大会11日目第1試合
小松大谷
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
| 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | × | 6 |
智辯学園
小松大谷 中田→竹本→橋→西川
智辯学園 田近→巴田→北村→田中

互いに4投手をつなぐ投手戦となった試合は、中盤以降に智辯学園が相手のミスにもつけ込んで着実に加点。8回の1アウト満塁のピンチを3人の投手をつなぐ継投策でしのぎきり、準優勝した2021年以来となるベスト8進出を決めた。
試合
智辯学園は2回戦で選抜王者の健大高崎を相手に1失点完投した左腕・田近が先発。一方、小松大谷は初戦で大阪桐蔭を完封したエース西川ではなく、大会初先発となる2年生左腕・中田を先発のマウンドに送った。また、智辯学園は好調の山崎を1回戦の7番から2回戦は5番、そしてこの試合は3番と、小阪監督が躊躇なく打順を組み替えてきた。
1回表、田近は健大高崎打線を翻弄したチェンジアップを武器に立ち上がりから2者連続三振を奪う。3番田西は警戒して四球で歩かせ、4番東野にはライトへのヒットでつながれるが、5番胡麻はまたしてもチェンジアップで空振り三振。初回から伝家の宝刀がさえわたり、まずは順調なスタートを切る。
一方、小松大谷の左腕・中田は立ち上がりやや緊張気味。キーマンの1番佐坂は四球で出塁。犠打できっちり2塁へ進める。3番山崎は打ち取られるが、4番中道の打席で投球がワンバウンドとなる間に佐坂が3塁へ。ここで、この大会当たりの出ていなかった中道が甘く入ったスライダーを引っ張り、レフトへの先制タイムリー!智辯学園がまずは先手を奪う。ただ、続く5番近藤にもライト前ヒットを浴びて迎えたピンチは中田がなんとか抑えて、1失点のみで初回を終える。
小松大谷としてはエース西川に繋ぐ前にリードを奪っておきたいところ。今大会好調を維持する打線が、田近をとらえる。
先頭の6番嶋田が四球を選ぶと、7番坂田は犠打失敗で追い込まれるが、2ストライクから外角のチェンジアップをうまく拾い、ライトへのヒットとする。怪我の巧妙でひろがっチャンス。8番中田は犠打失敗で三振となるが、9番山本が初球攻撃でバスターを成功させ、大会初ヒットがライトへの同点タイムリーに!右打者がいずれもポイントを捕手寄りにおいて田近をとらえる。さらに、1番山崎が今度は外角のチェンジアップを引っ張って、レフトへはじき返し、逆転に成功。小松大谷が主導権を奪い返した。
2回裏、智辯学園の下位打線を中田が三者凡退に抑え、流れは徐々に小松大谷に。しかし、3回表に痛いミスが出る。先頭の4番東野のヒットと5番胡麻の四球でランナーをため、無死1,2塁のチャンスを迎えるが、6番嶋田は犠打を失敗し、レフトへのファウルフライに。ここで2塁ランナーの東野が飛び出してしまい、併殺に。やや勢いが先行したのか、ここは全く飛び出す必要のないシチュエーションだっただけに、小松大谷にとっては悔やまれる走塁だった。
ピンチをしのいだ智辯学園は、3回裏、今大会好調の二人が仕事を果たす。2回戦で選抜王者を退ける決勝打を放った1番佐坂がカウントを取りに来た速球を引っ張り、レフトへの2塁打で出塁。続く2番國島の犠打が捕手前のゴロとなり、東野の好守でタッチアウトとなるが、続く3番山崎が挽回。國島が盗塁でミスを取り返すと、山崎は真ん中よりに入った速球をとらえ、左中間へのタイムリー3塁打!今大会、5割以上の打率を誇る二人の長打で一気に流れを智辯学園に引き戻した。ここで小松大谷は、初戦の明豊戦で好リリーフを見せた右腕・竹本を2番手でマウンドに送る。
だが、この3回の攻防が試合の流れを完全に逆転させることに。同点に追いついてもらった智辯学園・田近は直球、変化球ともに低めに決まるようになる。特に決め球のチェンジアップが外角低めにコントロールできるようになり、小松大谷打線を翻弄。3回まで5安打を放っていた小松大谷打線から快音が消える。
一方、3回裏のピンチはしのいだ竹本だったが、4回裏に守備の乱れから失点してしまう。先頭の6番小路が死球を受けると、主将の7番知花が外角高めの速球をとらえる。1,2回戦と不調で打順を下げていたが、もともとは昨年からレギュラーを張っていた選手だ。左中間を深々と破る2塁打で無死2,3塁のチャンスを迎える。
絶好の勝ち越しのチャンスとなり、ここで8番西川はセーフティスクイズを敢行!だが、これが捕手・東野の前への弱いゴロとなってしまう。キャッチャーゴロで1アウトと思った矢先、ファーストのベースカバーがおらず、1塁への送球がライトを転々。思わぬ形で智辯に勝ち越し点が入る。さらに9番田近の内野ゴロはエンドランがかかっており、その間に3塁ランナーが生還。この回2点を勝ち越す。続く1番佐坂のヒットで続いたチャンスは、2番國島を併殺打に打ち取るが、小松大谷にとってはなんとも嫌な失点であった。
勢いに乗った智辯学園は5回裏にも再び相手のミスから得点をあげる。ショートゴロエラーで出た3番山崎を犠打で3塁へ送ると、5番近藤はインサイドの速球を痛烈に引っ張ってライトオーバーのタイムリー3塁打!5点目を長打でたたき出すと、6番小路はスクイズを決めてもう1点。大技小技で主導権を完全に我が物とした。
4点のリードをもらった田近は完全に復調。6回は3つのアウトをすべて三振で奪い、圧巻の投球を見せる。打者の左右を問わず、チェンジアップを投げられるため、小松大谷打線もなかなか攻略の糸口が見いだせない。ただタイミングを外すだけでなく、落差もあり、さらにシュート回転で落ちるものとスライダー回転で落ちるものの2種類がある。これを自在に使い分けられるため、狙っていてもそうそう打てるボールではない。要所でスライダーも織り交ぜ、的を絞らせることなく7回を投げ、12個の三振を奪取。この日も素晴らしい投球を展開した。
ただ、この後の勝ち上がりを考えると、小阪監督としては田近のスタミナを温存したいところ。8回から継投策に出るが、小松大谷の反撃にあった。2番手で登板した右腕・巴田は先頭打者を打ち取るが、その後に連続四死球を与えてしまい、3番手の左腕・北村へスイッチすることに。その北村も8番西川に四球を与え、1アウト満塁と大ピンチを迎える。
すでに田近はベンチに下げており、再登板はできない。だが、ここは智辯サイドが執念の継投策を実行。北村がアウトコースのスライダーで代打・ショックリーを三振に取ると、小阪監督は3番手で右腕・田中をマウンドへ送る。昨夏に1年生ながら甲子園のマウンドを経験している右腕は、今大会打率4割を超す1番山崎に対し、真っ向勝負。目いっぱいの高めの速球を投げ込むと、これを山崎が打ち上げてしまい、キャッチャーフライで3アウトとなる。タイブレークになった初戦に続いて2年生右腕が、貴重な働きを見せた。
小松大谷は最終回、上位打線が意地を見せ、ここまでチームを支えてきた4番捕手の東野が執念のレフト前タイムリーを放って3点差に迫る。なおもランナー一人をおいて、続く打席には代打の切り札・森田。だが、最後はカウント2-2からアウトコースのスライダーをとらえた打球が4-6-3の併殺打となり、ゲームセット!智辯学園が、エース田近の好投と勝負強い攻撃で小松大谷を退け、昨年突破できなかった3回戦を勝利する結果となった。
まとめ
智辯学園は、序盤は小松大谷に主導権を奪われかけたが、打線が相手守備のミスにもうまくつけ込んで得点を重ねた。大阪桐蔭を完封したエース西川が出てくる前にセーフティリードを奪ったことで、継投策に出た相手のゲームプランを崩せたことが大きかっただろう。
また、投げてはエース田近がこの日も好投を披露。彼のチェンジアップはまさに消える魔球であり、好調・小松大谷打線を封じ込めることに成功した。特に相手のキーマンの3番田西を無安打に封じたことが大きかった。さらに、8回は3人の投手をつぎ込む執念の継投策で満塁のピンチを脱出。まさに総力戦での勝利でもあった。松本、中山らタレントを擁した昨年と比較すると、個の能力では及ばないかもしれないが、束になっての総合力で突破したベスト8の壁。小阪監督にとっては、会心の試合運びだったのではないだろうか。
一方、1,2回戦とエース西川を中心に守りの良さで勝ち上がった小松大谷だったが、この日は守備と走塁のミスから失点を重ねることとなってしまった。リードを奪って西川に繋ぎたかったが、やはりエースがマウンドにいないときの守りは何倍もプレッシャーがかかるものである。終盤の粘りは見事だったが、智辯学園の試合巧者ぶりに屈する格好となった。
ただ、1,2回戦と強豪を下しての2勝は学校の歴史を大きく塗り替えるものであり、被災地にも勇気を与える快進撃であった。県決勝で神宮王者・星稜を下した実力を存分に示したと言えるだろう。この先も躍進が楽しみなチームである。


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