2022年選手権決勝予想 下関国際vs仙台育英

2022年

2022年選手権決勝

下関国際vs仙台育英

51%    49%

〇5-0    富島    〇10-0   鳥取商業

〇9-3    浜田    〇5-4  明秀日立

〇5-4    大坂桐蔭  〇6-2    愛工大名電

〇8-2    近江    〇18-4  聖光学院

いまだ優勝経験はない両チームだが、ともに実力校をしっかり倒して勝ち抜いてきた。優勝に値する実力を双方有していることは誰の目にも明らかだ。「剛」と「走」の仙台育英に対し、「食らいつく」下関国際の構図だが、相性の面で若干下関国際が優位かと感じる。

 

下関国際は準決勝は左腕エース古賀がまさかの2回降板となったが、結果的に右腕・仲井がロングでも全然通用することを証明することとなった。ともにスライダーを武器とする左右の両輪だが、低めに決まり始めると手に負えない。2回戦からの登場であり、2人とも疲労度も少ない。坂原監督も継投に迷いはなく、失点数はよほどでない限り、計算できるだろう。

ただ、不安があるとすれば、左腕・古賀の立ち上がりである。初回に失点した準々決勝や連続四球で降板した準決勝のように、やはり序盤は硬さが見られる。準決勝で2回に11得点をたたき出した仙台育英打線を相手に、序盤を無難に乗り切れるかがカギとなる。

対する仙台育英打線は自慢の足攻めと上位から下位まで切れ目のない打線がかみ合って、準決勝では19安打18得点と大爆発。結果からみると大味な印象を受けるが。全員がコツコツとミートに徹し、スキのない走塁も絡める攻撃は、大勝した後だからと言って雑になるタイプのものではないだろう。1番橋本や6番遠藤など当たっている選手が多く、「この選手に回せば」という選手が複数いるのは心強い。

懸念材料としては好左腕との対戦か。明秀日立の左腕・石川のスライダーに手を焼いている印象だったので、名電の左腕・有馬との対戦に注目していたが、疲れから本来の出来ではなかったので、結果は差し引いて考える必要がある。主力が左打者であり、古賀のスライダーに苦戦するようだと一気に形成は下関国際に傾く。打てないときに足でかき回す意識も決勝戦ではより強く持つべきだろう。

 

一方、仙台育英投手陣は準決勝ではエース左腕の古川を使わずに3人の投手リレーで無難に乗り切った。140キロ台の速球と決め球になる変化球を持つ投手が5人もいるチームなど、かつてなら考えられなかっただろう。豊富な投手陣を擁することが勝ち上がるたびに大きなアドバンテージとして効いてきている。決勝戦ではどの投手を起用するかわからないが、全員本来の球威を保った状態で臨めるのはありがたいことだ。

仙台育英が懸念することがあるとすれば、大会を通して絶対的な存在の投手がいないことか。本来なら古川がその役割を担うところだったが、直近2試合は短いイニングで失点しており、須江監督もいったんリセットさせる意味で準決勝では登板させなかったのかもしれない。接戦で終盤に差し掛かり、いざ優勝が決まるかという時に誰にマウンドを託すのか、須江監督としても迷わないようにしたいところだろう。

対する下関国際は準々決勝、準決勝と大会最高レベルの投手を打ち崩してきており、非常に状態がいい。赤瀬、松本の1,2番コンビが固まり、中軸から当たっている下位打線へと流れていく打線は、なかなか止められない勢いを持つ。何より打席での粘りや果敢な走塁など、坂原監督の築き上げた野球が浸透し、試合中やることに対する迷いがないことが一番の好材料だ。

唯一不安があるとすれば、史上初の決勝戦進出であり、いつも通りのメンタリティーを保てるかということだが、ここ2試合厳しい相手を前にした修羅場をくぐってきたことを考えると、そんな不安も杞憂に終わるか。仙台育英の投手陣はボールの威力はあるが、時折乱れる傾向もある。下関国際の攻撃スタイルは、こうした「剛」の相手を足元から崩すことを主眼としており、食らいついて最後には崩すのではと思ってしまう自分がいる。

 

実力校が多く、非常に面白い試合が多かった今大会。前年度覇者の初戦敗退や、2年連続で関東勢が8強を前に姿を消すなど、波乱含みな面も多かったが、それでもファイナルにはふさわしいと感じさせる2校が残った。すでに甲子園を去った47チームのためにも、最後まで熱い熱い「バトル」を見せてくれることを両チームに期待したい。

 

主なOB

下関国際…宮崎敦次(ロッテ)

仙台育英…大越基(ダイエー)、金村暁(日本ハム)、佐藤由規(ヤクルト)、佐藤世那(オリックス)、平沢大河(ロッテ)

 

 

宮城  山口

春  0勝   2勝

夏  2勝   1勝

計     2勝     3勝

対戦成績は春は山口勢が、夏は宮城勢がリードしている。

1983年夏には宇部商と仙台商が3回戦で対戦した。3季連続出場の宇部商は、2季連続で初戦敗退していたが、初戦となった2回戦の帝京戦で浜口の逆転サヨナラ2ランが飛び出して、夏の甲子園初勝利を達成。前年夏の高岡商戦で最終回に悔しい逆転負けを喫していたエース秋村(広島)だったが、この試合は5点を失いながらも初勝利を手にした。雪辱を誓った3回戦では仙台商打線を4安打で完封。この大会でベスト8に進出した宇部商は、ここから上位常連となっていった。

一方、その翌年の1984年夏には東北と柳井が初戦で対戦。のちに横浜ベイスターズ及びマリナーズで守護神となった佐々木主浩が2年生エースだった東北が山口で唯一夏の優勝経験を持つ柳井を8-2と大差で下した。名将・竹田監督に率いられた東北はここから3季連続で甲子園へ。翌年は春夏連続でベスト8に進出し、東北地区屈指の強豪として結果を残した。

平成では全く対戦のなかった両県が、令和の夏に全国制覇をかけてぶつかることに。ここまで来たら譲れない思いが強いだろう。東北勢初優勝か、山口勢の64年ぶりの2度目の優勝か、注目の決勝戦の火ぶたが8月22日に切って落とされる。

コメント

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