大会2日目第3試合
明豊
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 |
県岐阜商
明豊 若杉→楠→太田
県岐阜商 野崎→松野→森
前年選抜4強の明豊と名将・鍛治舎監督が就任した県岐阜商の好カード。序盤から着々と得点を重ねた明豊がエース若杉の好投もあり、ロースコアの接戦を制した。
試合
明豊は昨年から経験値豊富なエース左腕・若杉が健在。しなやかなフォームから繰り出す切れのあるボールを武器に前年秋の九州大会を制した。打線も昨年ベスト4を経験した布施、宮川を中心に強力。2017年夏ベスト8、2019年選抜ベスト4とここ2大会連続で上位に進出し、智辯和歌山出身の若き指揮官・川崎監督の指導も浸透してきている。
対する県岐阜商は秀岳館を3度のベスト4に導いたOBの鍛治舎監督が就任。ユニフォームも一新し、復活への道を着実に歩んでいる。秀岳館では攻撃野球を前面に押し出していたが、県岐阜商では野崎、松野ら140キロ投手が複数並ぶ分厚い投手陣を擁し、守り重視の野球で勝負。県内屈指の強豪校がどこまで全国の舞台で暴れられるか。
試合は初回から明豊がペースをつかむ。2アウトランナーなしから3番布施がストレートをとらえてセンターへのヒットで出塁。続く4番小川は当てただけの打撃になったが、打球がライト線にポトリと落ちる2塁打になって明豊が1点を先制する。県岐阜商の左腕・野崎にとっては立ち上がり、しっかりボールが来ていただけに、ツキがなかったとしか言えないような失点だった。
これで野崎はリズムを崩したか、2回表にも明豊が得点を得点を重ねる。先頭の7番中尾がストレートをセンターに返すと、野選と犠打でランナー2,3塁のチャンスに。2アウト後に2番宮川がしぶとく三遊間を破り、2点を追加した。野崎は調子が悪いようには見えなかったが、ミスに付け込んだ明豊のしたたかさが上回った。
3点の援護をもらった明豊の左腕・若杉は持ち味の柔らかいフォームに力強さも加わり、全国屈指の左腕に成長。ボールを話すポイントが打者寄りで、ストレートは球速以上にキレがあり、県岐阜商の各打者も打球がやや差し込まれている印象が強かった。県岐阜商打線は追い込まれると、秀岳館打線がそうだったようにノーステップ打法を行ったが、若杉のボールのキレが上回った。
対する県岐阜商も2番手で登板した右腕・松野が好投。こちらも野崎と同様にストレートは140キロ台を記録しており、伸びのあるボールで明豊打線を中盤以降、封じ込める。まだ2人とも2年生ということもあって、今後が楽しみな投手陣だ。
中盤をお互いに無得点でしのいで、次の1点をどちらが奪うかというところだったが、またしても明豊が機先を制する。7回表、3番手で登板したエース森から2番宮川、3番布施が連打。森のストレートに対応し始めると、2アウト後に5番野上がタイムリー内野安打を放って1点を追加。2塁ランナーの好走塁も光り、県岐阜商のディフェンス陣にもやや動揺があったか、お手玉してしまった。
6回まで明豊・若杉の前に突破口を見出せなかった県岐阜商打線は7回裏に反撃開始。1アウトから四球と6番岩田のライト線に落ちるヒットで1,3塁の好機を迎えると、7番森の内野ゴロの間に1点を返す。しかし、後続が続かず、ここも若杉の落ち着いた投球の前に1点どまりだった。
最終回に県岐阜商は3番手の太田から主砲・佐々木が会心のホームランを放ち、1点を返す。鍛治舎監督のパワー野球の片りんを見せる場面となったが、後続が抑え込まれてゲームセット。明豊が先行逃げ切りの理想的な試合で強豪対決を制し、交流戦1勝をマークした。
まとめ
明豊はさすがにここ数年上位で戦ってきただけあって投打ともにしたたかさな戦いぶりが目立った。エース若杉はキレのあるボールを活かしながら、ボール球をうまく振らせる術も持っており、県岐阜商打線を終盤まで寄せ付けなかった。打線も県岐阜商投手陣のスピードボールに対してきっちり対応しており、好走塁も絡めて得点を重ねた。今年は交流試合の1試合のみだったが、まだまだ明豊の時代が続きそうだと思わせる試合だった。
対する県岐阜商は近年大垣日大や中京学院大中京といった県内のライバルに押され気味だったが、鍛治舎監督の就任に伴い、有望な選手も集まってきている。あとは秀岳館時代にも見られた「鍛治舎メソッド」でどう変貌するかというところだったが、この試合に限っては明豊にうまくパワーをかわされた印象だった。しかし、まだまだ発展途上の印象はあるが、復活へむけての第一歩は記せただろう。全国制覇4回の名門の復活を楽しみに待ちたい。
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