大会6日目第2試合
氷見
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | × | 4 |
山梨学院
氷見 青野
山梨学院 林
好投手同士の投げ合いとなった大会6日目の第2試合は、山梨学院のエース林が抜群の制球力を武器に氷見打線を1失点で完投。春夏通算15回目の出場で初めて1大会2勝を挙げた。
試合
山梨学院は初戦で好投を見せた林、氷見は絶対的エースの青野が先発のマウンドに上がった。関東王者に氷見がどう挑むか注目された。
1回表、林は1,2番を外野フライに打ち取り、2アウトを奪うが、3番青野のセカンドゴロがエラーを誘い、出塁を許す。続く4番大澤はアウトコースのスライダーのちょこんとバットを合わせると、この打球はセンター前へ。林としては不運な当たりが続くが、氷見打線のセンターへの意識がもたらした連打である。ここで5番橋本もアウトコースの速球を右方向にはじき返すと、セカンド大森の懸命のダイブも及ばず、ボールがこぼれ、氷見が先制点を奪う。
先制点をもらった氷見の右腕・青野は140キロ台の速球を武器とする本格派。しかし、立ち上がりから割と変化球主体の投球に写る。山梨学院の強力な上位打線に対し、丁寧な入りを心掛けたのか、スライダー・スプリットを主体とする投球で打たせて取り、初回を3人で片付ける。山梨学院としては試合前に抱いたイメージとやや異なる印象だったかもしれない。
しかし、2回表の氷見の攻撃を林が粘れらながらも無失点で抑えると、その裏、山梨学院打線が青野をとらえ始める。
先頭の4番岳原が高めに浮いた変化球をとらえると、打球はライトポール際でフェンスを直撃する当たりとなり、岳原は一気に3塁を奪う。ここで5番進藤はアウトコースの変化球を打ち返し、ショートへの緩いゴロとなって3塁ランナーがホームイン。打者走者の進藤も1塁セーフとなり、山梨学院が同点に追いつく。さらに、盗塁と犠打で1アウト3塁とすると、ここまで守備で悔しい思いをしていた7番大森がこれも変化球をとらえてセンターにはじき返し、山梨学院が逆転に成功する。
初回の青野の投球を見て変化球に狙いを定めた山梨学院。打者一巡もしないうちに相手の傾向を見て取り、抜群の選球眼を絡めて相手エースの攻略に成功する。
リードをもらった山梨学院・林は立ち上がりこそ速球をとらえられていたが、3回、4回と徐々に持ち味の回転の良いボールが戻ってくる。3回にはサード伊藤が好守を見せるなど、バックも1回戦同様に堅守でエースを盛り立てる。
一方、青野も2回に逆転を許したとはいえ、多彩な変化球を武器に丁寧な投球を見せる。特に左打者へのチェンジアップは非常に有効なボールだ。
しかし、4回裏、先ほどタイムリー内野安打を浴びた5番進藤に同じようなショートへの当たりを打たれると、ショート西川が後ろにそらす間に進藤は一気に2塁を奪う。このあたりは山梨学院も本当にスキがない。犠打で1アウト3塁となるも、内野ゴロでホーム封殺し、2アウト1塁とピンチをしのぎかける。が、8番林の飛球を西川がはじいてしまい、1塁から大森が一気にホームイン。浜風にも左右された難しい打球であり、西川にとっては辛いイニングとなってしまった。
試合は山梨学院の2点リードで後半戦に突入。林は真っすぐがどんどん走り始め、早いテンポも相まって次々打者を打ち取っていく。氷見打線は序盤から振り切る打撃でヒットを連ねていたが、6回、7回と打線が沈黙する。一方、氷見の青野も3点は失ったものの、バックの好守備にも助けられて6,7回を無失点ピッチング。両エースの踏ん張りで試合は早いペースで進んでいく。
次の1点が大きく流れを左右する状況。迎えた8回裏、山梨学院が貴重な追加点を手にする。先頭の4番岳原が四球で出塁。続く5番進藤の打席で痛恨のけん制悪送球が飛び出し、岳原は一気に3塁を陥れる。進藤は倒れて1アウトとなるが、続く6番佐仲がカウント1-0から見事にスクイズを成功。終盤に来て、大きな追加点を、しかも相手のミスから奪った。
氷見は最終回、2アウトから7番正水が林の高めに浮いたカーブをとらえ、右中間フェンス直撃の2塁打を放つ。これで好投手・林から7安打目。全国レベルの投手相手に決して劣らない打撃を見せる。しかし、最後は代打・山口が林の速球に手が出ずに見逃し三振。両チーム、エラーはあったものの、きびきびした守り合いの好試合を、山梨学院が制し、3回戦進出を決めた。
まとめ
山梨学院は相手より少ない6安打であったが、投打ともに修正能力の高さを見せて、初の1大会2勝目を手にした。打線は氷見の青野の変化球攻めに対し、早くも2回に対応。1回戦も東北のエース・ハッブスの投球を中盤で攻略したが、この日はさらに早い順応を見せた。全員が大味にならずに、好球をシャープに振り抜くため、相手投手にとっては息の抜けない打線と言えるだろう。
また、林も序盤は速球が走らなかったが、中盤以降に修正。後半はスピンの効いた真っすぐで見逃し三振を多く奪った。速球が走れば、変化球の効果も増すという理想のループに入った感があった。これまで長いこと敗れなかった大会2戦目の壁を打ち破った関東王者。一気にこのまま突っ走るか。
一方、氷見は青野がどうやら故障で本調子でなかったようで、変化球主体の投球となったが、それでも山梨学院の強力打線を味方のミスもありながら4点に抑えたのは立派であった。また、打線もしっかりと振り切るスイングで7安打をマーク。内外野の間に落ちる打球が多かったのも、振っているからこその結果であった。初戦突破はならなかったが、全国の舞台で十分やれる手ごたえをつかんだ試合だったのではないだろうか。夏の氷見の帰還を楽しみに待ちたいと思う。
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