2024年選抜1回戦予想 青森山田vs京都国際

2024年

2024年選抜1回戦

青森山田vs京都国際

52% 48%

実力校同士、1回戦で当たるのはもったいない好カードだ。投打においてわずかに青森山田がリードしているか。

 

青森山田の投手陣は、強力右腕2枚看板で形成。昨秋の東北大会決勝で八戸学院光星を相手に無安打無得点という衝撃の結果を残した右腕・櫻田は春以降のフォーム改造で一気の急成長を見せた。伸びのある速球に加えて、多彩な変化球も併せ持ち、難攻不落の右腕として立ちはだかる。また、もう一人の右腕・関もいずれ劣らぬ実力者。速球の威力は櫻田以上であり、三振奪取率が非常に高い。この2人を打ち崩すのは容易ではないだろう。

対する京都国際打線は、前年からの経験者が多く、落ち着いた試合運びが光る。決して強力打線というわけではないが、チャンスを逃さない勝負強い打線と言えるだろう。特に3番澤田、4番高岸、6番奥井の3人はいずれも打率4割以上をマークし、ここぞという場面で結果を残してきた。1番藤本が急病で欠場するアクシデントに見舞われ、秋は突貫工事でオーダーを組むことになったが、代役の清水が活躍したことでかえって選手層は厚くなった。春本番のオーダーがどうなるか、今から楽しみだ。

 

一方、京都国際の投手陣は好左腕3人で形成。青森山田とは対照的な陣容だ。エース中崎は左スリークオーターから繰り出すキレのある速球が武器。昨秋の公式戦防御率は0点台と今大会でも屈指の実力派左腕だ。昨秋に八戸学院光星の好左腕2人を攻略した青森山田打線だが、スリークオーターからの角度を活かした投球が光る中崎は、また持ち味の違う左腕と言えるだろう。ここに速球の威力が光る鳥羽、西村と左腕が続き、強力トリオを形成。連戦にも不安はない。

対する青森山田打線は、下位まで分厚い攻撃を誇り、秋の戦いでも好投手を次々攻略してきた。1番佐藤洸が出塁し、2番駒井が送るところまではよくあるタイプの打線だが、ここからが分厚い。原田・蛯名の中軸に始まり、6番伊藤英、7番橋場と勝負強い打者がずらり並んでいる。光星の好左腕・洗平、岡本、森田も県と東北大会の決勝でそれぞれ攻略。左腕投手も苦にしない柔軟性を持つ。中学時代にシニア日本一を経験した面々が好投手攻略に腕を撫している。

 

京都国際としてはエース中崎がまずは踏ん張って、投手戦に持ち込めれば勝機が広がってくる。青森山田は久々の全国とはいえ、中学時代に全国を経験している選手が多く、大舞台にも場慣れしている。両チームとも落ち着いて試合に入れそうだ。

 

主なOB

青森山田…柳田将利(ロッテ)、木浪聖也(阪神)、京田陽太(DeNA)、堀岡隼人(DeNA)、三森大貴(ソフトバンク)

京都国際…曽根海成(広島)、中川勇斗(阪神)、森下瑠大(DeNA)、上野響平(オリックス)

 

青森  京都

春  1勝  2勝

夏  1勝  3勝

計  2勝    5勝

対戦成績は、春夏とも京都勢がリード。

「龍谷大平安vs八戸学院光星」は2014年選抜、2016年選抜、2018年夏と5年間で3度も実現。いずれも龍谷大平安が勝利を収めた。2014年選抜では強力打線を擁する平安が、初回から光星の投手陣を攻略。高橋(ヤクルト)、元氏の2年生左腕コンビにエース中田と投手陣も充実し、8-2と危なげなく寄り切って、春初の全国制覇へとつなげた。

一方、1969年夏はあの伝説のエース・太田幸司(近鉄)を擁した三沢と夏3度の全国制覇を誇る平安が対戦。3季連続の甲子園ですっかり大舞台にも慣れていた太田は平安の強力打線を最終回の1点に封じ、初のベスト8進出を決めた。この後、決勝まで勝ち進み、松山商と史上初の延長引き分け再試合を演じたのは、高校野球ファンならずともよく知られていることである。

このところは京都勢の勝利が続いているが、今回は果たして…

思い出名勝負

2016年選抜2回戦

八戸学院光星

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
1 0 0 0 0 1 0 0 × 2

龍谷大平安

 

八戸学院光星   和田→桜井

龍谷大平安    市岡

近畿勢の躍進が際立った2016年の選抜大会。その中でも存在感を放っていたのが、2年前の優勝校・龍谷大平安の躍進であった。

2014年に初の春全国制覇を果たしていたが、2015年の選抜は浦和学院との死闘に敗れ、初戦敗退。夏も京都府予選を勝ちきれず、高橋・元氏の2枚看板が残りながら、結果を残せなかった。その後を受けた左腕・市岡は球威がありながらも制球難に苦しみ、好不調の波が激しかった。強力打線の援護で秋の大会を勝ち上がるも、近畿大会では準決勝で滋賀学園のまさかのコールド負け。選抜出場は確実だったが、課題を抱える結果となった。

しかし、冬場の走り込みを乗り越えた左腕は、選抜の舞台で躍動。初戦は明徳義塾との注目の好カードになったが、安定した下半身を武器に、ストライク先行の投球を続け、1失点完投勝ちを収めた。また、打線は4番橋本、5番岡田(巨人)の連続ホームランなど、破壊力を見せつけ、15安打で7点を奪取。思わぬ大差で初戦を制するとともに、あと3勝まで迫った通算100勝へ手ごたえを感じる試合となった。

対する八戸学院光星は、2014年夏に、中川・呉屋(中日)・八木(ロッテ)と3人の2年生投手を中心に8強入りし、捕手・馬場も残った2015年度のチームは期待が高かった。しかし、最後の夏は三沢商との延長戦でまさかのサヨナラ捕逸えで敗退。悔しい思いを糧に、新チームはエース桜井を中心に高いポテンシャルを誇る面々が躍動して東北大会決勝まで勝ち進んだ。ただ、決勝では同じ青森勢のライバル・青森山田(エース堀岡(巨人)、4番三森(ソフトバンク)に敗れ、またも悔しい思いとなった。

迎えた選抜では、ライバルより先に帰るわけにはいかないと、選手たちが奮起。開星の速球派右腕・吉田から、相手のミスにも付け込んで6点を奪うと、投げてはエース桜井が7安打2失点で粘り強く完投勝ちをおさめた。青森山田が前年優勝校の敦賀気比に0-1と競り負けた一方、光星はこれで甲子園初戦8連勝を達成。全国の舞台でまず大事な初戦をものにし、ここから上位を狙う構えであった。

 

2年前の再戦となった両校のカード。先に仕掛けたのは光星・仲井監督だった。先発に右腕・和田を指名。桜井を予想していた平安サイドの狙いをかわしにいった。

和田に先制点をプレゼントしたい光星打線は初回、1アウトから2番奥村が2塁打で出塁。先制のチャンスをつかむが、3番田城(ソフトバンク)・4番益田が内野ゴロに打ち取られ、チャンスをものにできない。初戦の明徳戦を見て、市岡に対して積極的にスイングをかけていく指示を出していた仲井監督だったが、市岡の球威のある速球が低めに集まり、快音が出なかった。

すると、その裏、平安の強力な上位打線が得点を奪う。初戦無安打だった2番久保田が綺麗なセンター返しのヒットで出塁。和田のモーションを完全に盗んで、二盗を決めると、3番西川はアウトコースのスライダーをうまく拾ってレフト線に落とす技ありのヒット。和田の投球は決して悪くなかったが、落ち着く前に平安の各打者が技術の高さで1点を奪った。

その後、試合は一進一退の攻防に。光星としては持ち前の強打で市岡を崩したいところだったが、一冬を超えて急成長した左腕は、毎回ランナーを出しながらも要所を締めていく。コントロールに苦しんだ姿など想像もつかないような投球でスコアボードに0を刻んでいく。

一方、光星の和田も2回以降は安定した投球を展開。アウトコース低めに丹念に変化球を集め、長打が売りの平安打線に対して、その持ち味を発揮させない。エースの代役とはいえ、秋の大会では桜井より投球イニングを重ねており、地道に努力を積み上げた右腕が、大舞台で結果を残す。ただ、いかんせん打線の援護がなく、6回表にも3番田城の内野安打などでチャンスを作るが、どうしてもあと一本が出ない。

こうなると、次の1点をやりたくないところだったが、この日は2番久保田が実にいい仕事をする。6回裏、先頭で打席に立つと、フルカウントからアウトコースの速球を流し打ち。これがレフトの頭を超す2塁打となると、犠打で二進後に4番橋本の犠飛で2点目を奪う。光星は橋本の打席でエース桜井をマウンドに送り、勝負をかけたが、きっちりと外野に運んだ橋本の技術がまたも上回った。

2点のリードをもらった市岡は7回には2塁打、8回には2四球でランナーを背負い、光星打線の圧力を受ける。しかし、最後まで自分のリズムを乱すことなく投げぬき、被安打5・与四死球6でも失点は0。9回は初めて光星打線を3者凡退に切って取り、2年ぶりの8強進出を完封勝利で決めて見せた。

 

龍谷大平安はその後、準々決勝で明石商との死闘をサヨナラで制して8強に進出。市岡は明石商・吉高との投げ合いにも勝ち、大黒柱としてチームを牽引した。準決勝で智辯学園にサヨナラ負けし、惜しくも通算100勝にはあと一つ届かなかったが、伝統校が大舞台で再び存在感を放った春であった。

一方、八戸学院光星は同年夏も甲子園に出場。初戦で市立尼崎の好投手・平林を攻略し、初戦突破を果たすも、2回戦の東邦戦で9-2とリードしながら、まさかの逆転負けを喫した。夏はエース桜井が本調子でなかったこともあったが、野球の怖さをまざまざと見せつけられる結果となり、光星というチームにも大きな教訓を残す試合となった。

龍谷大平安VS八戸学院光星 第88回センバツ高校野球2回戦 フルバージョン (youtube.com)

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