2021年選抜1回戦
北海vs神戸国際大付
52% 48%
2021年の開幕戦は北海と神戸国際大付という2017年2回戦のリターンマッチとなった。あの時は北海がそつなく得点を重ねたが、神戸国際大付が2年生谷口の2ホームランという力技でひっくり返した。今回は、北海のリベンジか、はたまた神戸国際大付の返り討ちか、注目の開幕戦がスタートする。
北海のエース木村は最速145キロの速球とスライダーを武器にする本格派左腕。北海の守り勝つ野球の象徴ともいえる存在だ。北海道大会決勝では1-0と僅差の勝利をものにしたようにメンタル面の強さも相当なものがある。本調子ならば3点以内には抑えそうな投手だ。
対する神戸国際大付打線は例年のような大型打線ではないぶん、勝負所でタイムリーが飛び出す強さがある。秋の兵庫大会では接戦をことごとく制したように、国際の弱点ともいえるもろさは今年は少なさそうだ。中軸の西川、武本の前にチャンスで回していきたい。
一方、神戸国際大付のエース阪上も最速145キロをマークした好投手。昨秋は故障で近畿大会準々決勝に投げれなかったが、一冬超えて復活しているだろう。勝負所で三振を奪うことができ、こちらも失点は計算できる。2年生の右腕・中辻も好投手だが、まずは阪上が先発するだろう。
対する北海の打線はつながりの良さが持ち味。北海道大会でほとんどの試合で6点以上を挙げたように、機動力も絡めた集中打で一気に得点を挙げていく。2番には高打率をマークした大津が入り、キーマンとなりそうだ。上位から下位までしぶとい打者が並んでおり、阪上がスキを見せれば一気についてくるだろう。したたかさという点では国際を上回る打線だ。
両投手が本調子ならばおそらく3点以内の接戦になるか。ディフェンスの堅さという点でやや北海が有利か。
主なOB
北海…谷木恭平(中日)、若松勉(ヤクルト)、鍵谷陽平(巨人)、川越誠司(西武)、阪口晧亮(DeNA)
神戸国際大付…坂口智隆(ヤクルト)、小深田大翔(楽天)、石岡諒太(中日)、宗接唯人(ロッテ)、蔵本治孝(ヤクルト)
北海道 兵庫
春 4勝 10勝
夏 2勝 7勝
計 6勝 17勝
対戦成績は兵庫が春夏ともに北海道を圧倒。今回登場する神戸国際大付は2005年の選抜では当時全盛期の駒大苫小牧をエース大西(ソフトバンク)が1安打完封で下しており、2017年は今回対戦する北海にも勝利するなど、好相性を誇る。一方、北海道も近年は互角に渡り合っており、駒大苫小牧は2006年夏の準々決勝で東洋大姫路を相手に4点差をひっくり返す逆転劇を演じた。果たして、今回はどちらに軍配が上がるか…
思い出名勝負
2006年夏準々決勝
東洋大姫路
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 0 | × | 5 |
駒大苫小牧
東洋大姫路 飛石→乾
駒大苫小牧 田中
駒大苫小牧は中京商以来57年ぶりの3連覇を狙って本大会に出場。不祥事による選抜辞退も乗り越えての夏の大舞台だったが、エース田中将大(楽天)がウイルス性胃腸炎の影響でなかなか調子が上がらなかった。初戦の南陽工戦は6四死球を与え、先発を回避した3回戦の青森山田戦では1-7からなんとか試合をひっくり返す薄氷を踏む思いでベスト8まで勝ち上がってきた。
田中はスライダーを曲げようとするあまり、投球フォームが横回転になる癖が出ており、今後の戦いに向けて不安を覚える内容だった。
対する東洋大姫路は5年ぶりに激戦の兵庫を勝ち上がってきた。乾(日本ハム)、飛石という左腕2枚看板はともに安定感があり、打線も例年以上にパワフル。3番林崎は3回戦の桐生第一戦でホームランを放つなどパンチ力のある打者で、そこに加えて東洋大姫路らしい犠打も絡めた手堅い攻撃で得点を重ねてきた。優勝経験もある地元の名門校が打倒王者に向けて虎視眈々と牙を研いでいた。
駒大苫小牧は2戦ぶりにエース田中が先発。しかし、立ち上がりに先頭の1番吉川に出塁を許すと、犠打で1アウト2塁となって打席には3番林崎を迎える。打倒田中に自信を見せていた屈指の好打者はインサイド甘めのストレートを完ぺきにとらえると、打球はレフトスタンドへ飛び込む2ランとなって東洋大姫路が2点を先制する。スライダーにいまいち自信が持てなかったのか、勝負球に選んだストレートを打たれ、立ち上がりからエースに苦い表情が浮かぶ。
その裏、駒大苫小牧も2アウト1,3塁とチャンスを迎えるが、先発の飛石が1塁ランナーの本間のリードが大きいのを逃さず、けん制タッチアウトに仕留め、ピンチを脱出する。駒大苫小牧にとっては実に嫌な流れで初回を終えてしまう。
勢いを得た東洋大姫路は4回表、ランナーを2塁においてセカンドゴロを相手のセカンド山口が悪送球する間に1点を追加。さらに続く9番の飛石が田中の投球の軸となるストレートをとらえて左中間を深々と破り、4-0。東洋大姫路・飛石の安定した投球内容の前に駒大苫小牧は序盤わずか1安打に抑え込まれ、さしもの王者も危ないかという空気が球場に立ち込めていた…
しかし、3回戦で6点差をひっくり返し、不祥事も乗り越えてきた駒苫ナインには逆境を跳ね返す精神力があった。6回裏、1アウトから四球でランナーが出ると、それまで苦しんでいた飛石の低めの変化球を見定められるようになる。3回戦でサヨナラ打の1番三谷がエンドランで続くと、2番三木、3番中沢、4番本間と一気の4連打で4点あったビハインドを追いつき、試合を振り出しに戻す。
前年の鳴門工戦、大阪桐蔭戦、そしてこの年の青森山田戦と駒大苫小牧のチャンスでの集中力は目を見張るものがある、それだけ一球に集中したプレーと何よりも負けてたまるかという気持ちの強さがナインに宿っていた。
これで逆に勢いに乗った駒大苫小牧は2番手で登板した姫路のエース乾に対しても。7回裏に2アウト3塁とチャンスを作ると、先ほどヒットを放っていた三谷が勝ち越しの内野安打を放つ。サヨナラ打を放って乗っていた男は打順が一番に上がっても見事に指揮官の起用に応えて見せた。
追いかける展開となった東洋大姫路だが、8回にも満塁のチャンスを作るなど、本調子でない田中を攻めつける。9回表にはここまで2安打の林崎が高めのストレートをライトオーバーにはじき返し、2アウト3塁とチャンスを作った。しかし、最後は兵庫大会でサヨナラ打を放った5番柏原が打ち取られてゲームセット。駒大苫小牧が2試合連続で接戦をものにして3年連続のベスト4進出を決めた。
駒大苫小牧はその後、準決勝では強打の智辯和歌山を田中が抑えこんで決勝に進出。決勝では早稲田実との引き分け再試合に敗れたものの、この3年間の戦いぶりはそれまで優勝経験のなかった北海道にとって非常にセンセーショナルなものであった。厳しい競争意識、勝負所での集中力はもちろんのこと、徹底したカバーリングや走塁の意識も含め、その後の北海道の高校野球指導者に与えた影響は多大なものがあった。まさに勝てる野球への道しるべを築いた存在と言えるだろう。
対する東洋大姫路も出場してきた時はさすがの強さを見せた。2001年夏から2011年まで5大会連続で出場して2勝以上を挙げており、堅守をベースにした手堅い野球は今の時代でも通用することを示しているだろう。4点のリードを守れなかったが、それまでの戦いぶりは十分王者を慌てさせるものであった。2011年を最後に甲子園から遠ざかってはいるものの、再び戻ってくることを待ち望むオールドファンは多いはずだ。
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