2022年選手権3回戦 高松商vs九州国際大付(10日目第2試合)

2022年

大会10日目第2試合

九州国際大付

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
1 0 0 1 0 0 0 0 × 2

高松商

 

九州国際大付  香西→池田

高松商     渡辺和

強力打線を擁する両チームだけあって、打撃戦も予想されたが、試合は両エース左腕の好投で投手戦に。序盤に得たリードを守り切った高松商が52年ぶりとなるベスト8進出を決めた。

試合

高松商は初戦で14得点を挙げたが、3ランを打った4番本田と当たっていた6番がコロナの影響で離脱。本来の戦力ではない中で臨んでいた。一方、九国は初戦の前に体調不良で選手が離脱していたが、エース香西の好投で明徳義塾を撃破。勢いに乗って3回戦へ進んできた。

高松商は初戦で好投を見せた左腕・渡辺和が立ち上がりから好調。1番小田原、2番中上と好打者を2者連続三振で切って取ると、3番黒田もインサイドを強気に突く投球でセンターフライに打ち取る。ストレートも変化球も切れており、いいスタートを切る。

一方、九国の先発・香西は初戦、明徳打線を自在の投球で翻弄。スラッガー浅野にどう対するか注目された。

香西は際どいコースを突いて攻めるが、カウント1-2から中に入ってくるスライダーをたたきつけられて内野安打を許す。決してとらえた当たりではなかったが、好球に積極的に手を出すことが香西を乗せない秘訣だろう。続く2番井櫻の犠打は失敗するも、3番渡辺升が四球でつなぐ。ここで体調不良の本田に代わって4番に入った山田が甘く入ったストレートをしっかりレフトへはじき返し、浅野がホームへ生還。高松商が先制点を得る。

しかし、九国もすぐに反撃する。直後の2回表、1アウトから4番佐倉、5番白井が連打。高松商のショート横井白井の強烈な打球をよく止めたが、内野安打で押しとどめるのが精いっぱいであった。攻めの投球を見せる渡辺和に対し、九国打線も積極的なスイングを見せる。ここで7番の浅嶋が入ってくるストレートに対してしっかり踏み込んでライトへ打ち返し、佐倉が生還。九国らしい畳みかけるような攻撃を見せる。

打撃戦になると思われていたこの試合。1,2回と点数が入ったが、ここから両エースが踏ん張りを見せる。高松商・渡辺和はこの日、初戦以上にボールが走っており、力のあるボールで九国打線のバットを押し込む。高松商は投手陣が不安などと言われたのは今や昔の話だろう。九州一の強力打線を相手に臆することなく投げ続ける。

一方、九国のエース香西も2回以降は立ち直りを見せる。スピードはなくとも、ベース板で失速しないボールがコーナーをかすめていく。2回、3回とランナーは許すが、勝負所ではほれぼれするようなコントロールで打者を打ち取る。全国の高校生投手がお手本にすべきピッチングだろう。

1-1で試合は中盤戦へ。4回表に2アウト1,2塁のピンチをしのいだ高松商はその裏、先頭の7番渡辺和がこの日2本目のヒットで出塁する。犠打が失敗して2アウトとなるが、1番浅野は警戒して歩かされ、1,2塁とチャンスが広がる。ここで、2番井櫻は珍しく高めに浮いたスライダーを打ち返し、打球はライトの前に弾むタイムリーとなって渡辺和をホームに迎え入れる。

抜群のコントロールを誇る香西にしては珍しい制球ミス。初戦もそうだが、序盤はやや失投が目立つことがある。終盤には無双状態となる香西に対し、早い段階で勝ち越し点を奪えたことは高松商にとっては大きかっただろう。

その後、試合は再び膠着状態となるが、この日は渡辺和の投球がとにかく素晴らしい。序盤は連打を許すシーンもあったが、終盤になってもボールの威力は落ちないどころか、どんどん増していくように見える。インサイドを果敢に攻める姿勢もよく、九州国際大付の打者陣から快音が消えていく。フォームにも躍動感が出てくるようになり、6回、7回と九国の攻撃を3人で片付ける。

この流れを変えようと、九国の楠城監督はエース香西に代わって、7回から福岡大会で好投した右腕・池田をマウンドに送る。しかし、その池田が7回に2番井櫻、4番山田の連打と暴投で2アウトながら2,3塁のピンチを招く。ここでこの日スタメンに加わった5番久保の打球はセンターへ痛烈な打球となって抜けかけるが、これをショート尾崎がダイビングキャッチ。送球も完ぺきでアウトにし、投手陣を助ける。

このいい流れをなんとか攻撃に持ってきたい九国だが、この日の渡辺和には付け入るスキが見当たらなかった。黒田野田佐倉の中軸を中心に少しでも甘く入れば、スタンドまで放り込む選手が並んでいるが、打者の左右を問わずにインサイドを攻める渡辺和の前にいつものような踏み込みを許してもらえなかった。結局、6回からの攻撃を渡辺和がすべて3人で片付け、高松商が投手戦を制してベスト8へと駆け上がった。

まとめ

高松商はスタメンが2人かける緊急事態だったが、打っては代役の4番山田が3安打で穴を埋め、投げてはエース渡辺和が素晴らしい投球で最後まで仁王立ちして見せた。浅野がとかく注目されがちな今年の高松商だったが、この日の試合でのプレーぶりを見ると、その他の選手の意地を見る思いだった。

犠打のミスなど課題も残ったものの、長尾監督のもとで次戦までには修正してくるだろう。注目選手に頼ることなく総合力を磨き続けた古豪が久々に8強の舞台まで進んできた。

一方、九国もスタメン選手が何人か欠ける不運があったが、やはり自慢の打線が2試合で3得点に終わったのは予想外だっただろう。昨秋の公式戦では九州を震撼させた打線であったが、明徳の吉村やこの日の渡辺和のように、全国で一線級の投手を相手にすると、打線は水物になってしまった。

ただ、そんな中でもエース香西は持ち味を発揮して6回2失点の好投を見せ、福岡大会で離脱しながら勝ち上がってくれたチームメイトにしっかり恩返しを果たした。技巧派左腕を強力打線が支えた九州王者の戦いはベスト16で幕を閉じた。

【第104回選手権】高松商業 vs 九州国際大付 ハイライト – YouTube

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