ、ここまで大会4試合すべてに登板し、しびれる場面で投げ続けてきた末吉に限界が近づいていた。

6回表、先頭の7番菰田が高めの速球をとらえ、左中間への2塁打。これまでなら空振りかファウルにしていたボールだ。続く8番田村末吉の正面への犠打。失敗に終わったかと思った瞬間、末吉の3塁への送球が逸れてしまい、菰田が生還する。ここまで堅守を誇ってきた守備が乱れての失点。流れから言って、相当厳しい4点目であった。末吉は2番宮川を三振に取ったところで、新垣有に交代。厳しいコンディションの中でよく投げたが、悔しい結果となった。

3点を追う沖縄尚学。ここまで戦った4試合で1イニングの最多得点は「2」である。しかし、ここから打線が素晴らしい反発力を見せていく。

先頭は4番宜野座。2球目、真ん中寄りの速球を引っ張ると、打球は痛烈に3塁線を破る2塁打に!落ち込みかけていたナインを鼓舞するような一打で、球場のムードが変わる。続く5番比嘉はインサイドへの送球に詰まらされるが、これがテキサス性のヒットとなり、無死1,3塁。ハイサイおじさんのリズムに乗って、沖縄の風が吹き始めていた。ここで、この試合で4番から打順降格していた6番安谷屋がアウトコースから中寄りに入ってきたスライダーを狙い打つと、打球はレフト宮川が差し出したグラブの先を抜け、左中間を破っていく。2者が次々に生還!1点差となり、一気に試合はわからなくなる。

ここまで先頭から3連打で、檜垣の投球は僅か5球。いすれも追い込まれる前のカウント球をしっかりとらえた打撃だ。比嘉監督が見たかった、本来のバッティングがここにきてようやく開花してきた。さらに、7番阿波根が犠打を試みると、球場の圧に押されたか、ベースカバーに入ったセカンド萬場が後逸。安谷屋が生還し、一気に試合は振り出しに戻った。前半は抑えられていた檜垣に対し、その対応の仕方をナイン全員が共有できた、そんな攻撃であった。

同点に追いついてもらった沖尚は、2番手の新垣有が素晴らしい投球を展開する。140キロ台の速球、切れ味鋭いスライダーともにコーナーに決まり、ストライク先行の投球で打ち取っていく。ここまでの大会を見ても、好打者の揃う山梨学院の打者がここまできりきり舞いされている場面はちょっと思い出せない。同点に追いつかれ、リリーフエースが見せるこの快投。山梨学院にとっては抗いたくても抗えない流れが、たしかに存在していた。

すると、7回裏、今度は2アウトランナーなしから沖尚打線が繋がる。またしても、4番宜野座から。真ん中寄りに来た檜垣の速球を完ぺきにとらえた打球は、浜風にも乗って、レフト宮川の頭上を越す3塁打に。続く5番比嘉に対し、山梨学院バッテリーは慎重にアウトコースを突いて追い込むが、先ほどライト前へテキサス性のヒットを打った時と同じ、右への意識は生きていた。アウトコースのボールを流した打球はセカンドとライトの間に落ちるタイムリーに!宜野座がホームを駆け抜け、沖縄尚学がついに逆転に成功した。

リードをもらった新垣有は、夏前までメンタル面が不安視されていたが、もうそんな評はどこ吹く風。堂々とした投球で、真っ向から山梨学院の強力打線をねじ伏せる。8回表は、先頭の菰田をスライダーで空振り三振に取ると、後続も全く問題にせず、3者凡退。完全に相手打線を沈黙させる。一方、檜垣も逆転は許したものの、8回は沖尚の攻撃を3人で抑え、味方の反撃に期待をかける。

迎えた最終回、山梨学院は1番からの好打順だったが、鳴海は高めから入ってくるスライダーにも逃し三振。2番巧打の宮川も高めの速球を打ち上げてしまい、あとアウト一つまで追い込まれる。ここまで驚異的な猛打を誇ってきた山梨学院。このまま終わってしまうのか、打席には3番梅村が入る。

しかし、最後まで粘りを見せる、経験豊富なクリーンアップの面々。カウント2-2から少し甘めに来たスライダーをとらえると、打球はショート真喜志の前で跳ねてセンターへ。沖尚ベンチは最後のタイムを取るが、4番横山も迷わず初球を打ち、ストライクゾーンに来たスライダーをレフトへ運ぶ。2アウトからの連打。中軸の意地を感じさせるバッティングであった。

そして、続く打席には、こちらも3度目の甲子園となる5番平野。一打逆転もありうる場面となる。しかし、最後はインサイド高めのスライダーを打ち上げてしまい、この試合大活躍のキャッチャー宜野座がつかんで試合終了。沖縄尚学が見事な逆転勝ちで山梨学院を下し、夏は初めてとなる決勝進出を決めた。

まとめ

沖縄尚学は、エース末吉が打たれ、守備も乱れて3点ビハインドを背負うという、絶望的な流れから逆転勝ち。ここまで眠っていた打線の集中打と2番手で登板した右腕・新垣有の好投で試合をものにして見せた。まさしく、総力戦。チームの底力を感じさせる試合である。特に3点のビハインドを追いついた攻撃は見事の一言。積極的にカウント球を狙い撃ち、一気呵成の攻めで檜垣を攻略した。

また、4点を失ったとはいえ、末吉が我慢強い投球で試合を作ったことも大きいだろう。大会序盤から打線の援護がなかったが、ここまでチームを牽引してきた2年生に、ついに攻撃陣が応える結果となったのだ。また、リリーフした新垣有の投球は凄まじく、今大会3試合目だったが、投げるたびに良くなっている感がある。この投球ができれば、相手はよほどの打者でない限り打てないのでは、そう思わせる好投だった。

試合、「打線がもう少し…」と渋い顔だった比嘉監督だが、ここにきてすべてのピースがはまったような形での逆転勝ちは、チームに大きな自信を与えるだろう。仙台育英、東洋大姫路、そしてこの日の山梨学院と強者を次々退けての決勝進出。風は沖縄に吹いている、そんな雰囲気を感じた準決勝だった。

一方、山梨学院としては敗因のもとをたどれば、かわいそうではあるが、菰田の早期降板ということになるだろう。将来がある投手のため、もちろん無理はさせられないが、彼が序盤にリズムを作ることが、山梨の勝ちパターンだっただけに、結果的にリリーフの檜垣が攻略される流れを作ることとなってしまった。ただ、この逆転劇は勝った沖尚の打線を褒めるべきであり、山梨学院ナインは健闘を称えらえれるべきだろう。

ここまで選抜では上位進出があるも、夏はなかなか勝ちきれなかった山梨学院。しかし、夏仕様のチーム作りを目指した吉田監督の元、ここ2年はパワーがつき、打力の強化と複数投手性で、まさに夏に勝てるチームになってきた印象があり。さらに、以前は見られた不用意なミスも、今大会では見受けられず、よりスキのない野球に磨きがかかっている感覚もあった。

来年は菰田檜垣の左右両輪が残り、否が応でも注目が集まることとなるが、このスタイルのチーム作りをしていけば、今後も甲子園で結果を残すことができるだろう。山梨学院というチームに大きな手ごたえを残した夏の大会であった。

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