神宮大会4強校の成績振り返り(2014年~2019年)

コラム

各地方大会終了後、すぐに大会が開催される夏と違い、選抜は秋季大会が終わってから5か月が経過して行われます。大会前の優勝予想は非常に難しく、何か月も前の大会成績をもとに考えなくてはいけません。しかし、だからこそ番狂わせと言われる結果が出て面白いのではないでしょうか。今回は、歴代の神宮大会で4強入りしたチームの選抜での結果を振り返っていきます。

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2014年選抜

明治神宮大会2013秋】大逆転!沖縄尚学が日本文理に大逆転 ...

優勝:沖縄尚学→ベスト8

準優勝:日本文理→初戦敗退

ベスト4:今治西→初戦敗退

ベスト4:岩国→初戦敗退

 

前年秋の神宮大会ファイナルを戦った2校はともに愛知・豊川に敗退。

日本文理は初戦で延長13回に及ぶ屈指の好ゲームを演じたが、逆転サヨナラ負けを喫した。沖縄尚学はエース山城大が2試合を1失点完投。順当にベスト8まで勝ち進んだが、連投の影響で足を大きく上げるフォームはバランスを崩し、豊川戦は序盤で打ち込まれてしまった。

今治西、岩国の4強勢2校はともに初戦で敗退。今治西は2年前は桐光学園・松井(楽天)、前年は済美・安楽(楽天)と世代屈指の好投手に封じ込めたことでチームを上げて打線を強化。秋の大会ではその成果が出て四国王者に輝いたが、選抜本番では桐生第一の2年生右腕・山田に3安打1点に抑え込まれてしまった。

岩国はスライダーが武器のエース柳川を擁して開幕戦に登場。しかし、序盤にそのスライダーを見せすぎたことで終盤に神村学園打線に捕まってしまった。

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2015年選抜

優勝:仙台育英→2回戦敗退

準優勝:浦和学院→ベスト4

ベスト4:九州学院→1回戦敗退

ベスト4:東海大四→準優勝

 

仙台育英は2年ぶり2度目の神宮制覇を果たして、本戦に出場。エース佐藤世(オリックス)と平沢(ロッテ)、郡司(中日)、佐々木良、紀伊ら強打者を擁する打線は初戦は12-0と大勝。しかし、2回戦で優勝した敦賀気比・平沼にうまくボール球を打たされると、佐藤世も唯一とも言える失投を敦賀気比・林中に2点タイムリーされてベスト8を前にさることとなった。

浦和学院は初戦で前年優勝の龍谷大平安と激突。浦学・江口、平安・高橋奎(ヤクルト)の投手戦となったが、延長で先制点を奪った浦学が大一番を制した。その後は勢いに乗ってベスト4まで進出。準々決勝ではこれまたプロ注目の県岐阜商・高橋純(ソフトバンク)を攻略し、2年ぶりの全国制覇も見えてきたかと思ったが、準決勝で東海大四に前年神宮のリベンジを許し、決勝を前に涙を飲んだ。

そのリベンジを達成した東海大四は大躍進。エース大沢を中心に少ない得点を守り抜く野球で1,2回戦は21世紀枠の豊橋工、松山東を連破すると、準々決勝では健大高崎に1-0と競り勝って、全国大会の対関東勢の連敗を8でストップさせた。そして、準決勝では前年秋に0-10と敗れた浦和学院を相手に3-1と逆転勝ち。前評判は高くなかったが、見事な快進撃で準優勝に輝いた。

九州学院はサイドハンドのタフネス右腕・伊勢(DeNA)を強力打線が支えて秋の九州大会を制覇し、神宮でも4強入り。選抜では開幕戦に登場したが、八戸学院光星の打線に伊勢が終盤つかまり、9-2で敗退した。この年の夏に今を時めくホームラン王の村上(ヤクルト)が入学。1年時から4番を務めることとなる。

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2016年選抜

優勝:高松商→準優勝

準優勝:敦賀気比→2回戦敗退

ベスト4:大阪桐蔭→2回戦敗退

ベスト4:青森山田→初戦敗退

 

名将・長尾監督を慕って有力選手が集まったこの年の高松商。神宮大会で大阪桐蔭・敦賀気比と強豪を連破した実力は本物であった。初戦でいなべ総合との延長戦を制すると、持ち前の強力打線が爆発。創志学園の剛腕・高田(巨人)を攻略すると、海星・秀岳館の九州勢にも打ち勝って決勝まで進出。名門復活を高らかに宣言した。

敦賀気比は選抜連覇を狙って臨んだ初戦はエース山崎颯(オリックス)が神宮のリベンジに燃える青森山田打線を完封。今やオリックスのローテーションの一角を担わんとする剛腕の角度のあるストレートは当時から威力十分であった。しかし、この大会は珍しく打線が低調で、2回戦では海星に1-2と惜敗。大会を通して3番林中のたたき出した2点のみに終わった。

大阪桐蔭は最速150キロのエース左腕・高山(日本ハム)を擁し、打線も中山・永廣・吉澤と前年の経験者を並べて2度目の選抜制覇に挑んだ。しかし、初戦は土佐に9-0で完勝するも、2回戦で木更津総合に1-4と完敗。千葉県内ではここ10年で最高の投手と位置付けられたエース左腕・早川(楽天)に封じ込められ、2回戦で姿を消した。

敦賀気比と神宮大会の再戦となった青森山田はエース堀岡(巨人)が1失点完投と好投するも、打線が山崎颯の前に得点を奪えずに完封負け。好打者・三森(ソフトバンク)をはじめとして実力は高かったが、剛球ストレートの前に封じ込められた。

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2017年選抜

優勝:履正社→準優勝

準優勝:早稲田実→2回戦敗退

ベスト4:札幌第一→初戦敗退

ベスト4:福岡大大濠→ベスト8

 

2016年度は国体、神宮と秋の2冠に輝いた履正社。主砲の安田(ロッテ)・若林、エース竹田と投打の軸がしっかりしており、周りを固める2年生がのびのびプレーした。初戦で日大三との大勝負に制すると、その後は市呉・盛岡大付・報徳学園と下して3年ぶりの決勝進出を果たした。大阪桐蔭との大阪決戦には敗れたものの、3年前と違ってマークされながら勝ち進んでの準優勝は履正社というチームに新たな自信をもたらしただろう。

高校通算ホームランの新記録を打ち立てることとなる主砲・清宮(日本ハム)を中心に野村(ソフトバンク)、橘本など強打者の揃った早稲田実。不安定な投手陣をカバーして余りある打力で秋の戦いを勝ち進んでいったが、投手力がものを言う選抜では苦戦を強いられた。初戦は明徳義塾に奇跡的な逆転勝ちを収めたが、2回戦はエース安田が安定していた東海大福岡に余裕を持って逃げ切れられ、8-11と敗退。一人でも計算の立つエース投手がいれば、また結果は違ったかもしれない。

札幌第一は前年に続いて2年連続で北海道大会を制しての連続出場。4番高階を中心とした強力打線と富樫・前田の好左腕2人を擁した投手陣で自信を持って臨んだはずだったが、初戦で機動破壊の健大高崎にかき回されて1-11と大敗を喫した。選手個々の力ではそこまで差があるようには見えなかったが、改めて野球の怖さを思い知らされる結果となった。

三浦(DeNA)-古賀(西武)の黄金バッテリーを擁して久々の選抜出場権を獲得。抜群のコントロールとキレ、そしてインサイドワークで相手打線を翻弄し、本当に高校生のバッテリーなのかと思わせるほどの質の高い投球を見せた。ただ、打線の援護がなく、2回戦が延長再試合になり、準々決勝で三浦が登板できずに敗退。もう少し長く見ていたいバッテリーだった。

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2018年選抜

優勝:明徳義塾→3回戦敗退

準優勝:創成館→ベスト8

ベスト4:大阪桐蔭→優勝

ベスト4:静岡→3回戦敗退

 

夏の甲子園、国体と優勝経験のあった明徳に初の神宮優勝をもたらしたのが、エース市川(ヤクルト)を中心とした2018年世代だった。選抜ではV候補の一角として臨み、2回戦では神宮の再戦となった中央学院戦に4番谷合の逆転サヨナラ3ランで勝利。豪快なスタートを切ったが、3回戦の日本航空石川戦では、1点リードの9回裏に市川が3番原田に逆転サヨナラ3ランを被弾。サヨナラホームランに笑い、サヨナラホームランに泣いた春となった。

プロ注目左腕・川原(阪神)や速球派サイド・伊藤大など質量ともに豊富な投手陣を擁し、神宮大会ではスター集団の大阪桐蔭を撃破。守り勝つ野球で選抜に臨むと、下関国際・智辯学園とともに接戦で下して8強に勝ち進んだ。準々決勝で智辯和歌山に5点差をひっくり返されて逆転負けを喫したが、近年の甲子園でも上位に入るほどの投手陣であった。

根尾(中日)、藤原(ロッテ)、柿木(日本ハム)、横川(巨人)とのちにプロ入りする選手を4人擁し、他校もうらやむ陣容だった2018年の大阪桐蔭。前年夏の仙台育英戦の逆転負けの教訓を糧に、一つ一つのプレーを徹底した常勝軍団は準決勝の三重戦以外はすべて快勝を続け、1981年、1982年のPL学園以来となる選抜連覇を達成した。

東海地区屈指の伝統校・静岡が3年ぶりに選抜に出場。強力クリーンアップを擁した前回と違い、今回はエース春を中心としたリズムの良い守りの野球が持ち味であった。初戦はその持ち味を発揮し、そつのない攻撃も絡めて駒大苫小牧に7-0と大勝。好調なスタートを切ったが、3回戦は東海大相模の強打に春がつかまり、3回戦で姿を消した。

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2019年選抜

優勝:札幌大谷→2回戦敗退

準優勝:星稜→2回戦敗退

ベスト4:筑陽学園→ベスト8

ベスト4:高松商→2回戦敗退

札幌大谷は北海道大会を初優勝すると、勢いに乗って神宮大会も制覇。多彩な投手陣や攻撃的2番釜萢を擁した打線など、初出場とは思えないしたたかさを持つチームであった。駒大苫小牧で全国制覇を経験した五十嵐部長の指導も大きかったのだろう。甲子園では2回戦で明豊との接戦に敗れたが、また近いうちに戻㏍てくるのではないだろうか。

世代No.1右腕・奥川(ヤクルト)を擁し、石川県勢初優勝の期待が高まっていた星稜。秋の大会を順当に勝ち上がり、選抜でも躍進が期待されていた。初戦はスラッガー井上(阪神)を中心に強打を誇る履正社を3-0で下して快調なスタートを切ったが、2回戦では習志野のコツコツ粘り強い攻撃に奥川が3失点を喫して惜敗。ただ、この悔しさが夏の準優勝へとつながっていった。

質量ともに豊富な投手陣と強力打線を擁して九州大会を初制覇した筑陽学園。中村(父が西短で全国制覇)、福岡(父が樟南の準優勝投手)らサラブレッド達が上位を打つ打線は力があり、西・西舘を中心とする投手陣がリードを守って、福知山成美・山梨学院と下した。準々決勝で東邦に力負けしたが、歴史を築いた大会となった。

好左腕・香川を中心に3年前の準優勝に迫る活躍が期待された2017年の高松商。初戦は香川がキレのあるボールで春日部共栄打線を完封すれば、打線も好投手・村田から8得点と素晴らしい戦ぶりを見せた。ただ、2回戦では腰痛で本調子でない香川が先発できず、市立和歌山に2-6と完敗。上にいく力のあるチームだっただけにもったいない結果であった。

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いかがでしたでしょうか?神宮4強校から優勝が出たのは2018年の大阪桐蔭の1校だけでした。秋から春にかけて連続して結果を残すのはやはり至難の業のようです。

秋の大会で勝ち上がることで相手にデータを取られてしまう不利さも関係あるとは思いますが、5か月という期間が空く間に、高校生は信じられないぐらい成長することで逆転現象が起こるのでしょう。今回の神宮4強校(大阪桐蔭、広陵、花巻東、九州国際大付)がどこまで勝ち上がれるか、見ものですね。

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