2023年選抜2回戦予想 作新学院vs大分商

2023年

2023年選抜2回戦

作新学院vs大分商

52% 48%

攻撃型の作新学院とディフェンス型の大分商の対戦。作新打線を大分商バッテリーが抑え込めるかが勝負のカギだ。

 

大分商投手陣は昨秋、児玉と飯田の両右腕の継投で大分大会、九州大会を勝ち抜いた。制球力抜群の児玉が打たせて取って試合を作り、相手打線が慣れてきたところで速球派の飯田に継投する。この戦い方で神村学園、東福岡といった優勝候補を下してきた。児玉ができるだけ長いイニングを投げて後半戦で飯田につなげれば理想だろう。作新学院打線の破壊力を序盤どれだけかわせるかが重要になる。

対する作新学院打線は今年も強気な攻撃が持ち味。そのアグレッシブな野球を体現できるだけの打力がある選手をそろえている。1番髙森は一発も放てる理想のトップバッターであり、初回から長打で流れを引き寄せる。2番打者が打ってつなぎ、拡大したチャンスで磯・斎藤・武藤の強力な中軸が仕留めていく。スキを見せたら一気にビッグイニングで畳みかけられる力がある。昨秋は専大松戸・平野を攻略しきれなかったが、そのぶん想定している投手のレベルを高くして練習してきているだろう。

 

一方、作新学院の投手陣は川又・小川の左右両輪で形成する。川又はこれまでの作新学院の左腕たち(2012年・筒井、2013年・渡辺など)と同様にコントロールよく打たせて取る投球が持ち味の技巧派左腕。自分で試合を壊すことはまずないだけに安心して見ていられる。後ろには速球派右腕の小川も控えており、後半戦や連戦もOKだ。打線の援護が見込めるだけに、2人ともある程度リラックスして臨めるだろう。

対する大分商打線は派手さはないものの、つながりの良さが持ち味だ。九州大会1回戦で神村学園を10-0と圧倒したように、集中打で得点を重ねる。1番豊田、2番渡邉は2人とも機動力豊か。2人で盗塁、エンドランなどを絡めて攻め立て、4番羽田野・5番江口の中軸がきっちり返していく。6番丸尾・7番二宮あたりもミート力が高く、下位からでも得点が見込めるのも強みだ。しぶとい攻撃で得点を積み上げていくカラーだ。。

 

両者を比べると、やはり甲子園経験と打力の差でやや作新学院が有利なのは間違いないだろう。大分商としてはとにかく序盤に作新の強攻を防いで、リズムを作りたいところだ。

 

主なOB

作新学院…江川卓(巨人)、岡田幸文(ロッテ)、石井一成(日本ハム)、今井達也(西武)、入江大生(DeNA)

大分商…岡崎郁(巨人)、源田壮亮(西武)、笠谷俊介(ソフトバンク)、森下暢仁(広島)、川瀬晃(ソフトバンク)

 

栃木  大分

春  0勝  1勝

夏  3勝  3勝

計  3勝    4勝

対戦成績は大分勢が4勝3敗とリードしている。

1994年夏は1回戦で柳ヶ浦がエース野村の好投で小山に7-1と快勝。勢いに乗った柳ヶ浦は、その後も創価・大木や仙台育英・金村(日本ハム)など好投手を打ち崩し、同校最高成績の4強入りを果たした。

一方、1997年夏は3回戦で佐野日大と大分商が対戦。佐野日大・亘が重い速球を武器に大分商打線を1点に封じ、大分商の好投手・安達に投げ勝った。この年のベスト8進出が佐野日大の夏の最高成績となっている。

今回はどちらに軍配が上がるか…

思い出名勝負

2001年夏2回戦

佐野日大

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 1 1 0 3
0 0 0 0 2 0 0 0 4

明豊

 

佐野日大   会田→福富

明豊     酒井→嶋田→波多

2001年の2回戦で当時初出場だった新鋭校・明豊と常連校・佐野日大が顔を合わせた。

この年は関東勢が非常に好調であり、この年に優勝した日大三を筆頭に選抜王者の常総学院や強豪・横浜など多くの強豪が顔をそろえた。出場9チーム中8校が初戦を突破。その勢いに乗り、佐野日大も初戦で波佐見の2年生エース新地を攻略して4-1と快勝していた。

投手陣は父をプロ野球選手に持つサイド右腕・会田とエース左腕・福富の継投で相手打線を封じ込める。打線もスラッガーこそいないものの上位から下位まで切れ目がなく、投打に総合力の高いチームだった。

一方、明豊は別府大付から校名を変更し、夏の甲子園に初出場を果たした。投手陣はエース右腕・波多に三振の取れる左腕・嶋田、技巧派右腕・酒井と3人の投手を擁し、自在の継投で相手打線を封じ込める。打線もスラッガー草野を中心に好打者が並び、投打に初陣とは思えない実力を持っていた。

初戦は同じく初出場の聖光学院と対戦。福島大会決勝で延長10回に4点差をひっくり返して勢いに乗る相手だ。しかし、明豊打線は序盤から聖光学院投手陣を攻略。エース波多の好投も光り、20-0と一方的な展開で初勝利を飾った。

 

先発は佐野日大がサイド右腕の会田、明豊が技巧派右腕・酒井の先発であった。佐野日大は2回表、連続死球でランナーをためると、9番中見川のタイムリーで1点を先制。このリードを佐野日大・会田が抜群のコーナーワークを活かした投球で守る。

初戦で20得点を挙げた明豊打線だが、序盤はうまく力をかわされる格好となる。反撃に転じたのは5回裏だった。先頭で先発・酒井に代えて代打で登場した2番手投手の嶋田が流し打ちの2塁打で出塁。犠打で三進すると、1番黒田のタイムリーで同点に追いつく。

会田の球筋に慣れてきたか、続く2番伊藤が失策でつなぐと、3番黒仁田も引っ張ったあたりのタイムリーを放ち、この回逆転に成功。中盤に入って各人がしっかり狙い球を絞って打席に入った。

しかし、佐野日大打線も実力は高い。明豊の左腕・嶋田のカーブをしっかり見極め、7回表に1番福田がタイムリーを放って同点。直後の明豊の攻撃をエース福富への継投でしのぐと、8回表には6番米田がこれもカーブを打ってタイムリーとし、逆転に成功する。

明豊打線は8回裏にもヒット2本で塁上を賑わすが、福富が意地の投球でしのぎ切る。終盤に入って激しい攻防が続く中、佐野日大の1点リードで試合は最終回に突入した。

そして、迎えた9回裏、明豊打線が福富を激しく攻めたてた。

先頭の代打・上田がライトへのヒットで出塁。犠打で二進すると、ここまで無安打の2番伊藤が意地でレフトにはじき返し、ついに試合を振り出しに戻す。さらに、3番黒仁田にもヒットを浴びると、打席には4番草野。ここで福富-稲垣のバッテリーは大会屈指のスラッガーに真っ向勝負を選択する。草野は福富の渾身の真っすぐをとらえると、打球はライト頭上へ。2塁ランナー伊藤がホームを踏みしめ、明豊が3回戦へとコマを進めた。

 

明豊は続く3回戦でも習志野の好投手・佐々木のフォークボールを攻略し、6-5と逆転勝ち。佐野日大戦の粘り腰も含め、初陣ながら極め大きなインパクトを残した8強入りであった。今は川崎監督の元ですっかり全国区の強豪となった明豊だが、その戦いはスタートはこの年であった。

一方、敗れた佐野日大も強豪校としての意地を見せつける戦いであった。最後の場面の真っ向勝負も「エースが4番から逃げてはいけない」というチームのプライドを背負った投球であった。2010年代に入ってから作新学院1強の様相を呈している栃木県だが、そのムードを変える有力候補はやはり佐野日大であろう。再び聖地に戻ってくる時がきっと来るはずだ。

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