大会6日目第2試合

高松商

佐久長聖

高松商　　　渡辺和→大室

佐久長聖　　広田→五十嵐→佐藤→小北

ともに打線に自信を持つチーム同士の対戦は中盤までは一進一退の展開であった。しかし、6回に世代No.1スラッガー浅野の2本目のホームランで高松商が突き放すと、流れは一変。中盤までの膠着状態が嘘のように点差が付き、伝統校・高松商が14-4の大差で3回戦進出を決めた。

試合

佐久長聖は右腕・広田、高松商は昨年も甲子園のマウンドを経験した左腕・渡辺和が先発。藤原、長尾両監督ともまずは順当にエースを送り出した。

1回表、高松商はいきなり注目の強打者・浅野が1番で登場。対戦するピッチャーにとってはたまらない打者だろう。しかし、佐久長聖の右腕・広田は結果、四球を与えたものの、自分のボールはしっかり投げられていたように映る。犠打で二進されるが、3番渡辺升のショートゴロで3塁を狙った浅野をバックがきっちり刺し、無失点でしのぐ。

一方、高松商の渡辺和は昨年も甲子園のマウンドを経験。投手陣に不安を抱えていた高松商が勝ち上がってきた要因も、彼の成長に他ならない。球速以上の伸びを感じる速球を武器に佐久長聖打線を封じ込める。3回までが両投手とも、無失点投球。特に佐久長聖の右腕・広田は果敢に右打者のインサイドを攻める姿勢が見え、2打席目も浅野をサードフライに打ち取る。

しかし、浅野だけでないのが高松商打線の強さ。プリティフライのリズムに乗って攻め立てる。4回表、先頭の3番渡辺升がライトへのヒットで出塁すると、4番本田の3塁ゴロが悪送球を誘って2，3塁に。ここで5番山田がシュート回転して入ってきたストレートをレフト前にはじき返して1点を先制すると、続く6番林も流し打ちの犠飛を放ち、この回2点を取る。

先制を許した佐久長聖だが、こちらも打線が黙っていない。その裏、3番岡田・5番寺川がともにショートへの内野安打を放って1，3塁とすると、6番小泉がライトへのタイムリーを放って1点差に。中盤に入って渡辺和のボールの勢いに慣れ始めてきたか、主軸がしっかりとボールをとらえ始めていた。

ただ、1点差に迫ってもらった広田だが、2イニングに1度は浅野との対戦が回ってくる。5回表、ついに大会屈指の強打者の餌食となった。アウトコースの速球を痛烈にはじき返すと、右方向への痛烈なライナー性の打球となって、一気に右中間にスタンドイン。浜風による逆風など関係ないと言わんばかりの打撃を見せ、球場を震撼させる。広田も細心の注意を払っての投球だったが、たった1球の失投を逃してはもらえなかった。

それでも、2点はまだ戦える点差。佐久長聖も5回裏に先頭打者が失策で出塁すると、送って1アウト2塁から1番藤沢のテキサス性のタイムリーで1点を返す。バスターでタイミングを取る打撃で渡辺和のボールに詰まらされずに対応する。6回表にその渡辺和のタイムリーで再び2点差にされるが、試合の行方はまだ読めない状況であった。

この膠着状態に終止符を打てるのは誰かといったところだったが、やはり大会No.1スラッガーのこの男しかいなかったのだろう。

7回表、4打席目となっていよいよ佐久長聖バッテリーもなりふり構ってはいられなくなる。前の打席で速球をとらえられたこともあり、すべてスライダーで勝負を挑む。しかし、この男にそんなかく乱する投球は通じないのか。5球目で唯一甘く入ったボールを再びとらえると、今度はレフトスタンドへあっという間に着弾。ヒットで出ていた9番横井も返す2ランホームランとなって、流れは大きく高松商に傾きだす。

佐久長聖としては広田に限界を感じたか、6回途中でマウンドを後続に託す。だが、広田の強気のインサイド攻めがなくなったことで高松商打線がタガが外れたように打ち始める。

8回表、3番手の左腕・佐藤をマウンドに送るが、6番林の2塁打を皮切りに8番大坪のタイムリーで7点目。ともに逆方向への打撃で追加点を奪うと、その後も打撃妨害・四球とつながり、押し出しもあって加点していく。浅野の豪快さに目が活きがちだが、各打者の基本に忠実な打撃は見逃せない。佐久長聖も4番手の小北を送ってなんとか耐えようとするが、仕上げは県大会で当たりの止まっていた4番本田の3ランでこの回一挙7点を挙げて試合を決めた。

意地を見せたい佐久長聖は8回裏、疲れの見える渡辺和から4番寺尾・5番寺川の連続長打と6番小泉のファーストゴロエラーで2点を返す。PL学園の懐かしいノックアウトマーチが流れる中、気持ちのこもった反撃を見せた。

最終回にも1点を追加した高松商は、最終回に2番手の左腕・大室をマウンドにあげる。勝ち上がるうえで渡辺和以外の投手も試しておきたかったのだろう。ショートの悪送球で一人ランナーは出したものの、後続をきっちり打ち取り、ゲームセット。高松商が予想外の大差で佐久長聖を下し、3回戦進出を決めた。

まとめ

高松商は浅野の驚愕の2発で流れを引き寄せ、一気の集中打で試合を決めた。やはり、打線の中に合ってこれだけ存在感のある打者がいると、相手バッテリーの神経は相当すり減らされるだろう。豪快な打撃の浅野が目立つが、その他の打者もハイレベル。中軸を中心にセンターから逆方向へはじき返す打撃でヒットを量産した。守備面でやや課題は残ったが、エース渡辺和も安定しており、高松商の今後の躍進が非常に楽しみである。

一方、佐久長聖はバッテリーのアプローチは決して間違っていなかった。ストライクゾーンの横幅一杯を使った攻めで、前半は強打の高松商打線をしっかり封じることができていただろう。ただ、全国大会になると、1打席に1球ある失投を逃してはもらえず、厳しさを突きつけられる結果となった。それでも、中盤までは持ち味の強力打線でくらいついて接戦を演出。点差ほどの力の差はなく、熱のこもった好ゲームであった。

ハイライト 長尾健司監督・選手インタビュー [2022夏 高松商vs佐久長聖] – YouTube