右投手 岩田慎司(東邦)
2回戦で敗退したが、そのストレートの球質はまさに一級品であった。初戦は前年王者の広陵が相手だったが、チーム打率4割越えの強力打線を相手にストレートで真っ向勝負。前年夏に10打席連続出塁、6打席連続ヒットの離れ業を演じた3番上本(阪神)もヒット1本に封じ込めた。打線の援護もあって終わってみれば9-1と圧勝。ストレートと分かっていても打たれない投球は見事としか言いようがなかった。
続く2回戦は優勝した済美に0-1と惜敗したが、この大会で抜群の得点力を誇った済美打線をまともに封じ込めたのもまた岩田の右腕だけであった。強豪校2校を相手に許したヒットはわずか11本で失点もわずか2。まさに難攻不落の右腕であった。
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左投手 大前佑輔(社)
初出場でベスト4に進出した社を引っ張った2年生エース。伸びのある速球とスライダーを武器にする左腕は、変化球で安定してカウントを取ることができ、捕手としても打者との駆け引きに集中できる投手だった。初戦の福井戦は17三振を奪う快投を見せて好発進すると、その後は打たせて取る投球も織り交ぜながら、チームを牽引する。
パワーヒッターぞろいの鵡川や3割打者がずらりと並んだ福岡工大城東の打線にも真っ向から立ち向かい、ともに延長戦での劇勝につなげて4強に進出。準決勝で愛工大名電の巧みな攻めに屈したが、大会を彩った好左腕であった。
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捕手 中野大地(拓大紅陵)
今大会出場した捕手の中でもディフェンス力はNo.1だっただろう。1回戦では技巧派のエース伊能の持ち味を活かし、希望枠で出場の一関一打線を6安打で完封。打っても最速145キロを誇るプロ注目右腕・木村(巨人)から2安打を放ち、攻守でチームに貢献した。
そして、2回戦では九州王者の福岡工大城東との試合となったが、この試合で中野の存在が際立つ。今大会屈指の攻撃力を誇るチームが仕掛ける攻撃に対し、盗塁阻止、けん制タッチアウトと自慢の強肩を存分に披露し、走者を塁上にくぎ付けに。リードでも抜群のインサイドワークで投手陣を支え、9回サヨナラ負けを喫したものの、好試合を演出した。中野の活躍がなければもっと大差がついた試合になっていただろう。
一塁手 久保田健仁(明徳義塾)
明徳の選抜4強入りに大きく貢献した左の巧打者。2年生時までは6番を務めていたが、新チームからは押しも押されぬ中軸になった。もともと抜群の選球眼を誇っていたが、確実性と長打力が増し、4試合で12打数6安打と大活躍を見せた。
特に2回戦で対戦した八幡商は、1回戦で逆転サヨナラ勝ちを収めて非常に勢いにのる相手だったが、久保田のバットがさく裂。2年生エース上田を打ち込み、3ランを含む4打点を挙げ、チームの全得点をたたき出す活躍ぶりであった。
二塁手 梶田京輔(愛工大名電)
前年までスラッガー堂上剛(中日)を中心に破壊力抜群の打線で予選を勝ち上がりながら、甲子園では不発に終わっていた愛工大名電。しかし、この選抜からは犠打を巧みに使った「NEW名電」として甲子園で暴れまわった。1塁前、3塁前に絶妙なバントを転がし、相手投手と内野陣に圧力をかけ、立命館宇治・中田、岡山城東・出原といtった好投手を撃沈した。
そのチームで小柄ながら抜3番セカンド主将として抜群のリーダーシップを取ったのが梶田。中軸でもバントを厭わない姿勢を見せ、確実にいい打球を転がし続けた。準々決勝では秋田商の剛腕・佐藤剛(広島)に対しても徹底した犠打攻めで疲弊させ、中盤に梶田がホームランをマーク。「バントにホームランを織り交ぜる」という異質かつ豪快な野球で名電野球部史上初の決勝進出を果たした。
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三塁手 梅田大喜(明徳義塾)
1年生夏から4季連続で聖地を踏んだ「甲子園の申し子」は、最終学年になって3番サードを務め、堂々チームの顔となった。準々決勝の東海大山形戦の4安打をはじめとして4試合で14打数8安打と大当たり。振ればヒットという確実性と、甘く入ったらたちまち外野の最深部まで運ぶ長打力で、常勝・明徳の看板を背負った選手であった。
遊撃手 新立和也(済美)
強打者が居並ぶ済美打線に合って攻守にしぶい働きを見せたのが8番ショート新立であった。高橋(阪神)、鵜久森(ヤクルト)の長打力が目立っていたが、この大会の済美打線は上位打線の打率はあまり高くなかった。そのぶん下位に並んだ6番野間、7番田坂、8番新立の左打者トリオの活躍が目覚ましく、この3人で得点に絡んだシーンを何度となく目にすることとなった。
新立は小柄な体ながら、いい意味で身の丈にあったプレーを実践することができ、ミート重視の打撃で出塁して上位打線に回す仕事を淡々とこなした。またショートの守備でも肩に自信がないぶん、ワンバウンドでになっても横にずれないように正確なスローイングを実践。福井(楽天)-西田の2年生バッテリーを支えた。
左翼手 鵜久森淳史(済美)
済美の初出場初優勝に貢献したスラッガー。初戦は関東大会優勝投手である土浦湖北・須田(DeNA)が相手だったが、中盤に豪快な2ランを放って一蹴。注目の対決を9-0と圧倒し、優勝へ向けて弾みをつけた。典型的なプルヒッターであるが、その分迷いなく自分のスイングを貫いている印象であり、自分の間合いまで引き付けてはじき返せた打球は規格外であった。
準々決勝の東北戦では序盤に4点を先行される重苦しい展開であったが、中盤4回に真壁から特大の2ランをお見舞い。一振りで球場の雰囲気を一変させる当たりであり、東北サイドに恐怖心を与える一打でもあった。この試合を劇的な形で制した済美は、その後、明徳義塾・愛工大名電に競り勝って初出場初優勝を達成。鵜久森は決勝で、相手の継投策に惑わされることなく3安打を放ち、最後までチームを力強く牽引した。
済美vs東北 2004年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
中堅手 柴田講平(福岡工大城東)
大会屈指の破壊力を秘めた打線を牽引したのがトップバッターの柴田(阪神)であった。50メートル5秒台の俊足とシュアな打撃を活かし、3試合で5安打をマーク。塁上に出ると、屈指の走力で相手バッテリーにプレッシャーをかけ続けた。準々決勝では大前、坪井(日本ハム)と好左腕2人を擁する社投手陣から猛打賞を記録。対左投手に対して、逆方向への打撃で活路を見出した。
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右翼手 家弓和真(東北)
2年春から3季連続出場でチームを牽引した寡黙なトップバッター。タレントぞろいの東北打線において確実に出塁してくれる家弓の存在にチームにとって非常にありがたいものであった。神宮大会で敗れた済美戦では1,2回にともに出塁し、大沼の3ランと加藤政のタイムリーを呼び込んで4点先取に貢献。試合には敗れたが、外野の守備も含めて走攻守でチームに貢献した。
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