2024年選抜1回戦 星稜vs田辺(1日目第2試合)

2024年

大会1日目第2試合

星稜

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 1 0 0 0 0 2 4
0 0 1 1 0 0 0 0 0 2

田辺

 

星稜   佐宗→戸田→道本

田辺   寺西

神宮大会優勝校と21世紀枠の対戦だったが、試合が始まると、そんな構図を忘れてしまうような熱戦に!最終回に勝ち越した星稜が辛くも2回戦に進んだが、エース寺西を中心とした田辺の健闘が光った試合だった。

試合

星稜は左腕・佐宗、田辺は右腕・寺西とそれぞれエースナンバーを背負う投手が先発のマウンドに上がった。

1回表、寺西は速球主体の投球で星稜打線を3者凡退。インステップ気味のフォームで角度のある直球を投じるため、特に右打者は自分に向かってくるような感覚を受け、打ちづらさがありそうだ。緊張する立ち上がりをしっかり抑え、まずはチームに守りのリズムをもたらす。

対する星稜・佐宗は昨夏に続いての甲子園のマウンド。左スリークオーターからキレのあるボールを投じ、立ち上がり田辺打線を寄せ付けない。コントロールも抜群でほぼ打てるコースには来ない印象だ。1995年のエース左腕・山本(近鉄)を彷彿とさせる好左腕である。

好投手同士の投げ合い。先制したのは星稜だった。2回表、2アウトランナーなしから6番専徒がインサイドの直球をうまい流し打ちでレフトにチーム初ヒット。続く7番能美の打席ですかさず初球スチールを決めると、能美はセカンドへの痛烈な当たりを放つ。セカンド尾崎もこれを無駄なく処理したが、能美の足が一瞬早く、内野安打となる。2アウト1,3塁となり、ここも星稜はスチールを敢行。これが捕手の悪送球を誘い、3塁ランナーがホームインして1点を先制する。

好投手を崩すにはまず足元から。それを下位打線がやってのけるあたりに、星稜というチームの地力がうかがえる。

これに対し、昨秋の戦いで市立和歌山・智辯和歌山の県内2強を下してきた田辺が3回裏に反撃に出る。先頭の7番尾崎がやや甘く入ったストレートをセンターに返し、こちらも初ヒットが飛び出す。続く8番山根が犠打をしっかり決めると、2アウト後に打席は1番岡本。カウント2-1から高めの速球をコンパクトなスイングで逆方向へ打ち返すと、打球はライト前へのタイムリーとなって、試合を振り出しに戻す。佐宗のキレのある速球に対し、バットを一握り短く持って、差し込まれずに攻略してみせた。

同点に追いつかれた星稜だが、直後の攻撃で突き放しにかかる。4回表。1アウトから4番萩原が死球で塁に出ると、ここでも盗塁を敢行。スコアリングポジションに進むと、5番服部は真ん中の速球をライトにはじき返して、1,3塁に。非常に速い球足のヒットであり、さすが星稜の中軸である。6番専徒は打ち取られて2アウトとなるが、7番能美のセカンドゴロが尾崎のファンブルを誘い、勝ち越し点を手にする。ベースカバーに入ろうとするところで少し逆を突かれる格好になってしまった。

再びリードを許した田辺だが、直後の攻撃は中軸から。田辺打線で最も得点が期待できる打順だ。3番山本結がフルカウントから真ん中寄りの速球をフルスイングすると、打球は左中間を破る2塁打となって、大きなチャンスを迎える。4番山本陣のサードゴロの間に3塁を陥れると、5番前田はカウント1-3からスクイズを敢行。これが見事に決まり、試合は振り出しに戻る。チャンスの打順、チャンスの場面できっちり得点を奪い、王者に食らいつく。

取っては取られの好試合。佐宗寺西の両エースが好投し、5回以降は拮抗した投手戦となる。田辺は寺西が持ち味の直球を武器に星稜打線に真っ向勝負を挑み、堂々と打ち取っていく。5回表には星稜のスチールを捕手・前田が好送球で阻止し、相手の機動力も封じていく。

こうなると、前評判で上回っていた星稜にとっては、嫌なムードになりかけるが、山下監督は攻めの姿勢を失わない。7回のチャンスの場面ではエース佐宗に迷わず代打を送り、勝負に出る。この回、得点はできなかったが、その裏から登板した右腕・戸田が好投。佐宗道本の2人が注目されていたが、小柄ながら力のある速球を武器にけれん味のない投球を見せ、田辺にいきそうな流れを渡さない。

これに対し、寺西もストレート主体にランナーを背負いながら、要所を締める投球で譲らず。2-2のまま試合は最終回に突入した。

9回表、星稜は再び下位打線が活躍。1アウトから7番能美寺西の速球が甘く入るところを逃さず、1,2塁間を破る。ここで8番中島山下監督は強攻策を指示。これに中島がこたえ、今度は逆方向への打撃でレフトへヒットを放つ。セオリーでは右方向へ引っ張れともいわれる場面だが、自分の形の打撃でしっかり結果を残した。続く代打・の場面で暴投が飛び出し、2,3塁となると、東はインサイドの難しいボールを詰まりながらもライト前へ。2者が生還し、星稜勝ち越しに成功する。代打で出てきた打者がしぶとく、しかし、大仕事を成し遂げた。

2点を追う形となった田辺だが、9回裏、最後まであきらめない姿勢を見せる。この回からマウンドに上がった3番手の道本に対し、1アウトから5番前田がストレートをレフトへ快打。続く6番寺西は同じくストレートをとらえると、打球はレフトへ。前進守備のレフトが取りそうな構えだったが、打球は浜風に乗ってぐんぐん伸び、後ろにぽとりと落ちる2塁打となる。一打同点の場面を作り上げ、球場は田辺を後押しする雰囲気が充満していく。

しかし、星稜バッテリーは最後まで強気の姿勢を崩さなかった。ストレートが狙われているとわかりながらも、ストレートで押す投球を貫く。7番尾崎を高め速球で空振り三振に取ると、8番山根もファーストゴロに打ち取り、ゲームセット。優勝候補筆頭が苦しみながらも、田辺を退け、2回戦進出を決めた。

まとめ

星稜は田辺のエース寺西の速球に苦しんだが、チーム力の高さで勝利を掴んで見せた。序盤、盗塁でチャンスを切り開いた機動力、エース佐宗に頼らない投手層の厚さ、終盤の勝負どころで代打が仕事を果たす決定力と、随所で局面を打開する力を発揮。神宮で優勝したことも納得させる戦いを見せた。また、佐宗は6回までとはなったが、やはりはまった時のボールの切れ味は抜群。そう多くの点は取られないだろうという投球であった。石川勢初の優勝へ向け、名門が最初の一歩を踏み出した。

対する、田辺は寺西を中心に優勝候補に大善戦を演じた。こちらも昨秋に市立和歌山・智辯和歌山の県内2強を下したことを納得させる戦いであった。寺西はインステップ気味のフォームから角度のある速球を投げ込み、星稜打線を翻弄。やはり、野球は投手力と感じさせるピッチングでチームを引っ張った。打線も少ないチャンスを救い時などで確実に活かす勝負強さが光り、最終回もあと一本というところまで星稜を追い詰めた。今年は例年以上の激戦区となりそうな和歌山県だが、夏へ向けて大きな収穫を得た試合となった。

【智辯和歌山も倒した田辺が神宮覇者の星稜と対する!!満員の田辺アルプススタンド】 (youtube.com)

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