神宮大会4強校の成績振り返り(2008年~2013年)

コラム

各地方大会終了後、すぐに大会が開催される夏と違い、選抜は秋季大会が終わってから5か月が経過して行われます。大会前の優勝予想は非常に難しく、何か月も前の大会成績をもとに考えなくてはいけません。しかし、だからこそ番狂わせと言われる結果が出て面白いのではないでしょうか。今回は、歴代の神宮大会で4強入りしたチームの選抜での結果を振り返っていきます。

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2008年選抜

優勝:常葉菊川→3回戦敗退

準優勝:横浜→初戦敗退

ベスト4:明徳義塾→3回戦敗退

ベスト4:東北→初戦敗退

 

神宮大会でファイナルを戦った常葉菊川と横浜。戦力的に頭一つ二つ抜けていると思われた良好だったが、選抜ではベスト8を前に姿を消した。

常葉菊川は初戦は今宮(ソフトバンク、当時2年)擁する明豊を相手に持ち前の打線が火を噴き、6-4と勝利。まずは無難なスタートを切った。しかし、続く3回戦では千葉経済大付の剛腕・斎藤(巨人)の前に初回に3者連続の見逃し三振を喫する。良い打球を放っても、相手の巧みなポジショニングの前に打ち取られ、2-7で完敗。全国大会で5大会連続4強入りしていたが、上位に勝ち進むほど相手の研究も受ける怖さがある。

横浜はエース土屋(ロッテ)、1番倉本(DeNA)、主砲・筒香(パイレーツ)とスター軍団で関東大会を制覇。2年ぶりの全国制覇の期待がかかっていたが、初戦で北大津の積極攻撃につかまって逆転負けを喫した。カウント0-3からでも構わず好球を打ってくる北大津の打撃の前に、横浜の積み上げてきたセオリーが打ち砕かれた試合であった。

明徳義塾は2005年に不祥事で出場辞退してから初めての甲子園出場。エース左腕・南野を中心に粘り強い戦いを見せた。初戦は広瀬・江川の中軸を中心に強打を誇る関東一を3-1で競り落とすと、2回戦では河合、堂林(広島)ら翌年に全国制覇を果たす2年生を擁する中京大中京に3-2とサヨナラ勝ち。3回戦で沖縄尚学の東浜(ソフトバンク)に封じ込まれたが、名門復活の足掛かりをつかんだ大会医だった。

東北はエース左腕・荻野を軸に東北大会を制覇し、4年ぶりの選抜出場権を獲得。本大会では4年前の夏に破った北大津との再戦になった。機動力を活かした攻撃で2点を先行したが、終盤に荻野が疲れから北大津打線に捕まって3-2と逆転負け。強攻で圧力をかけ続けた北大津の破壊力が好左腕を上回った。

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2009年選抜

優勝:慶應義塾→初戦敗退

準優勝:天理→初戦敗退

ベスト4:西条→初戦敗退

ベスト4:鵡川→初戦敗退

 

この大会はなんと神宮4強がすべて初戦で敗退。驚きの結果となった。

慶応義塾は前年は田村、只野の2枚看板で久々に夏8強入り。勢いに乗るチームは新エース白村(日本ハム)を中心に秋も快進撃を続け、高い投手力を軸に神宮優勝に輝いた。選抜では山陰の雄・開星と対戦。2年生の好打者・糸原(阪神)を中心とする強打のチーム相手に白村は序盤踏ん張っていたが、中盤以降自慢のストレートをとらえられて1-4と逆転負け。開星のエース春木のシュートボールに打線も苦しみ、初戦敗退を喫した。

天理は初戦で早稲田実との伝統校対決に。中山、沼田ら質量ともに豊富な投手陣と、西浦(ヤクルト)・西川を中心とした強打がかみ合い、秋の近畿チャンピオンに輝いた。しかし、早稲田実戦は相手の2年生エース小野田にホームランを浴びるなど、序盤から劣勢に。3点のビハインドを追いついたが、最後はエース中山がサヨナラ打を浴びて万事休した。力では劣っていなかったが、ペース争いで後手を取った印象だった。

西条は「伊予ゴジラ」の愛称で知られた秋山(阪神)をエースで4番に据え、投打に戦力は充実。この年代の四国では最も力のあるチームだっただろう。初戦は学園との名門校対決になり、秋山はPL打線を1点に抑えたが、打線が相手エース中野をとらえきれずに完封負け。1番主将の井下を故障で欠いたことも影響したかもしれない。しかし、夏はその井下が1番センターで復活し、リベンジの1勝を手にした。

鵡川は佐藤監督の指導の下、年々力をつけ、今回が3度目の出場。砂川北時代にKKコンビの学園に6ホームランを浴びて敗れた経験もあり、パワー重視の野球で勝ち上がってきた。この年の西藤、柳田、森の中軸の破壊力は全国でもトップクラスだったが、奇しくも相手が花巻東の菊池雄星(マリナーズ)。150キロの速球と高速スライダーをゾーンの中に力強く投じる相手に、さすがの鵡川の中軸も力負けした。

佐藤監督が始動したチームの中でも集大成と呼べるチームであり、この大会で勝ち上がっていれば、あるいはその後に鵡川の時代が来たかもしれなかったが、組み合わせの運がなかった。

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2010年選抜

優勝:大垣日大→ベスト4

準優勝:東海大相模→初戦敗退

ベスト4:今治西→初戦敗退

ベスト4:帝京→ベスト8

 

大垣日大はエース左腕・葛西を中心に2年生がスタメンの大半を占めるチームで神宮を制覇。名将・阪口監督の指導の下、伸び盛りのチームは選抜でも快進撃を見せた。初戦で21世紀枠の川島を接戦の末に下すと、2回戦は大阪桐蔭、準々決勝は北照にそれぞれ完勝。葛西、阿知羅(中日)の2枚看板がそれぞれ完投勝利を挙げ、ベスト4まで勝ち進んだ。最後は興南に大敗したが、大垣日大が新たな一歩を記した大会となった。

東海大相模は一二三(阪神)-大城(巨人)のバッテリーを強力打線が支え、神宮で準優勝。決勝では一二三を先発させずに敗れており、実力No.1とみられていた。しかし、本戦ではエース一二三がなかなか調子が上がらず、打線も自由ヶ丘・小野の技巧的な投球を打ち崩せない。8回裏に一二三が満塁走者一掃の長打を浴び、初出場校に金星を許した。

エース左腕・日野を中心に粘りの戦いで神宮4強入りした今治西。実力校は上位進出を狙っていたが、初戦の相手は夏春連続出場で経験者を擁する三重高校であった。互いに一歩も譲らないまま5-5で延長戦に突入したが、打力では三重に分があった。最後は日野がサヨナラ打を浴び、延長10回で力尽きた。

帝京は2年生エース伊藤(DeNA)に鈴木、山崎(DeNA)と3人の剛腕を擁する投手陣を左の好打者をズラリ並べた打線で東京大会を制覇。選抜でも優勝候補に上がり、岡本健(ソフトバンク)の神戸国際大付、三重高校をそれぞれ3-2と接戦で下して8強入りした。しかし、準々決勝では興南のエース島袋を打ち崩せずに完封負け。のちに春夏連覇を達成する「琉球トルネード」に行く手を阻まれた。

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2011年選抜

優勝:日大三→ベスト4

準優勝:鹿児島実→ベスト8

ベスト4:大垣日大→2回戦敗退

ベスト4:浦和学院→初戦敗退

 

日大三はエース吉永に、畔上・横尾(日本ハム)・高山(阪神)ら全国一の強打を誇る打線を持ち、優勝候補の筆頭格だった。初戦で対戦したのは奇しくも「初戦で負けない」明徳義塾だったが、終盤に試合をひっくり返して6-5と辛勝。その後は順調に勝ち上がったが、準決勝でエース吉永が九州国際大付の長打攻勢に屈し、ベスト4で甲子園を去った。

鹿児島実は、「杉内2世」の呼び声高いエース左腕・野田(西武)と豊住・浜田・揚村と前年夏の甲子園を経験した好打者を中軸に並べた打線で九州大会を制覇。初戦で浦和学院との地区大会優勝校対決を制すると、順調に8強まで勝ち上がった。しかし、準々決勝で東海大相模・近藤の前に打線が6安打で完封負け。歴史的な強打を誇ったこの大会の相模打線を相手に野田が唯一となる好投を見せたが、0-2で惜敗した。

大垣日大は前年の選抜4強を経験したメンバーがごっそり残り、秋の大会も順当に勝ち上がった。選抜では初戦で東北を7-0と大差で下し、快調なスタートを切ったが、2回戦で葛西が東海大相模の強力打線に捕まって5-13とよもやの大敗。左サイドからのコントロールとキレが持ち味だったが、調整がうまくいかなかったようで、序盤から打ち込まれてしまった。

浦和学院は2年生エース佐藤を中心に若いチームで関東大会を制覇。佐藤はスローカーブを武器にした緩急が持ち味で、選抜でも好投が期待された。しかし、初戦の鹿児島実との強豪対勝では中盤に守りのミスが出て逆転負け。悔しい結果に終わった。この大会まではなかなか勝ち上がきれなかった浦和学院だったが、佐藤が最終学年を迎えた翌年のチームで春夏2勝ずつを上げ、初戦敗退の長いトンネルを抜け出した。

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2012年選抜

明治神宮大会を制した光星学院が、センバツで東北に希望を ...

優勝:光星学院→準優勝

準優勝:愛工大名電→ベスト8

ベスト4:鳥取城北→初戦敗退

ベスト4:北照→初戦敗退

 

光星学院は城間・金沢の2枚看板と田村(ロッテ)、北條(阪神)の強打がかみ合い、初戦からほぼ危なげない勝ち上がり。準々決勝で愛工大名電との神宮決勝の再戦となったが、大杉の決勝3ランで大一番を制した。優勝を狙って挑んだ初の決勝だったが、最後に立ちはだかったのは藤浪(阪神)擁する大阪桐蔭。12安打を浴びせて攻め立てたが、走塁ミスなどもあって3点どまり。惜しくも準優勝に終わった。

愛工大名電はプロ注目の左腕・濱田(中日)と実力者揃いの打線を擁し、神宮では準優勝。光星学院には惜敗したものの、主将・佐藤を欠いた状態での戦いであり。選抜では現実的に2度目の優勝を狙える力があった。本大会では奇しくも光星学院と同じブロックに入り、宮崎西・履正社を圧倒して8強に進出。リベンジマッチに挑んだが、上記のように同点で迎えた8回裏に、濱田が勝ち越しのランニング3ランを浴びて力尽きた。

鳥取城北は山木監督の指導の下、パワーヒッターをそろえて中国大会を制覇。神宮でも近畿王者の智辯学園に逆転勝ちするなど、自身を持って大会を迎えた。しかし、開幕戦で対戦した三重高校・三浦のスライダーに苦戦。最終回に主将・佐藤の2ランで1点差に追い上げたが、一歩及ばなかった。

北照は2年生エース大串、同じく2年生の主砲・吉田雄(オリックス)を中心とした若いチームで、秋の北海道大会を制覇。伸び盛りのチームで選抜に挑んだが、選抜初戦で神宮優勝の光星学院とぶつかることになってしまった。大串は強打の光星を相手に3失点と踏ん張ったが、打線が光星・城間の打たせて取る投球に完封負け。1回戦で甲子園を去った。

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2013年選抜

優勝:仙台育英→ベスト8

準優勝:関西→初戦敗退

ベスト4:北照→ベスト8

ベスト4:春江工→初戦敗退

 

仙台育英は国体の両校優勝(大阪桐蔭と)に続いて神宮大会も制覇。鈴木・馬場(阪神)の右の2枚看板と4番上林(ソフトバンク)を中心とした強力打線で選抜でも頂点を狙った。創成館・大野、早稲田実・二山と好投手を打ち崩して8強入りしたが、準々決勝では高知の酒井-坂本の継投の前に5安打で完封負け。投手陣は実力を出し切ったが、やはり打線は水物という結果になった。

関西は好左腕・児山(ヤクルト)を軸に神宮大会で準優勝。打線では逢沢、小郷(楽天)の2年生の1,2番コンビが大活躍して勝ち進んだ。しかし、選抜では初戦の高知戦でキーマンの1,2番が封じ込まれて1得点。児山も終盤に捕まって5失点し、2007年の選抜で勝利した相手にリベンジを許した。

北照はエース大串、3番吉田雄(オリックス)、4番小畑ら前年の選抜を経験したメンバーを中心に秋は貫禄の勝ち上がり。選抜では初戦で大串が菰野打線を完封すると、続く3回戦でも尚志館を6-3で寄り切り、3年ぶりのベスト8進出を決めた。しかし、準々決勝では強打の浦和学院を相手にインサイドを攻めきれず、10失点。思わぬ大差で選抜は幕を閉じた。

春江工は2年生スラッガー栗原(ソフトバンク)を中心に秋は快進撃。福井大会決勝で敗れた敦賀気比に北信越の決勝でリベンジし、神宮大会でも浦和学院を下す金星を挙げた。しかし、選抜初戦では常葉菊川の長打攻勢に屈して5-9と敗退。ヒット数は12本と14本を差は少なかったが、塁打数で勝敗が分かれた。

 

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いかがでしたでしょうか?6年間で神宮4強から優勝校は出ませんでした。秋から春にかけて連続して結果を残すのはやはり至難の業のようです。

秋の大会で勝ち上がることで相手にデータを取られてしまう不利さも関係あるとは思いますが、5か月という期間が空く間に、高校生は信じられないぐらい成長することで逆転現象が起こるのでしょう。今回の神宮4強校(大阪桐蔭、広陵、花巻東、九州国際大付)がどこまで勝ち上がれるか、見ものですね。

コメント

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