独断と偏見で選ぶ、2016年夏にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム 

2016年

花咲徳栄(埼玉)

1 高橋昴 10 綱脇
2 野本 11 清水
3 西銘 12 須永
4 千丸 13 富永
5 楠本 14
6 岡崎 15 西川
7 隈本 16 岩瀬
8 山本 17 篠田
9 高橋哉 18 本多

屈指の左腕擁し、目指した初優勝

2013年に浦和学院が埼玉県勢として2度目の選抜優勝を果たすと、2015年にも左腕エース・江口を擁して選抜4強入り。この代は、夏まで関東地区内で負け知らずで突っ走っており、歴代トップクラスの強さを誇っていた。

ところが、夏の埼玉大会準決勝で無名の白岡に1-4とまさかの敗戦を喫すると、埼玉県内の流れが変わり始めた。決勝でその白岡を下した花咲徳栄が出場権とつかむと、久々の甲子園でベスト8入りを果たす。優勝した東海大相模にも3-4と善戦し、岩井監督もナインも大きな手ごたえをつかんで聖地を後にした。

新チームはリリーフとして活躍していた左腕・高橋昴(広島)がエースとなり、秋季関東大会ではベスト8に進出。木更津総合・早川(楽天)との投げ合いに1-2と敗れ、出場は微妙なラインだったが、高橋昴の実力と準々決勝の試合内容が評価され、選出に至った。打線も主将・岡崎(オリックス)や隈本、西川(西武)など左の好打者が並び、ダークホースとして注目を浴びていた。

その選抜では九州王者の秀岳館に5-6と惜敗するも、4強入りを果たした強豪と互角に渡り合った。春先以降は、疲れのたまった高橋昴をノースローにした岩井監督の采配が的中し、夏の埼玉大会では向かうところ敵なしの快進撃を見せる。高橋昴はイニング数を上回る奪三振を記録し、ついに最後まで失点することなく投げ抜き、投手陣全体でもラスト5試合は連続完封勝ちでフィニッシュ。打線も7試合で68得点をたたき出し、この夏は全国でも堂々の優勝候補であった。

1回戦

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 1 0 1 0 0 0 2 1 6
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

大曲工

第98回 全国高校野球選手権大会 1回戦 花咲徳栄-大曲工 – YouTube

初戦は強打の大曲工と対戦。投手力の高い秋田県としては珍しい攻撃型のチームで、初出場した2015年の選抜では四国王者の英明を堂々下している。

そんな積極的な打のチームに対して、高橋昴は立ち上がりから連打されるなど、10安打をあびるも、要所を締めて4回に佐渡に浴びたホームランの1点に封じる。打線も2年生ながら4番を務める西川の先制タイムリーなどで10安打6得点と着実に加点。欲しい場面で確実に長打の出る打線とエースの投球がかみあい、まずは危なげなく初戦を突破した。

 

2回戦

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 4 2 0 0 6
0 0 0 1 0 0 0 0 2 3

樟南

高校BIG3 高橋昂也投手が2回戦突破!/樟南(鹿児島)-花咲徳栄(埼玉)_第98回全国高校野球選手権大会2回戦_2016.08.15 – YouTube

続く2回戦は樟南・浜屋(西武)との好左腕対決。鹿児島大会決勝では3季連続出場を狙った鹿児島実との引き分け再試合の死闘を制してきたチームだ。

先制点が重要になる試合で、高橋昴は4回裏に投げ合う相手の浜屋に先制タイムリーを許してしまう。しかし、この日はバックがエースを強力に援護。捕手・野本が再三の好送球で樟南の機動力を封じれば、打線は1点を追う6回表に浜屋の制球の乱れに付け込んで、4番西川・5番楠本の連続タイムリーなどで一挙4点を挙げる。高橋昴はこの日も2桁の11安打を浴びるが、バックの攻守に支えられて、3失点で踏ん張り、花咲徳栄は2年連続で3回戦へコマを進めた。

 

3回戦

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2
0 5 0 0 0 0 0 1 × 6

作新学院

第98回 全国高校野球選手権大会 花咲徳栄(埼玉) – 作新学院(栃木) その1 – YouTube

迎えた3回戦。前日に大会BIG3と注目されていた寺島(ヤクルト)と擁する履正社が常総学院に敗退。もう一人のBIG3の藤平(楽天)が引っ張る横浜はその履正社に敗れて2回戦で姿を消していた。唯一生き残った花咲徳栄への期待は否応なしに高まっていた、

対戦相手は、この大会彗星のごとく現れたエース今井(西武)を擁する作新学院。当然、油断ならない相手だったが、試合前の抽選で、勝てば前年秋に敗れた木更津総合との対戦が決まっていた。大会を勝ち上がるには、どこかでエースを休ませなくてはならない。

花咲徳栄はエースに代わって、2年生右腕の綱脇を先発に送ったが、作新打線がこの作戦の遂行を許してくれなかった。2回に綱脇をとらえて一挙5点を奪取。好調の花咲徳栄打線をもってしても、今井相手にこのビハインドは厳しかった。作新学院がリードを活かした戦いで逃げ切りに成功し、花咲く徳栄はベスト8を前に涙を飲んだ。優勝を狙っていた徳栄にとっては早すぎる夏の終戦であった。

しかし、この年の経験が翌年に生きた。綱脇・清水(中日)とエース級2枚を揃えた投手陣、春先以降に綱脇を思い切ってノースローにした調整法(前年と高橋昴と同じ)、ハンマー打ちなどリストを強化し、個の力を磨き上げた打線。すべてはかみ合った花咲徳栄は強豪を次々打ち破り、埼玉県勢の悲願だった夏の全国制覇を成し遂げたのであった。

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