2024年春の選抜甲子園大会前ブロック別予想

2024年

Aブロック

勝ち抜き予想:星稜

神宮優勝の星稜に実力校の関東一、八戸学院光星、そして、21世紀枠ながら市立和歌山、智辯和歌山の2校を下している田辺と実力校が顔をそろえた。ただ、やはり、秋日本一の星稜が少しリードしているか。

開幕戦は秋の東京を久々に制した関東一八戸学院光星の対戦となる。1回戦を見渡しても屈指の好カードと言えるだろう。カギはやはり、八戸学院光星の洗平・岡本の両左腕に対して関東一打線がどう攻めるか。神宮で大坂桐蔭の速球派を攻略したように、関東一打線は4番高橋を中心に速いストレートを苦にしない。いかに緩急を使ってしのげるか。一方、昨秋は屈辱の無安打無得点を食らった光星打線が左右の質の高い投手をそろえる関東一投手陣をどう攻略するかも見もの。

また、開幕戦は独特の緊張感があり、先にどちらが自分のリズムをつかめるかも大事になる。2019年夏に開幕戦を経験しているという点では光星に少し分があるか。

一方、星稜田辺の対戦は、星稜に分があるのは否めない。佐宗、道本の左右2枚看板と得点力のある打線を擁し、投打のバランスという点では、出場校中でも確実に上位に入る。田辺としてはエース寺西が持ち味の速球を武器にどこまで食い下がれるか。山本結、山本陣の2人の前にチャンスを作り、先行して小差のリードを守る展開になれば、勝機は見えてきそうだ。一方、星稜打線としては小技も活かして足元から寺西を崩す工夫が必要になるだろう。

Bブロック

勝ち抜き予想:熊本国府

地区大会優勝校2校に、常連校、好投手を擁する新顔と、このブロックもなかなか勝ち上がるのは骨が折れそうな予感だ。低反発バット導入の今大会において守りの堅さはアドバンテージになるだけに、熊本国府が一歩リードしているか。

九州王者の熊本国府は、昨秋の九州大会で神村学園、明豊と強打が自慢の全国常連校をいずれも1失点に抑えて見せた。しかも違う投手が坂井、植田と左右の違う投手が抑えたところに、このチームの守りの強さがうかがえる。近江も西山、河越と好投手を擁するが、おそらく国府の投手陣からそう多くの得点は望めないだろう。近江としては、相手の中軸をしっかり押さえて3点以内の接戦に持ち込みたいところ。それ以外の展開だと、国府が有利に進めそうだ。

対する豊川阿南光の対戦は、豊川の強力打線vs阿南光の剛腕・吉岡の構図になるだろう。もっと言えばモイセエフ・ニキータvs吉岡の対決がカギを握る。吉岡は最速140キロ台後半という数字以上にボールの質が高く、そのストレートを大会屈指の長打力を誇るモイセエフがいかにとらえるか。一方、豊川投手陣は無駄な四死球を減らし、阿南光のキーマン福田の前にチャンスを作らせないようにしたいだろう。昨夏に続く愛知vs徳島の好カード。制するのはどちらか。

Cブロック

勝ち抜き予想:健大高崎

このブロックも甲子園常連校3校が顔をそろえる「厳しいブロック」だ。その後を名将・佐々木監督が率いる学法石川が追いかける。総合力でわずかに健大高崎がリードしているか。

明豊敦賀気比は、好左腕・竹下vs明豊の強力打線の対決になる。高打率の打者がずらりと並び、機動力も使える明豊打線に対し、変化球の精度の高い竹下がいかに自分のリズムで投げていけるか。これで3度目の聖地のマウンドとなるだけに、落ち着いた投球をしていきたい。一方、敦賀気比も一冬超えて打線はおそらく仕上げてくるだろう。シャープなダウンスイングに対して、堅守を誇る明豊が継投策を武器にかわしていけるか。4~5点の間の接戦になりそうだ。

健大高崎は、佐藤・石垣の左右2枚看板が売り。好捕手・箱山に引っ張られ、それぞれ140キロ台後半の速球を武器に力で相手投手をねじ伏せる。これに対して、学法石川も背番号2の実質エースの大榮を中心に投手層の厚さでは引けを取らない。打力ではどうしても健大高崎に分があるのは否めないだけに、なんとか3点以内の接戦でくらいつきたいところ。健大高崎としては、下級生投手陣を相手に持ち前の機動力で先行する展開をプレゼントしたいだろう。

Dブロック

勝ち抜き予想:山梨学院

前年王者に、久しぶりの古豪、名将を迎えた新興校、21世紀枠とバリエーション豊かなメンツが揃ったブロック。大きな力の差はないが、昨年の覇者が経験値を武器にわずかにリードしているか。

創志学園は山口、中野と左右の力のある投手を擁し、ディフェンス力には自信を持つ好チーム。打線も門馬監督直伝のアグレッシブベースボールで、1番亀谷が初回から相手をかき回しそうだ。対する別海は絶対的エースの堺が長身から繰り出すサイドハンドを武器に秋の大会をほとんど投げぬいた。彼を中心に守って守って勝機を見出すのが別海のスタイルになるだろう。攻撃力では、創志学園が一枚上だけに、別海は先行して相手を慌てさせたいところだ。

山梨学院京都外大西も好カード。ともに甲子園出場回数は多いが、近年の成績では山梨学院が上を行く。昨年頂点を極めた同校だが、経験豊富な3年生がほとんど卒業したため、今年は下級生主体の若いチームだ。しかし、その分伸び盛りの選手が多く、大友・櫻田を中心とした投手陣も3番中原が引っ張る打線も実力は高い。対する京都外大西はやはりエース左腕の田中がいかに試合を作れるかにかかっている。打線は大量点を望める布陣ではないだけに、まずはエースを中心にしっかり守って3~4点以内の勝負に持ち込みたい。

Eブロック

勝ち抜き予想:宇治山田商

目立つ存在ではないが、攻守に鍛え抜かれた実力校が揃ったブロックだ。

耐久は好投手・冷水を中心に秋の近畿をしぶとく勝ち上がった。140キロ台の速球と多彩な変化球を投げ分けるだけでなく、ゲームの流れを読んでクレバーな投球ができるのが強みだ。見た目以上に攻略困難な投手と言える。これに対して走れる選手のそろった中央学院は機動力を武器に冷水を崩していきたいところ。対して、耐久打線は各打者が状況判断に優れた打撃を見せるが、中央学院の投手陣は質量ともに多彩なだけに、相手の継投を後手に回すような攻撃をしていきたい。

宇治山田商東海大福岡の試合は打撃戦の可能性が非常に高そう。上位打線を中心に破壊力抜群の「YAMASHO」打線は、状況に応じて強打と犠打を使い分け、1番山本・2番伊藤のコンビを中心にとにかく息の抜けない打線だ。対する東海大福岡も光冨、宗翔の1,2番がカギ。両チームとも、繋ぎの強さを持つ、似通った打線と言えるだろう。これを宇治山田商・中村、東海大福岡・佐藤の両エースがどう封じるか。5,6点以上は覚悟の試合となりそうだ。

Fブロック

勝ち抜き予想:高知

Gブロックにつぐ大会屈指の激戦ブロックと言えるだろう。地区大会優勝校が3校顔をそろえ、4校とも勝ち上がれば、優勝まで突き進む可能性を秘める。

広陵高知はともに地区大会の優勝校。昨年の甲子園を経験した投手を擁し、いずれもディフェンスには自信を持つ。球威のある速球を低めに集め、安定感のある広陵・高尾に対して、高知の辻井・平の両投手は非常に伸びのあるストレートで打者のバットを押し込める。機動力豊かの広陵打線と堅実性のある高知打線がそれぞれどう相手打線をとらえるか。僅差のまま試合終盤になると、力のある投手2枚を擁する高知の方がやや有利か。3~4点までの好試合となりそうだ。

一方、青森山田京都国際も大会随一の好カード。東北大会決勝で無安打無得点を演じた櫻田と関の剛球右腕2人を擁する青森山田に対して、エース中崎を中心に好左腕が目白押しの京都国際と左右対照的な両投手陣である。青森山田は、八戸学院光星の岡本・洗平の両者との対戦を秋に2度経験しているため、左腕は苦にしなさそうだが、京都国際・中崎はまた違ったタイプの好左腕だ。京都国際打線も決して弱くはないが、櫻田・関の2人から大量点は難しいだろう。小牧監督が継投も含めて、「対青盛山田打線」でどうマネジメントするか、注目だ。

Gブロック

勝ち抜き予想:作新学院

今大会最大の激戦ブロックだ。関東王者、近畿王者、北海道王者に昨夏4強の実力校。各校の監督は頭を抱えているかもしれない。

神村学園作新学院の対戦は、双方の強力打線を左右のエースがどう封じ込めるかにかかっているだろう。神村学園の今村は速球に威力のある本格派左腕だが、試合開始から強攻策でガンガン攻め立てる作新学院打線のリズムにまずはまらないことが重要になる。犠打の確立が低い分、いかに緩急を使ってうまく打たせられるか。一方、作新学院の小川は本調子ならストレートはそうたやすくは打たれないだろうが、単調な攻めになると、4番正林を中心とした神村打線の餌食になる。投手戦、打撃戦のどちらの可能性もあるが、おそらく1点にしのぎをけずる好試合になりそうだ。

一方、大阪桐蔭北海の組み合わせも好カード。こちらも互角の好勝負が期待できる。大阪桐蔭の投手陣は150キロ台の速球を持つ平嶋、森を中心に質量とも豊富だが、北海の各打者は昨夏の甲子園を見てもわかるようにミート力に長け、コツコツとつないでくる。大阪桐蔭は秋は守備にやや難があるように見えたため、ここに付け込まれると大量点につながる可能性もある。一方、大阪桐蔭の徳丸、ラマルの強力中軸コンビを迎える北海バッテリーとしては、攻め方の意識を徹底し、中途半端な勝負は避けるべきだろう。こちらもおそらく接戦で終盤まで突入しそうだ。

Hブロック

勝ち抜き予想:愛工大名電

春夏いずれかの優勝経験を持つチームが3校入った。厳しい戦いが予想される。

愛工大名電は秋は打撃戦が多かったが、実は投手陣の質も豊富だ。緩急の光る左腕・大泉、速球が武器の伊東など、いずれも球威には自信を持つ投手が並ぶ。打線は石見、石島のコンビを中心に多少のビハインドはものともしない破壊力を持つ。これに対して、報徳学園は昨年のファイナルを経験した間木、今朝丸のコンビが心強い。ただ、打力では名電のほうが上回るだけに、両エースが何としても3点以内には相手を抑えたいところ。ロースコアなら報徳、打撃戦なら名電だろう。

1回戦最終カードは日本航空石川常総学院の組み合わせに。常総学院打線は関東大会で強豪校相手に打ち勝ってきており、主砲・武田を中心に打って走れる面々が揃っている。投げては島田監督期待の本格派右腕・小林がストレート主体の力強い投球で相手打線に立ち向かう。パワーの常総学院に対して、日本航空石川は蜂谷、猶明、長井の3人の2年生投手を中心にきっちり守って活路を見出す。地力ではやや常総が上だが、粗さが出てくると、日本航空石川の勝機も広がってきそうだ。

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