鹿児島実vs常総学院 2016年選抜

2016年

好左腕打ち崩した強力打線

2016年選抜開幕日の第2試合。ともに選抜優勝経験のある強豪同士。注目の好カードが実現した。

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常総学院は2年連続の選抜出場。前年の選抜で2年生エースとして快投を見せたのが左腕・鈴木(ロッテ)であった。キレのあるスライダーは松井裕樹クラスとの評価を受け、新チームでは絶対的エースとして君臨。打線も2年生4番宮里を注チンに力があり、関東準優勝の実績を引っ提げて2度目の選抜制覇を狙っていた。

選抜高校野球:第1日第2試合 鹿児島実(鹿児島)対常総学院 ...

対する鹿児島実は夏春連続の出場。前年夏は北海の好投手2人を開幕戦で打ち込んで18-4と爆勝し、その威力を全国に見せつけた。2年時から4番を務めていた主砲・綿谷を中心に新チームの打線も破壊力は抜群。丸山、谷村の両右腕が軸の投手陣が安定すれば、一気の上位進出もあり得た。

攻略された必殺のスライダー

2016年選抜1回戦

鹿児島実

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 2 1 1 0 0 2 6
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2

常総学院

 

鹿児島実  丸山→谷村

常総学院  鈴木→樫村

 

両校とも甲子園経験者を擁し、経験は豊富。常総・木内監督、鹿実・久保監督という歴戦の名将からバトンを引き継いだ佐々木、宮下両監督がどうタクトを振るかも注目された。

試合は立ち上がり、常総ペースで試合が進む。常総の左腕・鈴木は序盤切れ味抜群のスライダーで空振りを誘い、鹿児島実の強力打線を寄せ付けない。関東屈指の左腕の面目躍如の投球である。

その裏、常総学院打線はアウトコース主体の鹿児島実・丸山の投球に対して、徹底して右方向狙いで4安打を放って2点を先制。初回の攻防だけを見ると投手力の差で常総が大差勝ちするのではないかと考えていた。

ところが、2回以降は丸山が丁寧な投球で立ち上がると、対する常総・鈴木の投球はやや慎重となる。ボール先行が目立ち、3回まで無失点も球数は59球とどうもリズムに乗れない。鹿児島実の宮下監督が「右打者にはスライダーを捨てさせ、左打者にはラインを決めてスライダーを狙わせる」という的確な指示を与え、徐々に左腕を追い込んでいく。

すると、4回に入って巨漢の4番綿谷が内野安打を放って出塁。これを機に左打者がストライクゾーンに入ったスライダーを、右打者はストレートを狙い撃ちし始める。この回、6番伊戸田貴、7番追立のタイムリーで同点に追いつくと、勝利ムードだった常総野手陣にも焦りが目立ち始める。

これで流れを手にし鹿児島実は5回に4番綿谷のセンターへの強烈な当たりのタイムリーを放って勝ち越し。さらに6回には長打力のある7番追立がホームランを放って2点差をつける。

その裏、初回以降沈黙気味だった常総打線も中再びつながり始め、6回には丸山を攻めて満塁のチャンスを迎える。ここで一本欲しい場面だったが、鹿児島実はここで投手をアンダーハンドの丸山に変更。これが吉と出たか、丸山は2番有村をキャッチャーフライに打ち取って難を逃れる。

相手エースの攻略に成功した鹿児島実は9回にも2番手の樫村から2点を奪って、6-2と快勝。不利な流れを覆し、見事な野球で初戦突破を飾った。

 

鹿児島実は続く2回戦で優勝した智辯学園に1-4と逆転負け。今度は先行した試合だったが、中盤の相手の集中打で涙を飲んだ。ただ。持ち味の強打の片りんは見せつけた大会となった。夏は鹿児島大会でライバル樟南と延長引き分け再試合の激闘に。好左腕・浜屋(西武)を擁する強豪との再試合に惜敗したが、鹿児島の歴史に刻まれる名勝負を演じた。

一方、敗れた常総学院は鈴木頼みというチームの課題が浮き彫りになった試合となった。中盤にエースが打ち込まれた時に、全体的に意気消沈してしまった感があった。しかし、雪辱を期した夏はスラッガー今井(日本ハム)を擁した強打の中京やエース寺島(ヤクルト)が注目されたV候補の履正社を下して3年ぶりに夏8強入り。選抜の借りを十二分に返した大会となった。

鹿児島実業VS常総学院 第88回選抜高校野球大会1回戦 フルバージョン – YouTube

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