大会10日目第3試合
神村学園
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 3 | 8 |
0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4× | 9 |
明豊
神村学園 青柳→中里→金城
明豊 佐藤→溝上
九州勢同士の対戦は観客の想像をはるかに超えた逆転劇の応酬となった。明豊が劇的なサヨナラ勝ちで2009年以来8年ぶりの8強進出を果たした。
試合
1回裏、明豊は先頭の主将・三村の2塁打をきっかけにノーアウト満塁の大チャンス。ここで4番杉薗のライトへの飛球は犠飛には十分かと思われたが、神村学園のライトの角が素晴らしい返球。松山商と熊本工の試合で矢野選手が魅せた奇跡のバックホームを思わせるようなボールで3塁走者をアウトにし、立ち上がりを0点に切る。
しかし、この日はいつもと比べて変化球が高めに入る神村学園先発の青柳。3回裏、当たっている9番菅が投手へのラッキーな内野安打で出塁すると、1番三村は四球。犠打で送って1アウト2,3塁となったところで早くも神村学園は先発・青柳をあきらめて2番手に中里をマウンドに送る。ここで明豊は初戦大活躍の3番濱田がアウトコースいっぱいのスライダーを見事な流し打ちではじき返して先制の2点タイムリー。明豊が先手を取る。
一方、明豊の先発は初戦に続いて佐藤楓。序盤、神村打線に5回までに毎回の5安打を浴びるが、右打者の外へ逃げるスライダーを武器にあと一本を許さず、0点で踏ん張り続ける。
明豊は5回裏にも3番濱田が2試合連続となるホームランを放つと、7回裏には1番三村、3番濱田のヒットで作ったチャンスに4番杉薗が大会初ヒットとなるライトへのタイムリーヒット。3人ともセンターから逆方向への打撃で中里の外角主体の投球に対応した。さらに、この回ゲッツー崩れの間にもう1点を追加。終盤で4点のリードとした。
一方、7回まで佐藤楓の前に6回の前畑のタイムリー1本に抑え込まれていた神村打線も徐々に佐藤楓のボールをとらえ始める。8回表に2番羽月、3番田中怜の長短打で1点を返すと、9回表には土壇場で猛反撃。先頭の6番田中祐がセンター前ヒットで出塁すると、2アウトをとらえて追い込まれるが、代打・南川、1番後藤がともに変化球をしっかりためてセンター前へ。1点を返してなお同店のチャンスにすると、ここで先ほど3塁打の2番羽月がインサイドのストレートを痛烈に引っ張って同点の2点タイムリー3塁打。あと一人から3連打を浴びせて、奇跡的な同点劇を見せる。
しかし、同点にされて苦しい展開となった明豊だが、2番手で登板した溝上が好投を見せる。笑顔で投げる右腕がストライク先行の投球で神村学園に対抗。得意のスプリットも交えて、ピンチをしのぐ。また、神村学園の3番手の金城も9回から登板して制球よく投げ込み好投。試合は10回、11回と両チーム無得点で12回に突入する。
12回表、神村学園は6番好打者の田中祐がショート内野安打で出塁すると、四死球を絡めて1アウト満塁のビッグチャンス。2アウトとなったところで、1番主将の後藤が意表を突くセーフティーバント。投手の悪送球も絡んで満塁のランナーが全員生還し、8-5と大きくリード。鹿児島大会で準決勝・決勝と連続で勝利打点を挙げた勝負強い男が、再び大仕事をやってのけ、勝負は決まったかに見えた。
12回裏、明豊は4番杉薗、5番佐藤祐が凡退。しかし、ここから怒涛の猛反撃が始まる。6番松谷が苦しんでいた金城のスライダーをセンターへはじき返すと、7番吉村も外のスライダーを強引に引っ張って1,2塁。それぞれ2打席目に入って金城のボールに慣れ始めていた。8番三好が四球でつなぐと、暴投で1人生還。さらに9番の管がたたきつけた打球は3塁手の頭を超えて、2者生還。3点差を振り出しに戻し、ついに同点に追いついた。
こうなると流れは明豊へ。1番三村が投手強襲のヒットでつなぐと、2番琉は四球。満塁で最も怖い3番濱田を迎えると、最後は金城が根負け。フルカウントから押しだしの四球となって明豊が劇的なサヨナラ勝ちを収めた。
まとめ
明豊は土壇場9回に追いつかれ、延長で3点勝ち越しを許すという大変苦しい展開ながら、最後は見事な逆転勝ち。2アウトランナーなしから7人連続アウトにならずにつなぐ驚異の粘りを見せた。先発・佐藤楓の好投に3番濱田、4番杉薗の中軸が仕事をするという理想的な試合で進んでいた試合だったが、野球は本当にわからないものだと2度3度思わされた。とにもかくにも九州対決を制して、通算3度目の8強進出。近年元気のなかった大分勢だったが、2009年の明豊以来久々の8強進出を決めた。
一方、神村学園は終盤の同点劇は素晴らしく、センターから逆方向への打撃で4点差を追いつく粘りを見せた。投打ともプロが注目するような選手こそいなかったが、投打に分厚い選手層を誇るチームらしく、交代した選手の活躍が目を引く展開だった。最後はあとアウト一つが取れずに敗れたが、初戦の京都成章戦と合わせ、2試合とも強烈な印象を残した夏だった。
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