独断と偏見で選ぶ、2010年夏にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム

2010年

仙台育英(宮城)

1 木村 10 田中
2 嵯峨 11 渡辺
3 三瓶 12 千葉
4 佐々木 13 佐藤拓
5 井上 14 吉田
6 日野 15 大貫
7 高田 16 小野山
8 佐藤貴 17 山本
9 庄子 18 関場

奇跡の勝利連発したみちのくのライオン

3回戦で姿を消したチームの中でもこれほどドラマチックで、大会の主役と言ってもいい存在感を放ったチームはないかもしれない。

2年ぶりの出場となった2010年夏の仙台育英。1年生時に甲子園を経験したエース左腕・木村と本格派右腕・田中の左右両輪を擁しながらも、秋季大会では県予選で古川学園に敗退。早々と選抜の夢が絶たれていた。しかし、主将で4番の井上を中心に練習後の素振りを行う選手が一人、また一人と増えていき(あのダイヤのエースの3年生世代の様)、夏が終わるころには優勝候補筆頭にあげられていた。

しかし、夏の予選では右腕・田中が体調不良で離脱する事態に陥る。それでも、左腕・木村が5回戦から4試合連続完投と意地の投球を見せ、県内のライバルを圧倒。準々決勝の東北学院戦はスコア上は2-1だったが、「負ける気はしなかった」といい意味に完全に見下ろして投げ切って見せた。

打線は4番井上を中心に一度つながると止まらない破壊力を見せる。決勝では24得点の猛攻で圧倒したように、この年も自慢の打線が投手陣を強力に援護していた。

1回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 2 0 0 3 6
1 0 0 2 0 0 2 0 0 5

開星

【甲子園神試合】開星 vs 仙台育英 [第92回選手権] – YouTube

初戦は秋の中国王者・開星との実力校対決に。選抜では21世紀枠の向陽に敗れ、野々村監督の「腹切り発言」で話題を呼んでしまったが、もともと1番糸原(阪神)、白根(ソフトバンク)-出射のバッテリなど個の力は全国トップクラスの強豪である。選抜王者・興南と同ブロックに入ったチームの中で一番、打倒・興南の可能性があるとすれば、この試合の勝者ではないかと感じていた。

両者とも、「個」の力を前面に押し出すパワー野球が持ち味。お互いに激しく攻め合う展開となり、開星が4番出射のタイムリーなどで先手を取れば、仙台育英は1番三瓶のタイムリーで同点に追いつく。互いに四死球も多く、荒れた試合内容となり、7回裏に開星が2年生エース白根の勝ち越しホームランで一歩前に出るも、このままで終わらないのではと思わせる雰囲気があった(レフトスタンドで観戦してました)。

そして、9回表、「魔」のイニングがやってくる。仙台育英は2アウトランナーなしから後続が粘り、1点差に詰め寄るも、2塁ランナーが転倒した影響もあって同点のホームが踏めない。続く2番日野の当たりはセンターへの飛球となり、ゲームセットかと誰もが思った瞬間に、開星のセンターがまさかの落球。2人の走者がホームを駆け抜け、奇跡の逆転を演じる。

さらに続く9回裏には2アウト1,2塁とサヨナラ負けの大ピンチで1番糸原の大飛球をレフト三瓶がダイビングキャッチ。春から外野手に転向したと言う努力の男がこれまた奇跡と呼んでいいプレイで、2番手右腕・田中を、そしてチームを救う勝利をもたらした。

 

2回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1 5 0 0 1 0 0 0 0 0 0 3 10
3 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7

延岡学園

【甲子園神試合】仙台育英 vs 延岡学園 [第92回選手権] – YouTube

この勝利で勢いに乗らないわけがない。2回戦はこちらもサヨナラ勝ちで勢いに乗る延岡学園との対戦になり、序盤から激しく点を奪い合う展開に。しかし、初戦はあたふたしていた右腕・田中がリリーフで素晴らしい投球を見せる。自慢の速球が走り、3回までに7得点を挙げた延岡学園打線をぴしゃりと封じる。県予選の汚名返上を果たすには十分すぎる好投であった。

延長に入った試合は、12回表、前の試合で奇跡の一打を放った2番日野がまたも勝ち越しタイムリーを放つ。持ってる男の一打で築いたリードを田中が守り抜き、仙台育英はまたしても劇的な勝利を飾った。

 

3回戦

仙台育英

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
2 1 1 0 0 0 0 0 × 4

興南

仙台育英vs興南 ダイジェスト(第92回選手権大会) – YouTube

 

そして、3回戦は王者・興南との対戦に。勢いに乗る田中を先発に立てたが、1回裏に興南は3番我如古のタイムリーなど試合開始わずか4球で先制点を奪う。電光石火の早業で勢いを止められた仙台育英は2回表に三瓶のホームランで1点を返すも、3回終わって1-4とビハインドを背負ってしまった。

しかし、ここから粘りを見せるのも仙台育英。救援した木村が今度は2回戦の借りを返す好投を見せれば、7回には優勝投手・島袋を満塁まで追い詰める攻撃を見せた。負けはしたものの、勝利への執念を感じさせた2010年の仙台育英は、熱闘甲子園30周年の夏に最も輝いたチームの一つだったと言えるだろう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました