大会2日目第3試合
東海大相模
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
東海大甲府
東海大相模 石川→石田
東海大甲府 若山
昨秋の関東大会で対戦した似たもの同士の「TOKAI」ダービーは、互いに好守を連発する投手戦となった。終盤に相手エースを攻略した東海大相模は昨年のリベンジを果たし、2018年以来3年ぶりの選抜勝利を挙げた。
試合
両チームとも投手陣を中心とした高いディフェンス力に攻撃では機動力を併せ持つ。村中監督は1990年台に相模の監督をしており、門馬監督とはかつて師弟関係であった。まさに手の内を知り尽くしたチーム同士の対戦が、昨秋に続いて甲子園でも実現するとは何とも因縁めいたものを感じる。
東海大甲府が順当にエース若山をマウンドに送ったのに対して、東海大相模は右腕・石川が先発。昨秋にエース左腕・石田に苦戦したこともあって石田の先発が予想されたが、甲府の村中監督としては完全に虚をつかれた格好となった。
試合は序盤から両チームの先発が好投。成長株の右腕・石川が力のある速球を武器に甲府打線を抑え込めば、甲府の若山は抜群の角度とキレを誇るボールで相模打線のインサイドをえぐり、得点を与えない。石川は3回裏に満塁のピンチを迎えるが、後続を落ち着いて打ち取り、先制点を譲らない。
緊迫した守り合いはこの大会屈指のハイレベルな内容になる。一選手としてフォーカスするならば、東海大甲府のショート中沢が出色である。打球への一歩目のダッシュと安定した強いスローイングはともにほれぼれするものがある。監督をやって自由に選手を選べるなら、いの一番に彼のようなショートを取りに行くだろう。
両投手が好投して、お互いに打線がなかなか突破口を開けない中で、特に甲府の左腕・若山の安定感が光る。昨秋にリベンジに燃える相模打線に対して、逆に攻め返すような強気の投球。スピード、コーナーワーク、緩急と様々な要素を満たした素晴らしいピッチングで好試合を作り出す。
しかし、そんな堅守の引き締まった試合が一つのミスから動き出してしまう。6回に無死3塁のピンチをしのいだ若山だったが、7回にも4番柴田、5番百瀬に連打を浴びる。2人とも無理のない打撃で逆方向へ打ち返し、甲府バッテリーに圧力をかけていく。内野ゴロの間にランナーがそれぞれ進塁すると、ここで甲府バッテリーに痛恨の捕逸が出てしまい、相模が待望の先制点を手にする。
ただ、追う展開となった甲府に対して相模守備陣も徐々にプレッシャーはかかってくる。何せ昨年秋は同じような展開で9回逆転サヨナラ負けを喫しているのだ。
8回裏、1番猪ノ口が石川のストレートをセンターに返すと、2番桑島は絶妙なセーフティバントで無死1,2塁とチャンスを拡大。内野ゴロで2,3塁となると、続く4番久井が落ちるボールをきっちりとらえて、レフトへはじき返し、同点に追いつく。しかし、続く2塁走者の生還は相模のレフト門馬(監督の息子さん)の好返球でタッチアウトとなり、逆転のホームインは阻止した。
ストレートも変化球も対応され始めた石川に代わって、相模は9回からついにエース石田をマウンドに送る。立ち上がり少しボールが続いたが、高めのストレートを有効に使って甲府打線を圧倒。せっかく同点に追いついて意気上がる甲府の反撃ムードを沈めるには十分な投球で味方の反撃を待った。
こうなると踏ん張ってきた若山に今度はプレッシャーがかかる。10回はなんとか踏ん張ったが、11回に1番門馬、2番大塚、4番柴田の上位打線に攻略されて万事休す。大舞台で借りを返した東海大相模は2回戦へとコマを進めた。
まとめ
東海大相模にとっては先発・石川の快投も含めてしてやったりの試合内容だっただろう。相手エース若山の投球の前になかなか活路が見いだせなかったが、相手ミスに付け込みつつ、継投で相手の流れも断つという試合巧者ぶりを発揮した。この日の若山の投球が素晴らしかっただけに打線は苦しんだが、並の投手なら打ち込む力は十二分に秘めている。過去の甲子園でも勝ち上がることの多かった「関東5校目」が不気味な存在としてクローズアップされ始めた。
一方、敗れた東海大甲府にとっては勝てる試合だっただけにもったいない試合になってしまった。捕逸による先制点の場面もそうだったが、8回に4番久井のヒットの場面で前進守備の中、無理に2塁ランナーが突っ込む必要はなかったかもしれない。結果論にはなってしまうが、この場面では積極性が裏目に出た。東海大相模という強敵にリベンジを狙われる苦しい試合の中で、ショート中沢を中心とした好守で渡り合ったが、この春はあと一歩及ばなかった。
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