2021年選手権1回戦 明桜vs帯広農(3日目第1試合)

2021年

大会3日目第1試合

帯広農

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 1 0 0 0 0 0 2
1 0 0 0 3 0 0 0 × 4

明桜

 

帯広農  佐藤大→水口

明桜   風間

5-0で降雨ノーゲームとなった両チームによる再試合はうって変わって1点を争う接戦となった。中盤に打線が逆転した明桜が、エース風間の我慢の投球で接戦を制し、平成2年以来となる甲子園での勝利を手にした。

試合

降雨によるノーゲームから三日後に行われた再試合。前の試合では風間の投球に押され気味だった帯広農だが、この日は初回に3番佐伯がストレートをとらえて右中間への2塁打で出塁。無得点に終わったものの、1試合消化したことによる利が帯広農に現れてる感じがした。

しかし、この日も先制点は明桜。2番土居が三遊間深い位置への当たりで内野安打をもぎ取ると、帯広農の先発・佐藤大はやや慎重になったか3番石田、4番真柴に連続四球を出し、満塁とピンチを広げる。ここで5番福溜のとらえた当たりはレフト後方への大飛球となるが、レフト・佐藤敦がファインプレーでつかみ取り、犠飛の1点にとどめる。先制点は失ったものの、流れまでは失わないナイスキャッチであった。

これで落ち着きを取り戻したか、佐藤大は2回以降立ち直る。ストレートの最速は120キロ台だが、変化球のコントロールが前の試合に比べて安定しており、カウントを整えるのにも苦労がない。特に緩いカーブが効果的で緩急も織り交ぜながら明桜打線を封じ込んでいく。

すると、守りからリズムを作った帯広農打線が反撃に出る。3回表、8番佐藤敦の四球と1番西川の痛烈なレフトへのヒットでチャンスを作ると、2番清水がこの回浮きがちな風間の変化球をとらえて左中間への同点2塁打とする。ややコントロールが甘くなったとはいえ、今大会最速投手のボールをきっちりコンタクトした帯広農打線は素晴らしい。

ただ、なお1アウト2,3塁となって打席に先ほど2塁打の3番佐伯を迎えると、風間の投球が一変。球速が見た目でも明らかに上がり、ストレートでぐいぐい押して佐伯を三振に取ると、続く1年生の4番干場はフォークで完全にタイミングを狂わせ、2者連続三振で切り抜ける。やはり、風間球打はただストレートが速いだけの投手などではない。

だが、流れをつかんだ帯広農は4回表にもチャンスを迎える。5番渋谷の振り逃げや犠打で労せずチャンスをつかむと、2アウト3塁となって打席には初回にファインプレーの佐藤敦風間のアウトコースやや甘めに入ったストレートをジャストミートすると、打球はライトへの勝ち越し2塁打となって帯広農が前の試合から通じて屁締めてリードを奪う。8番打者がこの打撃をするのだから、やはり帯広農打線のレベルは相当に高いわけだ。

1点を追うことになった明桜打線だが、この日の佐藤大は前の試合とは別人。コントロールよくコーナーに投げ分ける投球でゴロの山を築き、4回まで被安打2でスイスイと投げられてしまう。

ところが、5回で打者3巡目に入ると明桜打線がようやく目を覚ます。2アウトランナーなしから1番中井の四球と2番土居のヒットでチャンスメーク。ここで3番石田に対して明桜ベンチはカウント2-0と追い込まれた状況でエンドランを敢行。石田は見事に変化球を三遊間に転がしてレフトへのタイムリーとし、明桜が同点に追いつく。

佐藤のボールはアウトコース低めのボールで決して悪くなかっただけに帯広農バッテリーにとってはショックが大きかったか。反対にこれで流れを引き寄せた明桜は続くチャンスに佐藤大の珍しく真ん中甘めに入った変化球をきっちりライトに運び、2点を勝ち越す。このイニングが結果的に勝敗を大きく分けた。

6回以降は再び立ち直った佐藤大の前になかなか攻撃が機能しなかった明桜。しかし、そんなことは気にしなくていいほどに、一度リードをもらった風間の投球は圧巻だった。本人の中では完ぺきな出来ではなかったものの、変化球の精度、力を込めた時のストレートの威力はやはり一級品だった。終盤の帯広農打線の反撃を0で封じ込めた明桜が秋田経法大付時代以来となる久々の甲子園での勝利を手にし、2回戦進出を決めた。

まとめ

明桜は勝因はやはり5回のエンドラン敢行による思い切った攻撃だろう。試合が膠着しかかっている中で、相手の失投とは言えないボールをタイムリーした技術と勝負強さが相手を上回る大きな要因となった。風間はベストの出来ではなくとも要所を締めるあたりはさすがの投球であり、まだまだ余力は残していそうだ。2018年の金足農に続く旋風なるか。明桜の今後の戦いに注目だ。

一方、帯広農は敗れはしたが、風間から7安打で2点を奪った攻撃は、前の試合の反省をしっかり活かせたことと、そして全国レベルの攻撃力を磨き上げてきたことを証明していた。また、2年生エース佐藤大も自らの持ち味をしっかり出した投球はできており、こちらも前の試合からしっかり修正ができていた。

今後は、エース佐藤大も含めて北海道では追われる立場になるが、その中でどういう戦いを見せてくれるか。来年以降も目が離せないチームだ。

2021年選手権1回戦予想 明桜vs帯広農 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

夏の甲子園 (北北海道)帯広農×明桜(秋田)高校野球 3日目 第一試合 2021年8月15日:NHK – YouTube

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