大会ベストナイン(2008年夏)

2008年

右投手 伊波翔悟(浦添商)

沖縄大会決勝で選抜優勝投手の沖縄尚学・東浜(ソフトバンク)に投げ勝って堂々代表権を獲得。2年生からエース格として登板してきた実力者が最後の夏に甲子園のマウンドに立つことができた。

初戦はツーシーム主体の打たせて取る投球で飯塚を100球足らずで完封。無四球・無三振という効率のいい打たせて取る投球で、好左腕・辛島(楽天)に投げ勝った。2回戦では千葉経済大付との乱打戦になると、一転して速球とスライダーで押す力の投球で相手の驚異的な追い上げをしのいだ。

その後も3回戦では関東一の機動力な巧みな間合いで制すれば、リリーフ登板して慶應義塾戦ではリリーフで延長戦の死闘を制し、4強入り。敗れた常葉菊川戦でも巧みなトスでスクイズを阻止するなど、試合ごとに違った顔を見せる好投手であった。

浦添商vs千葉経済大付 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

高校野球中継 千葉経大付(西千葉) 対 浦添商(沖縄) – YouTube

左投手 田村圭(慶應義塾)

力道山の孫という話題が先行していたが、最後の夏には完全に実力で注目を集めていた。選抜では21世紀枠の華陵相手に初回の1点が尾を引いて敗れたが、夏の神奈川大会では東海大相模の4番大田(DeNA)に一発こそ浴びたものの、神奈川を震撼させた強力打線を相手に堂々の投球で先発の役割を果たした。

甲子園では1回戦から3回戦まですべての試合で先発し、右腕・只野との継投で試合をものにした。ストレートで押す強気の投球でスタートを切り、終盤に只野のシンカーでかわすスタイルは効果てきめんであった。準々決勝の浦添商戦では、逆に只野から田村への継投策で延長にもつれ込む激闘に。足首の負傷を押して我慢の投球を続けたが、最後は浦添商のセーフティスクイズの前に力尽きた。

しかし、「陸の王者復活」を高らかに宣言した慶應の夏の中心にいたのは間違いなく只野であった。

高校野球 2008夏 北神奈川代表 慶應義塾① – YouTube

捕手 山城一樹(浦添商)

伊波とのバッテリーで何度となく死闘を制し、4強入りを果たした。大会では初戦こそ1番だったが、2回戦以降は4番を務め、チャンスで勝負強い打撃を見せた。また、浦添商に浸透した「次の塁を狙う意識」で、2回戦では暴投の処理にもたつくのを見て2塁から一気にホームを奪って見せた。

試合が終わったあとは毎回伊波と抱き合って喜び、記者たちからは「何度目の優勝だ!?(笑)」と思われたが、この感情を表に出すスタイルこそ浦添商の真骨頂であり、まさに高校野球といった感じであった。

8/15/2008 甲子園 準々決勝 浦添商 4-3 慶応義塾 #4 8回表 山城の犠飛で同点 – YouTube

一塁手 坂口真規(智辯和歌山)

今大会で最も注目を集めた4番打者だっただろう。選抜では14打数3安打と苦しんだが、夏の和歌山大会では4試合連続ホームランと復活ののろしを上げ、自身を持って全国の舞台に臨んだ。

初戦は済美の好投手・古川と対戦。和歌山出身で智辯和歌山進学を希望するもかなわなかった右腕は、智辯和歌山相手に燃えていた。その右腕のスライダーに対して、坂口は初打席はあえて餌を巻いて空振りを奪われるが、2打席目以降はきっちり対応。先制のタイムリー2塁打を放ってチームを勝利に導いた。その後、2回戦では木更津総合の好左腕・田中優も3打席目以降で攻略。春季関東王者に5-2と完勝すると、3回戦でその実力が完全に解き放たれた。

駒大岩見沢戦では1点ビハインドを負った8回に無死1,2塁で打席に立つとセンターバックスクリーンに飛び込む逆転3ランを放って試合をひっくり返す。さらに打者一巡でつながって迎えた2打席目は今度は完全なホームラン狙いで打席に立ち、レフトポール際に特大の一発をお見舞い。1イニング2発という大会史上初の離れ業を演じて見せた。

智辯和歌山vs駒大岩見沢 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

第90回全国高校野球大会より 智弁和歌山11点攻撃 – YouTube

二塁手 町田友潤(常葉菊川)

高校野球史上最高のセカンドといっても誰も文句は唱えないのではないだろうか。1年生の秋は7失策を記録したように、もともと守備がうまかったわけではないが、練習に次ぐ練習で上達し、最後の夏の甲子園で数々の好プレーを見せた。

智辯和歌山戦の最終回の後ろ向きのキャッチからの併殺、浦添商戦のダイビングキャッチからの併殺、大阪桐蔭戦の高いバウンドを処理してからの振り返り送球と、そのどれもがプロ野球選手以上ではないかと思わせるものであった。3回戦の倉敷商戦ではバックスクリーンへ一発を放つなど、パンチ力のある打撃も含めて、チームに欠かせない選手であった。

【町田友潤】消えた天才。こんな高校生ほんまにおったんかい、、史上最高の内野手!!【常葉菊川】 – YouTube

三塁手 前田隆一(常葉菊川)

革命的な破壊力を見せた常葉菊川打線だったが、大会を通じて打率が3割を超していたのは意外にも3人だけ。その中で、5番前田、6番上嶋の2人が打率5割以上を記録し、ポイントゲッターとして活躍した。

特に5番前田は準々決勝・準決勝と2試合連続ホームランを記録。2年春から4季連続の甲子園とすっかり「ベテラン選手」となったスラッガーは、智辯和歌山・岡田(中日)、浦添商・伊波と大会屈指の好投手から、一発を放ち、チームにぐっと流れを引き寄せた。ストレート一本の読み打ちで仕留めた打撃は、その打球も含めて、素晴らしいの一言であった。

常葉菊川vs智辯和歌山 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

常葉菊川 前田スリーラン(智弁和歌山戦) – YouTube

遊撃手 浅村栄斗(大阪桐蔭)

2008年度の大阪桐蔭を象徴するセンスあふれるプレーヤーであった。2年生時からスタメン入りを勝ち取った打撃力は最終学年を迎えてさらに磨きがかかった。打てると思ったボールはすべて手を出しているのではないかという積極性で初戦は5安打をマークすると、2回戦では2本のアーチを描く長打力も見せた。無安打の試合は一つもなく、大阪桐蔭の攻撃の流れを作り続けた。

また、ショートの守備では再三の好守で投手陣を盛り立てた。金沢戦でセンターに抜けようかという当たりに追いついてアウトにしたように守備範囲は出色。さらに、ボールを取ってからのハンドリングの良さも秀逸で、取ってからこれほど速くボールを投じられる選手は見たことがないと感じた。現在は球界屈指のセカンドとなったが、今でもプロの舞台での「ショート浅村」を見たかったという高校野球ファンは少なくないはずだ。

【2008】楽天浅村栄斗大阪桐蔭時代のプレー集 – YouTube

左翼手 福島康平(大阪桐蔭)

6番打者として大会を通じて5割以上の打率をマークした好打者。右に左にと、広角に打ち分ける打撃はスキがなく、中軸を終えたばかりの相手投手にとっては実にやりにくい打者であった。特に苦しい展開となった準々決勝の報徳学園戦は逆転の口火を切るヒットで出塁し、好左腕・近田(ソフトバンク)を攻略する糸口をつかんだ。

一つ上の世代は中田翔をはじめ、パワーヒッターぞろいだったが、優勝した2008年世代は長打力こそ劣るものの、エース福島由や主将・森川を中心に、自分たちのプレースタイルを見失わずに最後まで戦い抜いた印象だった。

福島康平・大阪桐蔭(08年春季大阪府大会決勝・一打点を含む二安打の活躍) – YouTube

中堅手 橋本到(仙台育英)

怪物の卵”として期待され異名を取った球児たち | 野球コラム ...

1番センターとして観衆を魅了したスピードスター。初戦の菰野戦ではのちにプロの世界でローテーション投手となる西(阪神)から5打数5安打を記録し、西が立ち直りかけるたびに橋本が痛打を浴びせる展開となった。2回戦でも福井商の好左腕・竹沢から2安打を記録するなど、2試合で7安打と大爆発した。

また、センターから矢のような送球を3塁に送った強肩、3回戦の横浜戦でレフトの一瞬のスキをついて単打を2塁打に変えた走塁と、走攻守すべてにおいて一級品の選手であった。

福井商vs仙台育英 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

高校野球中継 横浜(南神奈川) 対 仙台育英(宮城) – YouTube

右翼手 芝田崇将(智辯和歌山)

2番投手としてチームの屋台骨を支え、春夏連続8強入りに貢献した。1年夏に駒大苫小牧の田中将大(楽天)からヒットを放つなど、物怖じしない性格は後のない戦で実に頼りになった。2回戦の木更津総合戦では1点ビハインドの5回にインサイドの速球を芸術的な打ち方でレフト線に運び、好左腕攻略の糸口をつかんだ。

匠なバットコントロールを武器に打っては打率5割、投げては左腕からキレのあるボールをコーナーに投げ分け、2年生エース岡田(中日)の負担を軽くした。駒大岩見沢戦の逆転劇も、常葉菊川戦も最終回も土壇場できっちりヒットを放つ様は、まさに「仕事人」であった。

【智辯和歌山元コーチが語る】2006夏に1年生で田中将大から軽くヒットを放ったセンスマン【芝田崇将】 – YouTube

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