日大三vs明徳義塾 2011年選抜

2011年

V候補筆頭vs初戦で負けない常連校

東日本大震災からほどなく開催されることとなった2011年の選抜大会。その初戦で注目の好カードが実現した。

前年の選抜で準優勝したメンバーが多く残り、神宮大会を圧倒的に制した日大三。エース吉永は140キロ台中盤の速球を武器とする右本格派で、大会No,1右腕の呼び声が高かった。やや変化球の制球に課題を残していたが、それを補って余りある球威の持ち主だ。エースを援護する打線は1番高山(阪神)、3番畔上、4番横尾(日本ハム)とタイプの違う強打者が並び、破壊力抜群。昨年興南の前にあと一歩で逃した紫紺の大優勝旗奪取に向け視界良好であった。

そんな圧倒的優勝候補の日大三だったが、初戦の相手はなんと明徳義塾。馬淵監督就任以来甲子園初戦20連勝中と負け知らずだ。4番北川(楽天)や梅田・先田と前年夏に興南・島袋(ソフトバンク)に食らいついた面々が多く残り、四国大会を制覇。エース左腕・尾松は抜群の制球力を武器に前年秋の公式戦をほぼ一人で投げぬいた。馬淵監督の負けない采配もかみ合ってこの年も試合巧者ぶりは健在だった。

2005年夏の抽選で当たりながら、明徳の出場辞退で実現しなかったカードが6年後に現実のものとなった。強豪同士の対戦であり、抽選で決まった時から飛び上がるくらいワクワクしたのを覚えている。

 

負傷にも負けなかったガッツマンの逆転打

2011年選抜1回戦

明徳義塾

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 1 2 0 1 0 5
0 0 1 0 0 2 1 2 0 6

日大三

 

明徳義塾    尾松

日大三     吉永

序盤、明徳のエース左腕・尾松は日大三の攻撃をよくかわし、3回の満塁のピンチも1点でしのいで見せた。すると打線も日大三のエース吉永の変化球を見極め、高めに浮いた真っすぐを狙い撃ち。4番北川(楽天)のタイムリー2塁打など中盤力攻めで3得点。一時41とリードし、さすが明徳という攻撃を見せる。

 

しかし、ここからV候補筆頭の日大三が底力を見せ、畔上、横尾(日本ハム)、菅沼、高山(阪神)ら強打者が次から次へヒットを重ねて同点。技巧派左腕・尾松の変化球をしっかり引き付けてはじき返し、相手の逃げ場をなくしていく。

 

だが、明徳も8回に相手のミスから勝ち越し点を挙げ、再びリード。粘りを見せるもそのあとの好機にスクイズ失敗。結局この試合2度のスクイズ失敗があり、これが結果からみると致命傷になった。

 

裏の攻撃で完全に尾松をとらえ始めた日大三打線が再び噴火。菅沼のヒットなどで1アウト12塁のチャンスを作ると直前の守りでボールが当たって前歯を二本折った捕手・鈴木が意地の逆転2塁打。のちに立教大学の主将もつとめる男が土壇場で試合をひっくり返し、日大三が辛くも辛勝を収めた。

 

強打のクリーンアップやエース吉永が注目された日大三だが、最後に試合を決めたのは根性と元気が取り柄の捕手・鈴木だった。こういう男が屋台骨を支えているからこその日大三の強さなのだろう。夏は見事に全国制覇を成し遂げた。

 

一方、明徳は初戦連勝が20でとまったものの、負けてなお強しの印象を与えた。正直戦力差はかなりあったが、それでも1点差の白熱した攻防に持ち込むあたり、明徳の試合巧者ぶりが光る結果となった。

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