2019年選手権1回戦 習志野vs沖縄尚学(4日目第3試合)

2019年

大会4日目第3試合

習志野

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 1 0 1 1 0 0 0 1 1 5
0 0 0 3 0 1 0 0 0 0 4

沖縄尚学

 

習志野   山内→飯塚

沖縄尚学  仲村渠→永山

甲子園常連校同士の1回戦屈指の好カードは追いつ追われつの展開に。土壇場で同点に追いついた習志野が沖縄尚学を接戦の末に下し、2回戦にコマを進めた。

試合

習志野は選抜で前評判が決して高くない中で準優勝。習志野らしい全員野球で夏の千葉大会でも4連覇を狙った木更津総合や成田といった強豪に競り勝ち、春夏連続出場を決めた。竹縄根本とW主将制を強いており、チームのまとまりは強い。投手陣は選抜でも活躍した技巧派左腕・山内とエース飯塚が健在。飯塚の伸びのある速球は相手打線にとってはケアが必要だ。打線は、細かい攻撃に加えてパワーのある打者もそろっており、選抜で星稜・奥川を下したようなしたたかな攻めを見せたい。3番根本、4番櫻井の前にランナーをためられれば理想的だ。

 

一方、沖縄尚学は5年ぶりに夏の甲子園に帰ってきた。ここ数年はライバル興南の後塵を拝していたが、県大会決勝ではその興南の絶対的エース宮城(オリックス)を打ち崩し、見事に王者に返り咲いた。前年夏に沖縄水産の好投手・国吉に屈辱のノーヒットノーランを喫したが、その敗戦をばねにして振りこんだ成果を発揮し、準々決勝では国吉も打ち込んだ。中軸の水谷は勝負強く、沖縄尚学らしいスピード感のある攻撃も光る。投手陣は140キロ台のストレートで押すリリーフエース永山の投球がカギを握る。

 

習志野は山内、沖縄尚学は仲村渠とともに左腕投手が先発。仲村渠は左腕投手特有のクロスファイヤーを武器に立ち上がりは無失点で切り抜けたが、2回表に習志野打線につかまる。5番高橋に四球を与え、犠打で進塁すると、2アウト後に山内がアウトコースのボールをうまくレフトへ流し、1点を先制する。やや制球に苦しむ中でストライクを取りに来たボールを狙われた。

 

習志野の山内は選抜の時と同様に内外角を丁寧に突く投球で序盤を無失点で切り抜けると、習志野が徐々に試合の流れを掌握する。4回表に4番櫻井が高めに浮いた変化球をセンターにはじき返すと、センターの一瞬のスキをついて2塁を陥れる。さすがの試合巧者ぶりでチャンスを作ると、送って1アウト3塁から6番和田が見事なセーフティスクイズを決めて、追加点を挙げる。習志野のたたみかける攻撃の前に、沖縄尚学の比嘉監督もたまらず2番手の永山をマウンドに送る。

 

習志野の攻勢に対して、序盤は完全に鳴りを潜めていた沖縄尚学打線が4回に入って山内をとらえだす。1アウトから3番水谷が苦しんでいたアウトコースのスライダーをライトに引っ張ると、4回表のお返しとばかりに外野のスキをついて2塁を陥れる。さらに、4番與谷も内野安打で続くと、5番は習志野バッテリーの徹底したインサイド攻めに屈することなく、アウトコースのスライダーをはじき返す。打球は広く開いていたセンターの横を深々と破り、一気に2者生還。沖縄尚学が同点に追いつく。

 

さらに、攻勢をかけたい沖縄尚学は6番奥原がカウント1-0から3塁前に見事なセーフティスクイズを敢行。習志野の前進守備に対して、まったく圧力負けせずに成功させ、沖縄大会で好投手を倒してきた底力を見せる。

 

逆転を許した習志野だが、5回表にすぐに反撃する。俊足の1番角田が四球で歩くと、送って1アウト2塁からキーマンの根本永山のストレートを詰まりながらもセンター前に落とし、再び同点に追いつく。2塁ランナーの角田の好走塁も光り、投攻守にハイレベルな攻防が続く。

 

一進一退の展開で試合は後半に進み、6回裏に習志野は先頭打者を失策で出したところでエース飯塚をマウンドに送る。飯塚は代わり端に四球を与えると、当たっている5番がライトへのポテンヒットで続く。風に左右された幸運な当たりで満塁とすると、6番奥原はカウント2-3からなんとスリーバントスクイズを敢行。スモールベースボールの神髄を見せるような攻撃で、再び勝ち越し点をもぎ取る。相手のお株を奪うような見事な攻撃だった。

 

反撃したい習志野だが、リリーフした2年生右腕・永山から6回以降はなかなか得点を挙げられない。苦しい展開で1点ビハインドのまま試合は9回表に進む。

習志野は1アウトから先発してライトに回っていた山内がこの日3本目のヒットで出塁。打撃で意地を見せると、さらに盗塁も成功させて2塁へ進塁する。ここで9番飯塚のショートゴロをショートが悪送球し、痛恨のミスでピンチが広がる。試合巧者の習志野がこのミスを逃すはずがなく、1番角田がすかさず三遊間を破って土壇場で同点に追いつく。沖縄尚学にとっては悔やまれる守りとなった。

 

延長戦に突入した試合は延長10回に決着の時を迎えた。習志野は先頭の4番櫻井がライトへのヒットで出塁すると、1アウト2塁から6番和田が右中間を深々と破り、ついに習志野が勝ち越し点をもぎ取った。永山の力のあるストレートに苦しんでいたが、疲れも見える中で最後に攻略して見せた。援護をもらった飯塚は渾身の投球で沖縄尚学打線を終盤は完全にシャットアウト。好チーム同士のしびれる試合をものにし、2回戦進出を決めた。

まとめ

習志野は苦しみながらも、持ち味のそつのない攻撃で1点ずつ積み重ねた結果、接戦をものにした。相手のスキを逃さない走塁にたたみかける打撃と、選抜を勝ち抜いた攻撃をいかんなく発揮した。投げては先発・山内、リリーフの飯塚とともに失点はしたものの、持ち味を発揮。特に飯塚の終盤の投球は鬼気迫るものがあった。激戦区の千葉においてなかなか出場機会に恵まれなかったが、出てきたときはさすがの強さを見せ、伝統校健在をアピールした。

 

一方、沖縄尚学も敗れはしたものの、スピード感あふれる攻撃で習志野を土俵際まで追い込んだ。特に、6番奥原の決めた2度のスクイズには、沖縄尚学らしい磨き抜かれた走塁と技術の高さが凝縮されていた。投げても2年生右腕の永山が辛抱強い投球で習志野の粘りに対抗。敗れはしたものの、「負けてなお強し」の印象を残し、甲子園を後にした。

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