大会7日目第1試合
沖縄尚学
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
クラーク国際
沖縄尚学 東恩納
クラーク国際 新岡
タイプの違う好投手の投げ合いは、沖縄尚学・東恩納が初戦に続く好投でクラーク国際打線を1失点完投。2014年以来となる1大会2勝を挙げた。
試合
沖縄尚学は初戦に続いてエース東恩納、クラーク国際も主戦の新岡がマウンドに上がった。
新岡は昨年はショートで選抜の舞台を踏み、新チームになってからはエースとしてチームを牽引。野球センスあふれる選手であり、右スリークオーター、サイド、アンダーと3種類の投げ方で多彩な変化球を投げる。
初回、1番知花のインハイをついて打ち取ったように、巧みなコーナーワークが持ち味。2番大城のヒットから満塁のピンチを招いても落ち着いており、5番東恩納を詰まらせて5-4-3の併殺網に仕留め、無失点で立ち上がる。ただ、沖縄尚学も初回からエンドランを仕掛けたように、初戦でグランドスラムの4点のみだった反省を活かし、積極的に仕掛ける。
一方、沖縄尚学の東恩納は初戦と同様、伸びのある快速球を武器に初回を無失点投球。2番山田には高めに浮いたボールをヒットにされたが、クラーク国際のキーマンである4番麻原を完全に球威で押し込み、ピンチを逃れる。
2回も両チーム無得点で終え、迎えた3回表、沖縄尚学打線が新岡攻略にかかる。先頭の9番佐野がアウトコース甘めの速球を引っ張ってレフトへヒットを放つと、盗塁と2番大城の四球でチャンスを拡大。打席にはこの日7番から3番に昇格した玉那覇が入る。新岡に合いやすい左打者であることが起用の理由だったが、その期待に見事に応え、アウトコースのストレートを左中間へはじき返して、2点を先制する。ショートの頭を狙った理想の打撃であり、監督の期待に応えてみせた。
初戦に続き、中軸の長打で先制した沖縄尚学。その初戦は先制した直後に失点を喫したが、この日の東恩納は同じ轍は踏まない。速球に非常に威力があり、高めに入ったボールに対しても各打者が振り遅れる。3回は主砲の新岡を三振に切って取ると、4回のピンチでも三振を奪取。高めの速球と低めの変化球という高低の攻めでクラーク国際打線に決定打を許さない。
対して、2点を先行された新岡も4回、5回とランナーは出すものの、得点は与えない。とにかく感性の素晴らしい投手であり、打者ごとにそのスイングを見て、腕の振り方を変えながら、球種、コースも選択していく。両投手の好投に野手陣も堅守で応え、特にクラーク国際の守備陣は昨秋から大きな成長を見せる。序盤は沖縄尚学の2点リードで折り返す。
後半戦、先に1点を取りたい両チーム。手をかけたのは沖縄尚学だった。6回表、1アウトから6番川満がインサイドの速球をセンターに打ち返す。2アウト後に死球でランナーをためると、打席には先ほどヒットを放っている9番主将の佐野。再びアウトコースの速球をとらえると、今度は打球がセンターに落ち、沖縄尚学がリードを3点に広げる。
点差が広がる中、何か仕掛けなくてはいけない雰囲気になってきたクラーク国際。しかし、6回裏は4番麻原が四球で出塁するも、5番中村の強攻策は併殺に。その直後にヒットが飛び出し、ちぐはぐな内容になってしまう。勝負所で力のあるボールがコースに決まる東恩納の投球の前に打線がつながらない。かつて駒大岩見沢のヒグマ打線で何度も甲子園を沸かせた佐々木監督をもってしても打開するのが難しい状況となる。
一方、3点を奪われたクラーク国際・新岡だが、その後も丹念にコーナーを突く投球を見せ、沖縄尚学打線に4点目は与えない。8回表にはレフトの落球と犠打野選で無死1,3塁と絶体絶命のピンチを招くが、ここも沖縄尚学の走塁ミスに助けられ、堅守で無失点にしのぐ。新岡は、球威、スピードに特筆するものはなくとも、工夫次第で全国の強力打線を抑えられることを証明して見せる。
打線がエースの力投に応えたのは8回裏。当たっている2番山田がこの日3本目のヒットで出塁する。さらにキーマンの3番新岡もストレートをしっかり振り抜いて連打。東恩納もさすがに終盤になって少し球威が落ちてきたか。ここで4番の麻原に佐々木監督は犠打を指示。意外にも思えたが、ランナーは2,3塁に進む。続く5番中村は死球で満塁となると、6番鈴木のファーストゴロで待望の1点を挙げる。
なお、ランナーは2,3塁。一打同点の場面で打席には7番安部が入る。しかし、初球のストレートを叩いた打球はセカンド後方へのフライとなって3アウト。貴重なチャンスだったが、同点には至らなかった。
最終回の沖縄尚学の攻撃を新岡が無失点で封じ、クラーク国際は最後の攻撃に望みを託す。しかし、最終回になってフルスロットルの東恩納は、後半から多用したスライダーを武器に、クラーク国際をうまく料理。1番高橋のファウルフライを仲田がつかんで試合終了となり、南北対決を制した沖縄尚学が、3回戦進出を決めた。
まとめ
沖縄尚学は初戦と同様に打線が少ないチャンスを長打でいかし、そのリードをエースが守り抜いた。1回戦とは全くタイプの違う投手が相手だったが、甘く入ったボールはセンター中心に鋭くはじき返し、得点を重ねていく。例年に比べると機動力がまだ機能しきっていない感はあるが、そのぶん打力は上位から下位まで非常にレベルが高い印象を受ける。
また、初戦に続いて完投勝ちの東恩納はさすがに大会注目の好投手に名前をあげられるだけの実力を示している。140キロ台の速球とスライダーを武器に、この日は球威でクラーク国際打線を封じ込めた。ヒットにされた当たりも詰まったものが多く、まだスタミナも十分といった印象だった。1回戦枠を引いたことで、今後の起用法がやや気になるところはあるが、過去2度選抜を制している九州王者の強さは本物だと改めて感じさせた一戦だった。
一方のクラーク国際もエース新岡を中心にバックがしっかり守り、ディフェンス面に関しては十分合格点の出せる結果だったのではないだろうか。攻撃陣は東恩納を攻めて8安打を放ったが、要所を締められて1得点。佐々木監督曰く、雪が多かった影響で思うような打撃練習はできていなかったということだ。ただ、以前のような地域差はなくなってきており、昨夏は東北勢もついに初優勝校を達成。不利な環境下であっても戦い続ける姿勢でクラーク国際が再び戻ってくる日を楽しみに待ちたいと思う。
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