2024年選抜1回戦予想 関東一vs八戸学院光星

2024年

2024年選抜1回戦

関東一vs八戸学院光星

51% 49%

栄えある開幕戦を戦うこととなったのは、甲子園を知り尽くした常連の2校。両チームが相まみえるのは2012年の選抜準決勝以来となる。

関東一の投手陣は抜群の制球力を持つ左腕・畠中と140キロ台の速球を武器とする本格派右腕・坂井の2人が軸となる。ともに自分の持ち味をよく理解しており、秋の東京大会はすべて3失点以内に封じて見せた。神宮でも大阪桐蔭を相手に余裕を持って投げている様子が非常に頼もしかった。特に、坂井はストレートのスピードがまだ伸びそうな予感があり、大会1試合目から快投を演じる可能性がある。

対する八戸学院光星打線は、秋の地区大会で青森山田の櫻田に無安打無得点を食らったように、仲井監督としても、まだ新チームで仕上がり切っていない感はあるだろう。昨夏の経験者である砂子田を2番に置くことで攻撃のアクセントをつけ、上位から下位までポイントになる打順に好打者を配置しているが、対戦相手のレベルが上がるにつれて鎮火していった感はあった。伝統の強打で関東一の左右の好投手をどう攻略するか、思えば、2012年の選抜でも関東一の醍醐・中村の2年生の左右両輪を攻略しただけに、今回もその再現といきたい。

 

一方、八戸学院光星も投手陣は洗平、岡本と2人の好左腕を擁し、大会屈指の陣容を誇る。洗平は1年生夏から聖地のマウンドを踏みしめた実力者。しなやかな腕の振りから繰り出すキレのあるボールで相手打者を差し込むことができる。同じく、昨夏に甲子園を経験した岡本は洗平よりもパワー系であり、しなやかな左腕と剛球左腕の2人が光星のマウンドを堅固に守る。さらに、もう一人の左腕・森田も計算が立っており、投手力は間違いなく、大会上位クラスだ。

対する関東一は、走力と破壊力を兼ね備えた強力打線で対抗する。神宮大会で大坂桐蔭の繰り出す速球派をことごとく攻略したように、ストレートに強い打者が並ぶ。決して会心の当たりを放つわけではないが、センターから逆方向への意識をもってミートした打球がことごとく内野手の間を抜けていった。桐蔭の各打者の鋭い打球が野手の正面を突くのと好対照だったが、これが基本に忠実な打撃の成果なのだろう。一発を放った4番高橋を中心に好打者が並び、1番飛田を中心に足でも崩せるのが強み。強力な光星投手陣から何点を奪うか。

 

開幕戦は毎回、先にリズムを掴んだほうが一気に押し切ることが多い印象だ。互いに何度も聖地で戦っている両指揮官だけに、序盤から積極的に仕掛けていきそうだ。投だのバランスで少し関東一が有利か。

主なOB

関東一…三輪隆(オリックス)、中村祐太(西武)、山下幸暉(DeNA)、オコエ瑠偉(巨人)、石橋康太(中日)

八戸学院光星…坂本勇人(巨人)、田村龍弘(ロッテ)、北條史也(阪神)、八木彬(ロッテ)、武岡龍世(ヤクルト)

 

東京  青森

春  1勝  1勝

夏  3勝  1勝

計  4勝    2勝

対戦成績は春は五分、夏は東京がリード。

1987年の選抜では平子-三輪(オリックス)の大型バッテリーを擁する関東一と好投手・河村が率いる八戸工大一が対戦した。先行した八戸を関東一が三輪のホームランなどで追いついて試合は延長戦に突入。1点を争う好試合となったが、最後は関東一が延長10回サヨナラ勝ちを収め、勢いに乗ってそのまま決勝にコマを進めた。当時、関東一を率いていたのは、日大三で2度全国制覇を果たすこととなる小倉監督である。

一方、2012年選抜では光星学院(現・八戸学院光星)と関東一が激突。田村(ロッテ)、北條(阪神)の強打で勝ち上がった光星に対して、関東一はスピンの効いた速球を武器に勝ち上がった。しかし、この試合では技巧派左腕の醍醐が先発。序盤は0-0で推移し、米沢監督の狙いが成功したように見えたが、中盤に田村の一発で光星が先行する。この一撃で主導権を奪った光星が6-1で関東一を下し、夏春連続での決勝進出を果たした。

開幕戦を制し、勢いに乗るのはどちらになるか。

思い出名勝負

2011年夏決勝

光星学院

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 3 0 1 0 5 2 × 11

日大三

 

光星学院   秋田→李

日大三    吉永

日大三が優勝候補筆頭と目された2011年の選手権大会。強豪を次々退け、ファイナルにたどり着いた日大三の最後の相手は、当時みちのく勢初優勝を狙っていた青森・光星学院であった。

日大三は、神宮大会優勝、選抜4強と着実に実績を積み上げ、夏の西東京大会ではライバル早稲田実に競り勝って、甲子園にしっかり戻ってきた。シンカーの光る本格派右腕・吉永を畔上・横尾(日本ハム)・高山(阪神)の中軸を中心とした強力打線が支え、本戦では剛腕・白根(DeNA)を擁する開星や同じく強打を誇る智辯和歌山に競り勝ち、最も厳しいと言われたブロックを勝ち抜いた。

しかし、吉永は初戦で指のまめをつぶし、2,3回戦は計12失点と本調子ではなかった。ただ、そんな中でも打線は力強くエースを援護。準々決勝では習志野の多彩な投手陣をうまく攻略し、関西戦では好左腕・堅田をとらえ、終盤の猛攻で14得点と猛爆した。6番菅沼が大当たりしたことで、5番高山とのつながりがよく、下位からもう一つクリーンアップが現れるような破壊力を見せつけた。吉永もいい意味で力が抜け、準々決勝は甲子園初完封。準決勝でも好リリーフを見せ、盤石の内容で決勝進出を決めた。

一方、光星学院は、2000年代前半に甲子園を席巻し、4年間で3度夏の甲子園ベスト8以上を達成。しかし、2004年からは青森山田に覇権を奪われ続け、2009年までで出場できたのは、坂本勇人を擁した2006年の選抜のみであった。苦しい時代が続いていたが、2011年の選抜で久々の復活出場。秋の東北大会では田村が1試合3ホームランを放つ活躍を見せ、「NEW光星」をアピールした。

選抜では智辯和歌山に接戦で敗れたが、夏は強打を武器に県大会では青森山田を15-11と撃破し、連続出場を達成。エース秋田と川上(ヤクルト)の2枚看板のいる投手力が安定し、打線は川上、田村、北條のクリーンアップを中心に長打力を兼ね備えていた。本戦では徳島商・龍田、東洋大姫路・原(ヤクルト)と好投手を攻略。投げては、秋田が投げるたびに制球力を増し、準決勝では強打の作新学院を6安打完封して、初の決勝進出をつかみ取った。

 

決勝は強打を誇る両チームの打線を、エースがどう封じるかが注目された。ただ、中軸はともに強力であるが、下位打線までの並びの見ると、日大三に分があるのは否めなかった。

2回までは両チームともに無得点での試合の入りであった。吉永は球速は130キロ台でやはりマメの影響はあったが、回転のいいボールをコーナーに投げ分け、光星の強力打線を封じる。対する光星・秋田もこの日の抜群のコントロールを武器に日大三打線に立ち向かう。しかし、ボール半個でも甘く入ると鋭くはじき返されるため、秋田には確実にプレッシャーがかかっていただろう。

その影響が如実に出たのが、3回裏。2アウトランナーなしから3番畔上に死球を与えると、4番横尾には逆方向へのうまい当たりでつながれる。制球ミスの許されないプレッシャーが手元を狂わせたか、また、スラッガータイプではあるが柔らかさを併せ持つ横尾の打撃技術も素晴らしい。ここで打席には5番高山。猛者ぞろいの日大三打線の中でも最もポテンシャルの高いと言われた左打者が、秋田の甘く入ったスライダーをバット一閃。打球はあっという間にバックスクリーンに飛び込む3ランとなり、日大三が一気に主導権を握った。

反撃したい光星打線は6番金山がホームラン性のファウルを放つなど、たびたび日大三打線をヒヤッとさせる打球を放つ。しかし、コーナーを丹念に突く吉永の前にいい当たりがことごとく正面を突き、田村や金山の痛烈な右打ちもライトライナーとなってチャンスが広がらない。

試合は日大三が4点リードした7回に、一気に動く。神経をすり減らして投げてきた秋田のボールが甘く入り、畔上、横尾、高山クリーンアップが3者連続でタイムリーを放つ。仕上げは、ここまでエースをリードしてきた捕手・鈴木の2ランホームラン。チームNo.1のガッツマンが一発を放ち、完全に試合の大勢が決した。

吉永は最後まで粘り強く丁寧に投げぬき、強打の光星打線を5安打で完封。「10点取って0点に抑えて勝つ」という小倉監督の理想をまさに体現する11-0の勝利で、絶対王者が2度目の夏全国制覇を果たした。

一方、光星学院は準優勝には終わったが、この大会で最高成績を更新。田村、北條の2年生コンビが残った新チームは、翌年の甲子園でも大活躍を見せ、3季連続での甲子園準優勝という金字塔を成し遂げた。青森の歴史の転換点ともなったこの大会は、仲井監督にも大きな自信を植え付けたのは間違いないだろう。

第93回夏の甲子園決勝戦、日大三高VS光星学院ハイライト (youtube.com)

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