大会6日目第3試合
九州国際大付
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 4 |
1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
広陵
九州国際大付 香西
広陵 森山→松林
地区大会優勝校同士、優勝争いを占う一戦となった試合。九州国際大付がエース香西の好投と1番黒田を中心につながる打線で広陵に快勝し、準優勝した2011年以来となる8強進出を決めた。
試合
広陵は右腕・森山、九州国際大付は左腕・香西と1回戦同様にエースが先発のマウンドに上がった。
九州国際大付は1回表、先頭の1番黒田が内外野の間にポトリと落ちるラッキーな2塁打で出塁。犠打で1アウト3塁となると、この日2番から3番に昇格した中上がライトに痛烈なライナーを放つ。犠飛には十分な当たりかと思われたが、打球につられて一瞬黒田が飛び出してしまい、ホームへ帰れない。続く4番佐倉も打ち取られ、九国にとってはもったいない初回となる。
その裏、九国の先発は1回戦で4回以降一人のランナーも出さなかった左腕・香西。低めのキレのあるボールを投じるこのエースを、左打者が主力の広陵打線がどう攻略するかが焦点であった。
1回裏、広陵は1番中川がスライダーをセンターに打ち返して出塁。犠打で二進後に。2アウトから1番中川の三盗が捕手の悪送球を誘って1点を先制する。嫌な失点の仕方ではあったが、香西は要注意の3番内海、4番真鍋をともに三振に切って取り、投球の内容としては手ごたえを感じていたか。
すると、2回表に九国打線が森山をとらえる。先頭の5番野田がショートへの内野安打で出塁すると、初戦の3番から6番に下がっていた小田原にはエンドランを欠ける。これがはまってレフトへのヒットとなると、続く7番白井も詰まりながらレフトへヒットを放つ。ボールの走りは悪くないが、初戦と比べると森山のボールがやや高かったか。
打者3人で満塁のピンチとなってしまった広陵だが、8番香西・9番尾崎と下位打線の2人を森山が無難に打ち取る。ここで打席には初回にラッキーな2塁打を放った1番黒田。この日ツキを持っている男は、インサイドの速球を負けずに振り抜くと、打球は1,2塁間をしぶとく破るヒットとなって2者生還。九国が早くも試合をひっくり返した。
その後、スコア上は九国・香西、広陵・森山による投手戦となるが、内容は攻撃力の高い両チームの打線に対するしのぎ合いといった感じだった。特に九国の打線は得点こそなかなか挙げられないものの、主砲・佐倉に痛烈な当たりのヒットが飛び出すなど。どちらかというと広陵に対して押し気味に試合を進める。
一方、広陵は2回以降は香西の緩急をつけた投球の前に翻弄される。1回戦は敦賀気比のエース上加世田に対してタイミングが合っていた上位の左打線が、この日は香西の「世界」に引きずり込まれた印象で、なかなか自分のスイングをさせてもらえない。相手投手が変わるとこうも違うかと感じるほどの内容で、香西が淡々と広陵打線を料理していく。
すると、我慢比べの決壊がついに崩れる時がやってきた。8回表、広陵はこの回から2番手の右腕・松林が登板。死球と9番尾崎のヒットでランナーをためると、この日好調の1番黒田がカウント0-1から取りに来た速球を待ってましたとばかりに叩く。打球はライトの頭の上を完全に超える2点タイムリー2塁打となり、九国が終盤にきて大きな大きな追加点をたたき出した。
広陵は8回に1番中川が死球で出塁するも、2番松下が併殺。その後、3番内海、4番真鍋に連打が飛び出すというちぐはぐな攻撃ではあったが、ようやく香西の投球にタイミングが合い始める。しかし、5番谷本はアウトコースのキレのある速球に手が出ず、見逃し三振。最後まで香西の投球をとらえきれず、九州国際大付が4-1とスコアで中国王者を下し、ベスト8進出を決めた。
まとめ
九州国際大付としては初戦で打撃内容に苦しんだ1番黒田、4番佐倉の中心打者に当たりが戻り、内容的にも一安心の勝利だっただろう。香西は1回戦に続いて安定感抜群の投球で、初戦17安打9得点の広陵打線に全く自分の打撃をさせなかった。これぞ「技巧派投手の真骨頂」と呼べる会心の投球であり、高校生投手のお手本と呼べるものであった。
強さと脆さが同居する印象が強い過去の九国の戦いぶりだったが、今のところ脆さの方は全く見えず。11年前に目の前で取り逃がした紫紺の大優勝旗に向け、いよいよ九州王者が乗ってきたか。
一方、打撃は水ものとはよく言ったものだが、この日の広陵打線は香西の術中にまんまとはまってしまった感があった。待たされれば速球に差し込まれ、突っ込めば変化球に泳がされるという、「柔よく剛を制す」投球の前に成す術がなかったか。終盤の3番内海、4番真鍋の打撃は攻略の糸口となるものだったが、これが序盤で出ていればまた違っただろう。
エース森山は打たれ強い投球でよく踏ん張っていたが、やはり1点では勝つのは厳しかった。サクラの広陵が九州チャンピオンのしたたかな野球の前にベスト16で散ることとなった。
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