大会9日目第3試合
鶴岡東
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 1 |
早稲田実
鶴岡東 櫻井
早稲田実 中村

両エース左腕のしびれる投げ合いとなった第3試合は、互いに無得点のまま延長戦に突入。延長10回裏、早稲田実の2年生エース中村が自らサヨナラ打を放ち、9年ぶりの3回戦進出を決めた。
試合
早稲田実は初戦は打ち合いの末に鳴門渦潮をしりぞけ、持ち味の出た戦いで初戦を突破。一方、鶴岡東はエースで4番の桜井が打っては決勝打、投げては1失点完投の千両役者ぶりを発揮して、聖光学院との東北勢対決を制し、2回戦へ勝ち上がってきた。
試合の焦点は、鶴岡東の大黒柱の桜井を早稲田実の強力打線がどう打ち崩すか。早稲田実は予選での戦い、そして1回戦を見るとある程度の失点はやむを得ないというのが試合前の正直な予想であった。しかし、試合が始まると、予想だにしない投手戦となる。
この投手戦を呼び込んだのは、早稲田実の2年生左腕・中村である。初戦はボールが高めに浮いて痛打を浴びたが、この日は低めを速球とスライダーで丹念に突き、打者一巡目はヒットはおろかランナーすら出さない投球を展開。ゆったりとしたフォームから繰り出す伸びのある速球は相手打者のバットを差し込み、突破口を与えない。
これに対し、鶴岡東の左腕・桜井は強気の投球を展開。初回、高校通算ホームランが3人で3桁に乗る強打の石原、宇野、高崎を相手にすべての球種を使って丹念に投げ込み、最後はインサイド速球で3番高崎は見逃し三振に!向かっていく姿勢を存分に出し、早実の強力打線を封じ込める。こちらも打者一巡目はすべて3人で退けるパーフェクト投球で一歩も引かない展開となり、試合は中盤戦に突入していく。
中盤に入り、両チームともランナーは出始めるが、決定機を活かすことはできない。早稲田実打線はシャープなスイングで積極的に振っていくが、その狙いをかいくぐるように、鶴岡東の捕手・億田がスライダー中心の配球で翻弄。桜井も見事な低めのコントロールで交わしていく。一方、早稲田実の中村はこれまでの投球が嘘だったかのような安定感を披露。4回表には1番丹羽の三盗で2アウトながらランナー3塁のピンチを招くが、4番桜井にはスライダーをうまく打たせ、ピンチを逃れる。この攻撃中には雨天による11分間の中断もあったが、中村は冷静の投げぬいた。
両エースを崩せないまま、試合は終盤戦へ。7回に来てようやく得点の香りが漂い始める。
7回表、鶴岡東は先頭の2番松下がショートへの内野安打で出塁。犠打で2塁へ送ると、ここで早実バッテリーは4番桜井を敬遠する。ベンチのこの選択にバッテリーが応え、5番小林は高めの速球で空振り三振!さらに6番億田もサードゴロに打ち取り、難を逃れる。速球が走っているだけに、鶴岡東打線に狙われているとわかっていても、速球で押す選択ができるのが早実バッテリーの強みであった。
すると、7回裏、今度は早実にチャンスが。先頭の3番高崎がインローやや甘めの速球を強振し、レフト横への2塁打で出塁。四球と犠打で1アウト2,3塁とし、桜井を追い詰める。だが、ここで今度は鶴岡東のエースが意地の投球を披露。代打・松尾のスリーバントスクイズを得意のスライダーで封じると、7番中村もアウトコースへのスライダーで空振り三振!得意のスライダーで徹底的に勝負し、得点を許さなかった!
こうなると、絶対的支柱である桜井と心中するしかない鶴岡東に対し、これまで継投策で勝ち抜いてきた早実の方が戦い方に迷いが出てもおかしくなかった。しかし、この試合では和泉監督は最後まで中村と心中。2006年度の斎藤佑樹(日本ハム)や2015年のエース松本もそうだったが、甲子園で覚醒した選手の力を引き出すのが実にうまい。
一方、桜井も9回を投げ切って強打の早実打線を4安打無失点。8回裏はけん制タッチアウトを奪い、9回裏は併殺でピンチをしのぎ切った。大会前から注目された2番宇野も無安打に封じ、強力打線を寸断することに成功。3安打を許した3番高崎以外はほぼ完ぺきに封じており、見事な投球であった。0-0と両者譲らない試合は、ついに延長戦へ突入した。
しかし、好試合もいつか明暗の分かれるときがやってくる。10回表、タイブレークの無死1.2塁から7番酒井の犠打は、ブルドッグ守備を見せたファースト国光の好守で3塁フォースアウトに!さらに、続く8番田崎の打席で、2塁ランナーが三盗を狙うが、これも捕手・山中の好送球で封殺と、意地でも3塁を与えない早実の守備が光った。中村は10回を投げ切って、4安打無失点。想定を大きく上回る好投であった。
すると、10回裏、この勢いに乗って早実打線が桜井を攻める。6番国光がきっちり犠打を決めると、鶴岡東ベンチは満塁策を選択。ここで打席には、この日投げ合ってきたエース中村。桜井が投じた121球目、スライダーが甘く入ったところを逃さなかった。打球は、ライトのはるか頭上を超していくタイムリーとなり、サヨナラ勝ち!早実が苦しい試合をものにし、前回出場の2015年に続いて3回戦進出を決めた。
まとめ
早稲田実は、試合前のゲームプランとは大きく異なる展開だったとは思うが、2年生エース中村を中心に守りで踏ん張って勝利を手にした。中村は速球の伸びが素晴らしく、高めの速球で何度も空振りを奪った。高校生の短期間での成長には本当に恐れ入る。また、内外野も無失策の堅守でエースを支え、鶴岡東打線を0封。特にタイブレークの10回表に見せた2度の3塁封殺は、早実というチームの勝負強さを感じさせるものであった。
打のチームという印象だったが、打てないときは守る、そんな勝ち方もできるのだ。やはり、甲子園でこの早実というチームは侮れない。
一方、鶴岡東もエースで4番の桜井を中心に一枚岩の強さを見せた。負けはしたものの、試合内容では全く劣っていなかったと言えるだろう。例年は打の印象が強かったが、今年はエースを中心に勝負所できっちり守れる強さもあった。また、その桜井は武器であるスライダーで早実打線を翻弄。最後は甘くなってしまったが、左打者のアウトコース低めへ決まるボールは見事であった。2回戦で敗退となったが、実力を十分出し切った清々しい戦いであった。
早稲田実 vs 鶴岡東 【夏の甲子園 2回戦 全打席ハイライト】 両投手魂の好投!タイブレークまで続く緊迫の投手戦! 2024.8.15 阪神甲子園球場 早実


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