大会9日目第4試合
大坂桐蔭
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 8 | 3 | 0 | 0 | 17 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
市立和歌山
大坂桐蔭 前田→別所
市立和歌山 淵本→米田→宮本→奥地
近畿勢対決第2ラウンドとなった試合は、大阪桐蔭打線が中盤以降に大爆発。1試合6ホームランの大会タイ記録に並ぶ猛打で市立和歌山を圧倒し、優勝した2018年以来4年ぶりの4強に進出した。
試合
市立和歌山は昨日完投したエース米田に代わって、速球派右腕・淵本が、大阪桐蔭は注目の2年生左腕・前田がマウンドに上がった。
淵本は立ち上がり緊張からか制球が定まらないところを捕まる。1番伊藤、2番谷口に連続四球を与え、犠打で1アウト2,3塁。4番丸山には無理のない流し打ちでタイムリーを浴び、2点を先行される。
その裏、大阪桐蔭・前田はややスリークオーター気味の腕の振りからキレのある速球と多彩な変化球を投じ、市立和歌山打線に対する。市立和歌山の1番松村、2番堀畑、3番大池の3人の左打者も好調なだけあって、打席での粘りがあり、いい打球も飛ばすが、大阪桐蔭守備陣の好守にも阻まれて出塁することができない。
ただ、2回以降淵本はスライダーを主体に打たせて取る投球で立ち直る。エース米田も一時投球練習に向かったが、鋭いスイングの大阪桐蔭打線に対して、攻めのピッチングができていた。さすが、エースに変わってマウンドに上がるだけの投手であり、市立和歌山の投手層の厚さには恐れ入る。
ただ、この淵本の好投が大阪桐蔭・前田のピッチングで反撃ムードになかなかつながらない。130キロ台後半の低めに伸びる速球と多彩な変化球が低めに決まり、いい当たりが出ても正面を突くことが多い。また、内外野陣も非常に鍛えられており、大阪桐蔭の強さの源が守備というのも納得の動きである。
すると、5回表、踏ん張っていた淵本が手痛い一発を浴びる。先頭の2番谷口が淵本のカウント0-1からスライダーをセンターバックスクリーンに飛び込むホームランを放ち、3-0。さらに4番丸山、6番田井の連打でさらにチャンスメークすると、7番主将の星子はフルカウントからまたしても高めに入ったスライダーをとらえ、ライトスタンドに突き刺す3ランとして、6点差に広げる。投球の軸になりつつあったスライダーを叩き、ここで淵本をKOした。
立ち直りかけていた淵本に対して、打者3巡目できっちり対応した技術もさることながら、これだけの打球を放つ打者が2番と7番にいるところが大阪桐蔭打線の怖さである。他校なら中軸の打者が放つ打球である。市立和歌山はここでエースの米田へと継投した。
大きくリードを広げた大阪桐蔭は前田が5回までに10三振を奪うと、6回表には1番伊藤が米田からスライダーをとらえて左中間スタンドにホームランを放つ。今大会初ヒットとなる一発が1番打者に飛び出し、大阪桐蔭の勢いが止まらなくなる。この回、さらに4番丸山のタイムリーと2本の犠飛で得点はついに大台に10点に乗ることなった。米田の球威のあるボールに対して、各打者がしっかり外野深くまで打球を飛ばしていた。
その後も大阪桐蔭打線の猛攻は止まらず、この回、代打・工藤、1番伊藤(このイニング2本目)がそれぞれ2ランを放ち、14-0。一度勢いに乗ると手の付けられない打線であることをまざまざと見せつける攻撃であった。7回表には5番海老根もホームランを放ち、1984年のPL学園(対砂川北戦)の1試合6ホームランに並ぶこととなった。
リードを広げられた市立和歌山だったが、3番手の左腕・宮本、4番手のサイド右腕・奥地が力投。内外野も懸命の守備で投手陣を盛り立て、8回、9回の2イニングは無失点で切り抜けた。
大阪桐蔭は7回から2番手で大型右腕の別所が登板。球威のあるストレートを武器に力で押す投球で市立和歌山打線を抑え込み、3イニングを無失点ピッチング。途中からは正捕手の松尾がショートに回るなど、めまぐるしくポジションが変わる中、守備力が全く落ちない安定感を見せつけ、大差で4強進出を決めた。
まとめ
大坂桐蔭は序盤に淵本の投球に苦戦することもあったが、5回以降は持ち味の長打力全開で得点を積み重ね、本来の強さ、そして怖さを見せつける結果となった。根尾(中日)、藤原(ロッテ)のようなドラフト一位クラスの超高校級プレーヤーはいないが、全員が高いレベルで競い合い、上位から下位まで全く穴のない打線を形成。相手投手にとってはどこにも逃げ場のない打線である。あのKKコンビのPL学園の記録に並んだのも納得である。
また、2年生左腕・前田も140キロ台の速球と多彩な変化球を武器に6回で12三振を奪取。本当に2年生なのかと思うほどの、完成度の高さを見せた。バックの好守備、そして好走塁も光り、投攻走守に全くスキのない大阪桐蔭。やはり現段階で優勝候補最右翼なのは間違いないだろう。
一方、市立和歌山はエース米田が先発登板できない状況では致し方ない面があった。先発・淵本もよく投げていたが、やはり大阪桐蔭打線を褒めるしかないという印象だった。
ただ、この試合では1安打に終わったものの、打線の昨年からの成長度は素晴らしく、打席での意識、つなぐ姿勢の向上は見るものにかなり伝わってきた。エース米田も大会注目の右腕の名に違わぬピッチングを展開し、2回戦では自らサヨナラヒットを記録。最後は大差で終わったが、なんら恥じることのない選抜の戦いぶりであった。
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