2017年選手権準決勝 花咲徳栄vs東海大菅生(13日目第2試合)

2017年

大会13日目第2試合

 

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
0 1 2 1 0 0 0 2 0 0 3 9
2 1 1 0 0 0 0 0 2 0 0 6

東海大菅生

 

花咲徳栄   綱脇→清水

東海大菅生  松本→戸田→山口

決勝進出をかけた関東ダービーは最後まで手に汗を握る接戦に!最後は花咲徳栄は持ち前の打力を発揮し、埼玉県勢としては1993年の春日部共栄以来、24年ぶりの決勝進出を果たした。

試合

夏前の練習試合で一度対戦をしている両校。その時は、東海大菅生コールド勝ちを収めており、花咲徳栄としてはリベンジを期す戦いであった。

立ち上がりを東海大菅生の松本が無失点で切り抜けたのに対して、花咲徳栄の綱脇は1番田中、2番松井にいきなり連打を許す。一度対戦して打ち込んでいるだけに菅生サイドの方が精神的に優位に立っていたか。2アウトまで何とかこぎつけるも、暴投とセカンドゴロエラーで2点を献上。この大会常に先手を取って優位に試合を運んできた花咲徳栄にとっては嫌な展開となる。

花咲徳栄は2回表に7番小川の内野ゴロの間に3塁ランナーがホームインして1点を返すも、その裏に東海大菅生は松本が自らタイムリーを放って突き放す。ここまで安定感のある投球で勝ち進んできた両投手だが、この日は相手打線のしぶとい打撃の前に苦戦を強いられた。

再び点差が2点となった花咲徳栄だが、3回表に満塁のチャンスを作ると、5番須永のサード強襲安打で2塁ランナーも好走塁でかえって同点。再び1点リードを許した4回表には大会終盤にきてややあたりの止まっていた1番太刀岡のタイムリーで同点に追いつく。序盤から相手打線にエースが打ち込まれる中で、すぐに同点に追いつけたことは大きく、チームの成長の跡がうかがえた。菅生のエース松本はこの夏初めて相手打線につかまったと言えるだろう。

しかし、5回以降は両チームの投手が踏ん張って投手戦となる。花咲徳栄は5回から2番手の清水(中日)がマウンドへ。ややアーム式のフォームながら球威のある真っすぐとフォークを武器に、猛打の菅生打線を抑え込む。今大会では初めてのロングリリーフとなったが、力の投球でチームに流れを呼び込んだ。

一方、東海大菅生も7回から2番手の戸田をマウンドへ送る。松本は決して調子が悪いようには見えなかったが、花咲徳栄のしつこい攻撃にしてやられた印象だった。練習試合の時とは全く別のチームに映ったことだろう。

同点のまま試合は終盤に入り、迎えた8回表、花咲徳栄は戸田(巨人)も攻め立てて満塁のチャンスを作ると、9番岩瀬がアウトコースの真っすぐを強引に引っ張ってタイムリー2塁打を放つ。ここまであたりの出ていなかった守備職人が見せた意地のタイムリー。花咲徳栄に大きな勝ち越し点をもたらした。

後がない東海大菅生は9回裏、7番牛山、9番猪俣がヒットでつなぎ、清水の重いボールに対応し始める。最後のチャンスで打席には1番の田中。ここまで再三チームを救ってきた男が清水のストレートをとらえると、打球はショートの岩瀬を強襲。岩瀬の足に当たった打球がライトに転がる間に2人のランナーは一気に生還を果たす。あとアウト2つのところから試合は再び振り出しに戻り、グラウンド上には残酷なコントラストが描かれる。

投手の戸田に代打を出した菅生としてはここで勝負を決めたいところ。しかし、2アウト3塁となって主将の小玉を迎えるが、清水が得意の落ちるボールで空振りの三振に切って取る。ぎりぎりの局面で踏ん張りを見せた。

ともに2枚看板を擁する両チームだったが、菅生は3番手の山口のマウンドを託す。強気の投球で10回は徳栄の強力打線をよく抑えたが、11回につかまる。右スリークオーターで左打者の多い打線にはやや見えやすい軌道であったか、3番西川(西武)、5番須永とともに左打者にヒットを許すと、6番高井にはインサイド高めのストレートを振りぬかれて2点の勝ち越しを許す。さらに7番小川にもタイムリーを打たれて決定的な3点目。この回4人の左打者にヒットを許し、勝負は決した。

反撃したい菅生だったが、清水がマウンドで仁王立ち。最後は9回に同点打を許した田中を内野ゴロに打ち取って試合終了。つい数か月前にコールドで敗れた相手を延長の死闘の末に倒し、花咲徳栄が初の決勝進出を決めた。

まとめ

花咲徳栄にとってはこの夏に描いた成長曲線を試すかのような試合に。リードされながらも相手エースの松本に食らいつき、試合終盤はあたりの出ていなかった9番打者と出番の少なかったリリーフエースが大仕事をやってのけた。まさにチームの総力を結集しての勝利。岩井監督にとっても非常にうれしい勝利だっただろう。過去2年東海大相模、作新学院と優勝校に敗れて甲子園を去ったが、その経験も糧にいよいよ主役の座に上り詰めるチャンスが巡ってきた。

一方、敗れた東海大菅生にとっては惜しまれる試合となったが、松本戸田と両エースが打ち込まれた時点で、やはり本来の菅生の安定感ある試合運びではなかったといえる。打線は先発・綱脇はとらえたが、2番手・清水の球威には力負け。ここまで大量得点で勝ち進んできたが、やはり打線は水物であったか。しかし、最終回の土壇場の粘りは観衆の感動を呼んだことは間違いなく、これまで1勝が最高だった甲子園でこの夏は3勝をマーク。早稲田実、日大三に並ぶ西東京の第三の強豪としてこれからも存在感を発揮してくれそうだ。

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